クズ
「結論から言うと……クズだ」
「やはり……」
皆も予想していたのか、驚きの声はない。
「アパート暮らしのようだが、暴力は日常的だったようだ。警察が介入したこともあり、近所では有名だったと。父親は稼ぎの殆どを家に入れず、母親のパートの稼ぎと親からの仕送りで生活していたみたいだな。だが、祖父が体調を崩し生活が苦しくなったことにより、頼ることを止めたらしい」
「それは、良くない状況ですな」
「お金がなく、パートを増やすと家事が雑だと殴られ、お金がないと言うと殴られ。子供達への暴力も増えたことにより追い詰められて、家を出たようだ。腐ってやがる」
調査結果を見ただけで、吐き気がする。
「どうするつもりなんだい、道弥? そのゴミに帰すことができないのは分かったが、ずっとここで面倒を見ることもできないだろう?」
黒曜が言う。
「いきなり知らない子供二人を家に連れ帰っても、誘拐の容疑をかけられて終わりだろう。今ですら割と綱渡りの状況だからな。幸いなことに捜索届はでてないようだが。施設に入れても、父の元に帰されて終わりだ」
どうすべきか。消すのは簡単だが……あの子達の親でもあるのだ。
「主様、一度実物と会ってから判断してはいかがでしょうか? このままここで話していても答えはでますまい」
「そうだな。一度クズに会いに行こうか」
俺達は二人の父親に会いに向かった。
真に乗り、俺達は二人の父親の居るアパートに辿り着いた。
随分古くて、年季が入っているのが分かる。
「何かあった時のために、道弥は出ない方がいいね。僕が行くかい?」
黒曜が言う。
「道弥様がそこらのカス程度に……いや、そうね。私が行きましょう。変化は得意ですので」
莉世はそう言って、今のこの世の者とは思えない美しさとは対照的な、少し地味な女性に変化した。
姿も着物姿でなく、スーツ姿である。
「すまないが、頼む。すぐ殺すなよ。だが、控え目な態度で行かないとばれるぞ?」
「お任せくださいな。確か……母の名は綾香でしたわね」
莉世が父親の居る部屋をノックする。
だが、反応がない。
しばらく反応がなかった莉世がドアノブを捻ると、がちゃりと音がした。
どうやら鍵はかかっていないようだ。
莉世が中に入ると、視界を共有してくれた。
中はまるでごみ屋敷の様に散らかっており、足の踏み場もない。
「酷い悪臭がしますわね……」
むせかえるようなゴミの悪臭に莉世が顔を顰める。
「誰だあ!? 綾香か⁉」
と怒鳴るような声が奥から聞こえた。
莉世は無言で奥へ進むと、そこには大量の酒瓶の中心に髭面の男が座っていた。
顔は真っ赤で酔っていることが分かる。
「綾香様のご自宅はこちらでよろしいですか?」
いつもと違い大人しい女性のようにふるまう莉世。
「ああ? 誰だお前? 綾香のこと知ってんのか?」
と男が凄む。





