御飯すら用意できねえ
「んなこたあねえよ、大好きだあ。でも、俺は無力だ。お前達を育てることも……御飯すら用意できねえんだよお」
と人骨が悲しそうに言う。
「俺と仁骨は友達なんだ。仁骨は二人のことをとっても心配していたよ。君達に生きていて欲しいんだ。一緒にご飯を食べないかい?」
俺は微笑む。
千年前、芦屋家が繁栄していた頃は、こんな子供達も一族にいっぱい居た。
どの子も可愛い、宝物のようだった。
「道弥はとっても頼りになるんだあ! 安心しろ!」
仁骨が明るい口調で言う。
「骨さんがそう言うなら……信じる」
となんとか少しは信用してくれたようだ。
「まずは御飯を食べよう。お腹すいただろ。それに、仁骨。お前も人前に出るなら人化しろ。その姿で出たら騒ぎになるに決まっているだろ」
「人化……?」
と首を傾げる仁骨。
「私みたいに人の姿になることです! 忘れたのですか⁉」
と莉世が驚きの声を上げる。
「あのお姉ちゃん……怖い」
と少女が仁骨の手の後ろに隠れる。
「この私が……その骨より怖いなんて……」
と地味にショックを受けている。
多分見た目の問題じゃないぞ。
「久しぶりに聞いたなあ、その言葉。できるかなあ、おら。それ苦手なんだよなあ」
そう言って、仁骨は人化を始める。
段々その全身から煙が生じる。
周囲が煙に埋め尽くされ、その煙が晴れる頃そこには一人の純朴そうな青年が立っていた。
身長は二メートル近い熊のようなガタイをした、優しそうな青年である。
他の皆に比べてかなり一般人に近い、ガタイを除けば。
「田舎で木こりしてそうですわね」
と莉世が呟く。
「久しぶりに小さくなったなあ」
と自分の姿を見ながら仁骨が言う。
「骨さんが小さくなった……」
「人間になった……」
とルカ達は驚いている。
「これでおらも一緒に行けるぞお!」
仁骨は二人を片手で持つと、その肩に二人を乗せた。
色々知っているルカの顔は暗いが、ナツキは素直に喜んでいる。
俺達はとりあえず事務所に戻った。
「きれーなとこだなー!」
とナツキは事務所を見てはしゃいでいる。
「あ、お帰りなさいませ。掃除はもう終わって……」
事務所で掃除をしていてくれたらしい都が子供達を見て固まる。
「え? 隠し……? それとも、ゆ――」
「違う! トラブルに遭った子供達を保護しているだけだ!」
咄嗟に否定する。
なんてこと言うんだ、この女は。
「そうですか……びっくりしましたわ!」
「人聞きの悪いことを言うな。二人とも、ご飯は何が食べたい? なんでもいいよ?」
「そんな、申し訳ないです。食べられるならなんでも……」
「俺、ハンバーグが食べたい!」
遠慮するルカとは対照的に、ナツキが大声でハンバーグを所望した。
「よし、分かった。美味しいハンバーグを食べよう」
「ナツキ……! 何言っているの!?」
「仁骨の大切な人は、俺にとって大切な人も同然だ。何も遠慮しなくて良い。行こう」
ハンバーグを求めて、俺達は近くの洋食レストランに向かった。
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