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帰郷

ガタガタと馬車に揺られながら私は外の景色を眺めていた。

ようやくグランバニア入りしたからかホッとした気持ちになる。


私の隣にはアルバート殿下が乗っている。



「シア、本当にあそこにいくのか?」


「えぇ、この問題を解決するにはあの方々の協力も必要ですので」


「『光の大賢者』様の力があればすぐに解決出来そうだけどね」


揶揄う様に私の髪の毛を弄りだすアルバート殿下。


「その二つ名で呼ぶのはやめてください!まぁネタが分かればケルベロスと戦うより簡単に解決できますが」

「そういえばそんなこともあったね、懐かしいなぁ」



そう話してるうちに目的地に着いたようだ。馬車が停まって御者が馬車のドアを開けた。


馬車の向こう側では中年の貴族の夫婦が私達を出迎えてくれた。



「ようこそ我が領へいらっしゃいました。アルバート殿下、シュレーゼン嬢。」


「急な訪問すまないね?



マーキュリー侯爵」


そう、私達が来ていたのはマーキュリー領だ。


マーキュリー侯爵といえば娘のアイリーン様が昔アルバート殿下の婚約者候補の1人だったことは記憶に新しい。

…ということは最終的に婚約者になった私はマーキュリー侯爵家から恨まれていそうなものなのだが…

「アルバート殿下、シュレーゼン嬢におかれましては以前大変お世話になりました。お父君のシュレーゼン侯爵にもよろしくお伝えください。」

…とこの様に良好な関係を築けている。



それは前のロゼリア問題に話は遡る。



未婚の侯爵令嬢でアルバート殿下の婚約者候補だったアイリーン様の妊娠を知ったロゼリア様がアイリーン様に禁術でなりすまし色々やっていたことでアイリーン様含めアイリーン様のご実家のマーキュリー侯爵家もロゼリア様のジュピター公爵家に弱みを握られ支配されつつあった。


そこでジュピター公爵家の害が及ばないように問題があらかた解決するまでシュレーゼン領の別荘をマーキュリー一家に貸していたのだ。

名目上は『アイリーン嬢の休養目的の家族旅行』。


アイリーン様の妊娠を知っているロゼリア様なら休養目的と言えば話が通じるだろう…そう思っての口裏合わせだった。



それから問題も解決しそれに伴ってマーキュリー一家は自領へ帰って行った。


この采配をしたのはアルバート殿下で協力したのは私の実家のシュレーゼン侯爵家…当時は伯爵家だったが…マーキュリー一家はそのことにとても感謝した。


だから自分の娘の地位を押しやったと思われても仕方ない私に対してもこんなに親切な対応をしてくれるのだ。



「早速だがマーキュリー領で生産されているお香を手配したいのだが」

アルバート殿下が本来の目的である『お香』の手配をマーキュリー侯爵に指示した。


そう、私達が今回グランバニアに帰国したのはマーキュリー領のお香を手に入れる為だ。

メルの魅惑の香水対策として神官も重宝しているお香は匂いだけでなく邪気も払ううってつけのアイテムだと閃いたのだ。


それをこの前アルバート殿下とサーシャ様にお話してグランバニアに帰国する手配をしつつマーキュリー侯爵にアポを取った。

まぁ実際色々手配してくれたのはアルバート殿下の指示を手紙で受けてたロイド様なのだが。


「えぇ、すでにこちらに用意してあります。」


沢山のダンボールに詰められているお香は荷運び用の馬車に乗せられることになり、その間マーキュリー家にしばし滞在することになった。



「ルシア様、お待ちになっている間良ければアイリーンに会ってはくれませんか?」

マーキュリー侯爵夫人のお願いに私はすぐに頷き、メイドさんの案内でマーキュリー家の別邸に足を運んだ。



マーキュリー家の屋敷の裏手にある小さなお家…小さなと言っても平民のお家よりは大きいのだが…レンガ造りの可愛らしいお屋敷だった。




マーキュリー一家がシュレーゼン領に滞在していた頃、私はアイリーン様とお話する機会があった。



アイリーン様は当初こちらに来た時はずっと臥せっていたとメイド達から話を聞いていた。


状況が状況だから中々立ち直れないのは分かるがずっと臥せていてはお腹の赤ちゃんにも悪影響だろうと様子を見に来た。

シュレーゼン家の別邸まで行き、マーキュリー侯爵に中を通してもらいアイリーン様がいる部屋まで何回か足を運んだ。



初めは私と会うことにも躊躇していたアイリーン様だが根気よく話しかけてどうにか一緒にお茶を飲む間柄になった。


一緒にお茶をしたときはアイリーン様のきゃぴきゃぴとした本来の性格は鳴りをひそめ深窓の令嬢のような物静かさがあった。

ずっと泣いていたのだろう、冷やしたりはしたものの目は腫れてて見ていて悲しくなるような風貌だった。



それから色々話しているうちに段々アイリーン様も明るくなって私にも打ち解ける様になっていった。



ようやく少し仲良くなったのだが私は王宮へ移動しなければならず、その後アイリーン様がどんな感じで過ごされていたか分からない。



私は少しドキドキしながらマーキュリー家の別邸の玄関の前でアイリーン様に来客を知らせに行った案内役のメイドを待っていた。




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