監視の目
「主様、今後はどうなさるおつもりですか? まさか父の元に戻すなど言いますまい」
真が真剣な顔で聞いていた。
昔から人を守っていた守り神なだけあって、心配なようだ。
「心配するな。父の元に戻す予定はない。が、まだ俺達は子供の話しか聞いていないからな。情報が居るな。都、明さんに彼女達の親族の調査をお願いできないか?」
「承知しましたわ。なにか本人情報の分かる物はありませんか?」
「確か……子供達の持っていたリュックを人骨が持って来ていたはずだ。保健証がある……野峰ルカと言うらしい。ほら」
俺は二人の保険証を都に渡す。
「仁骨に詳細を聞かないと、状況もよく分からんな」
しばらく仁骨が戻って来るのを待つ。
三十分程して、仁骨が奥の部屋から戻って来た。
「いやあ、何から何までありがとうなあ。山奥じゃ二人もゆっくり寝れてなかったみたいでなあ」
「仁骨。あの二人に何があったのか詳細を教えてくれ」
「詳細って言ってもよお。あの子達の居た場所から一キロくらい離れた所で母親が死んでたんだあ。包丁が付近に落ちてたから、最初はあの子達を殺した後に自分も死ぬつもりだったんじゃねえかなあ。けど、殺せなかったんだと思う。母親だけが、首を吊ってたんだ。多分、ナツキは気付いてねえんだと思う」
親が大切な子供を手にかけることなどできる訳がないだろう。
自分のみ、死を選んだか。
俺達のような他人には分からないくらい辛い出来事があったのだろう。
「悲しいな……ルカはしばらく休む時間が必要だろう。落ち着いたら、仁骨。お前が遊びに連れて行ってやれ」
「応! 任せろお!」
「しばらくは明さんからの情報を待とうか」
まさか仲間に会って、子供の面倒を見ることになるとはな。
◇◇◇
道弥が仁骨と邂逅を話していた時、少し遠くから覗いていた者達が居た。
「おいおい、まさか議員が頼んだ陰陽師って芦屋かよ~」
国交省から仕事を受けた灰長が頭を掻く。
「ここからじゃ聞こえませんが、何か話あっていますね。妖怪相手に交渉しているのでしょうか?」
「分からん。今までの情報から交渉は有効的な手段だ。おい、ついて行ったぞ。どういう状況なんだ?」
灰長とその部下達はひっそりと、道弥達の後を追う。
「ん? ガキ? あの化物の子……ではなさそうだな。状況が分からねえ。遠くからがよく分からんが、子供を食べるつもりではなさそうだ。あのガキ共はどこから出てきた? 攫ってきた訳じゃなさそうだが」
道弥はしばらく子供と話した後、人化した仁骨と共にその場を去った。
「よく分からないが……交渉は成功したようだな」
「手柄は奪われたのでしょうか?」
「いや、それはまだ分からねえ。なぜならまだ調伏していない。調伏前であれば、判定上はノラの妖怪だ。信じられねえが、あの化物は子供の世話をしていたっぽいな。ならいくらでもやりようがある。ハハハ、まだ終わっちゃあいねえ!」
「芦屋ごとやるってことですね?」
「馬鹿言え。あいつが連れていたあの犬の妖怪を見てねえのか。おそらくあの犬も化物だ……絶対に芦屋には関わるな。芦屋が離れた時を狙う」
「……了解しました」
灰長達はそう言って消えていった。
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