ハンバーグ
個人経営でこじんまりとしているが、いつも清掃が行き届いた良い店だ。
「道弥君、久しぶりだね。この間もテレビで見たよ。すっかり有名人だねえ」
「マスターお久しぶりです。もっと有名になるので待っていて下さい」
親と来たこともあるから顔を覚えられている。
二人にメニュー表を渡す。
「お腹すいただろう? いっぱい食べな」
「俺はデミグラスハンバーグ!」
「……私はビーフシチューで」
「俺は、オムライスで。仁骨は?」
「おらは……肉がいいなあ」
「じゃあ、こいつにはステーキで。三人ともセットに、そして皆特盛にしてあげてください」
「お任せあれ」
俺のお願いに、マスターがにっこりと笑う。
しばらくすると、レストランとは思えないくらいのデカ盛りで四人分の料理が置かれた。
「おお~~! でっけ~!」
とナツキが嬉しそうに叫ぶ。
ナツキがフォークで思い切りハンバーグを突き刺すと、そのままかぶり着く。
その瞬間、肉汁が溢れ、弾ける。
「熱いっ! けど、うまーーーい!」
熱がりながらも、がつがつと食べるナツキ。
ルカもビーフシチューをスプーンですくい、小さく口を入れて頬張る。
「美味しい……」
ルカはそう呟くと、段々目元に涙が溢れ始める。
そのままその涙が頬を伝う。
「ごめんなさい……ビーフシチューはお母さんが良く作ってくれたんです。温かい御飯を食べたら思い出しちゃって……もう会えないんだって! どうして……お母さん……!」
ルカは最後叫ぶように言った。
ルカは母の後を追いたかったのかもしれないな。
「どうしたの、姉ちゃん? 大丈夫?」
「大丈夫だよ、ナツキ。ごめんね。美味しいよ」
そう言って涙を拭うと、ナツキの頭を撫でた。
ルカは少し充血した目で、シチューを食べる。
「お姉ちゃんだもんね、私……! ナツキ、頑張ろうね」
「うん!」
ルカは愛おしそうにナツキを見る。
ナツキもそれに元気に返事をしていた。
二人はお腹がすいていたのだろう。がつがつと勢いよく食べ始め二人とも完食した。
「こんな子供なのに……偉いなあ」
と仁骨が泣いている。
お前は早く食え。
「「ご馳走様でした。ありがとうございます」」
と二人が頭を下げる。
「ありがとうなあ、道弥! おらあ馬鹿だから、おらだけじゃ助けられなかったよお!」
仁骨が泣きながら言う。
「何を言っているんだ? お前の優しさが俺を動かし、この子達を救ったんだよ」
「うおおおおおおおおおおおおん!」
号泣する仁骨。
店に迷惑だから止めろ。
俺は会計を済ませた後、号泣する二メートルの巨体を店から無理やり出して事務所に戻った。
「ルカ、ナツキ。少しの間だけ、ここで仁骨と暮らしてくれ。ここならベッドもシャワーもあるからな。二人とも疲れただろう? 今日はゆっくり休みな」
「分かりました。えーっと道弥さん、色々ありがとうございます。最初は疑ってごめんなさい」
とルカが頭を下げる。
「いいんだ……君はまだ子供だ。辛い時は泣いても、怒っても、いいんだ。今、ルカに必要なのはゆっくりと心を休める時間だ。休みな」
まだ小さい子が、親が死んで、警戒しない方がおかしい。
「ありがとう……ございます……」
ルカは再び少しだけ涙を流した後、仁骨とナツキと共に奥の部屋に消えていった。
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