二児の骨
「どういうことですか、仁骨! 道弥様のお誘いを断るなど許されることではありませんよ!」
突如顕現した莉世が、大声を上げる。
「莉世かあ……怒らないでくれよお」
仁骨が困ったように言う。
「まあ落ち着け、莉世。何か事情があるのではないか?」
真が莉世をなだめている。
「急に人里に出てきたことと関係しているのか?」
俺は仁骨に問う。
「実は……食べ物が欲しくて人里まで降りて来ただよ。頼もうとしたけど、皆逃げちまって駄目だなあ。おらは見た目が怖いから仕方ないんだけどよお」
と頭を掻く。
「どういうことだ? また誰か助けているのか?」
こいつはそういう所があるのだ。見た目の割に、俺達の中で誰よりも優しい。
「助けるって程じゃねえんだけどよお。この近くの山で三百年くらい眠ってたんだけど、子供が二人捨てられてたんだあ。親が山奥で心中しようとしてたみたいなんだけど、失敗したみたいでなあ。放っておけなくて、三百年ぶりに起きて来たんだあ」
やっぱりである。
「その子供を保護しているのか?」
「保護なんかじゃねえよお。おらは何もできねえからよお。せめて飯くらいは、って思ったんだが、難しいなあ」
と悲しそうに言う。
「だが……お前が世話をし続ける訳にもいかんだろ?」
がしゃどくろを父に持つ子供達。
うーん、漫画みたいだ。
そう言えばこいつは千年前も人助けばかりしていたな。なのに、嫌われてばかりだ。
「そうなんだけど……。誘いは嬉しいけど、おらはあの子達を置いていけねえよお。父の元に帰そうかとも、思ったんだけど父親は暴力振るうみたいで帰りたくねえって言うんだ」
「分かった。俺がなんとかしてやる」
「本当か! 流石は道満だなあ。頼りになるよ!」
「今は芦屋道弥と言う。道弥と呼べ」
「あいあい。道弥ってんだなあ。今も良い名だあ。おらは好きだ」
とほのぼのと言う。
「とりあえず、子供に会わせてくれ」
「分かったよお。こっちだあ」
案内する仁骨に連れられ子供達の元へ向かう。
その先には小学生低学年くらいの少女と、まだ四歳に満たないくらいの少年が居た。
二人とも痩せており、死んだような目をしている。
俺の顔を見ると、怯えたような表情を浮かべる。
「ひっ、陰陽師……私達はどこにも行かない……ここで死ぬの」
少女はそう言って、仁骨の手に抱き着く。
「父さんの所には戻らない……お前も骨さんを虐めにきたんだろう?」
少年も同様に仁骨の手に貼り付いた。
二人ともやせ細っており、見える腕からは暴力の痕が伺えた。
そのせいか警戒心が高い。
「可哀想に……まだ子供であろう」
真が悲しそうに言う。
「こんにちは。安心してくれ。俺は仁骨を退治しに来た訳じゃない。むしろ仲間なんだ」
俺はしゃがみ込みながら、子供達に話しかける。
「本当に? 何回も陰陽師の人達がこっちに来て、骨さんに攻撃していたよ?」
と疑惑の目を向けてくる。
まあ、これは仕方ないな。
「俺は仲良くなりたくて来たんだ。実際何もしてないでしょ? 俺は道弥って言うんだ。お名前は?」
「……ルカ」
「……ナツキ」
二人が小さい声で言う。
「教えてくれてありがとう、ルカ、ナツキ」
「道弥は良い奴だあ。安心しろお。お前等のことも面倒見てくれるって言ってるんだあ」
「やだ……ここがいい」
「面倒なんて見なくていい。ここに居る」
仁骨の言葉に、子供達が涙ぐみながら叫ぶ。
こいつ……この見た目でここまで子供に好かれるの凄すぎるだろ。
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