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派閥争い

 国の仕組みはよく分からないが、国交省も国会議員も大元では同じ国の一部ではないのか?


「君の疑問も分かる。だが、これは恥ずかしながら派閥の問題でね。どちらががしゃどくろを退治できるか、という話になっているんだ。そこで、君にがしゃどくろの祓除をお願いしたい」


 そう言って蓮華さんは深々と頭を下げた。

 ふむ。依頼内容は悪くない。これなら大手を振ってあいつと対峙できる。


「お気持ちは分かりますが、その案件、三級陰陽師の俺でお受けできるのでしょうか?」


 内容的には明らかに一級依頼だろう。


「そこに関しては問題ない。一級が足りないせいでもあるからね。指名依頼に変更してもらうよ。陰陽師に詳しくはないのだが、君は既に一級妖怪を二度祓除しているらしいね。そんな君が三級に居る方が変だ。国からも一言言っておくよ」


「ありがとうございます。依頼はがしゃどくろの祓除又は調伏でもよろしいですか?」


「調伏? ああ、仲間にするということか? そこはプロに任せるよ。依頼料は二億五千万で構わないかね?」


「問題ありません」


「助かるよ。すまないね、何か必要な者があったらいつでも言ってくれ。君のような若き傑物と今日知り合えたことは、私にとっても良い日だった」


「こちらこそ、今後ともよろしくお願いします」


 蓮華さんは俺と握手を交わした後、そのまま去って行った。


「道弥、ちょうど良かったじゃないか。会う大義名分ができたね」


 黒曜が言う。


「ああ。それでは千年ぶりに会いに行こうか」


 俺達はがしゃどくろの居る千葉県へ向かった。


「ん? ここは通行禁止だ――あ、依頼を受けた方でしたか! どうぞ!」


 警備員に依頼の書類を見せる。


「車を手配しますか? ここから奴の場所まで五十キロ以上ありますよ?」


「いえ、お気遣いなく。すぐに辿り着くので」


 俺は真を顕現させる。


「ええっ⁉ でかっ!」


 驚く警備員をよそに俺は、真の背に乗り先に進む。

 高速道路は一台も車が通っておらず、どこか不思議な風景に感じられた。


「おそらく戦闘にはならん。奴なら戦闘がなくとも式神になってくれるだろう」


「そうですな」


 走り始めてしばらく。遠目からも分かるくらいの巨体がようやく目に入る。

 俺は奴の目の前で真から降りる。


「おい、仁骨(じんこつ)! ひさしぶりだな!」


 昔の仲間である、がしゃどくろ・仁骨に声をかけた。

 仁骨はその巨大な頭蓋骨をこちらに向ける。


「ひぃ……また陰陽師が来たよ……」


 仁骨が怯えたように呟く。


「完全に忘れてるようですな」


 真が呟く。


「仁……骨? はるか昔にそんな、名前で呼ばれていたような?」


「俺だ! 道満だ、仁骨!」


 俺の言葉を聞き、仁骨は驚いたみたいなジェスチャーを取る。

 その巨体ですると、何か危ない仕草に見えるな。


「そうなんだ……久しぶりだねえ。姿が代わったから分からなかったよ」


 とあっさり信じて穏やかな声で言う。


「まあ、色々あったんだ。再び昔の仲間を集めている。俺の式神になってくれ!」


 俺は直球で伝える。


「道満……それは、無理だあ」


 だが、返って来たのは想定外の返事だった。


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