生徒会
私は学院のとある場所へ向かっている。
それはこの学院の生徒会室だ。
何故アルバート殿下の婚約者とは言え一介の生徒、しかも留学生の私が…?という疑問を持ったがそこでアルバート殿下も活動しているとのことで。
なんでもアルバート殿下と同じクラスメイトである生徒会長と意気投合し仲良くなったんだとか。
その生徒会長曰く本当は最高学年で、新しく生徒会長になるセドリック殿下に仕事の引継ぎをすることが主な仕事なんだが如何せん当のセドリック殿下はあんな感じでとても生徒会の運営をできそうにない為、渋々生徒会長の仕事を引き続き行っているんだとか。
その状況を見て気の毒に思ったアルバート殿下が時間の合間に生徒会の仕事を手伝っているらしい。
しかも元々の生徒会メンバーも人数は揃ってなく、セドリック殿下をはじめとした次期生徒会メンバーがメルのせいで使い物にならなくなったメンバーばかりなのでアルバート殿下の助っ人があっても圧倒的に人が足りない……そこでアルバート殿下が私に声をかけてくれたのだ。
「あぁ!シア!迎えに行けなくてすまない!来てくれてありがとう」
生徒会室に到着しノックをすれば出てきたのはキラキラした笑顔のアルバート殿下で、アルバート殿下のハグと共に生徒会室に迎え入れられた。
「ククッ…こんなアルバートの姿を見るのは初めてだな?」
部屋の奥の方から声が聞こえてアルバート殿下越しに見れば部屋の奥にある大きな机に肘をついて椅子に座って笑っている黒髪の男子生徒がいた。
ぎゃあああ人の前でハグしてるとこ見られちゃってるじゃないか!!そう思ってアルバート殿下から離れようとしたがアルバート殿下は放してくれなかった。
「シアの照れ屋なところは本当にかわいいね?」
アルバート殿下がちょいちょい甘い空気を出してくるが未だに慣れない。
「シア…こちらへ。紹介しよう、彼はフレディック・ローナリア。俺と同じクラスで生徒会長をしている。そしてサザンローナ国王の王弟の子息だ。」
あぁ…なるほど、確か現国王には弟君がいて公爵位を貰ったというのは確かグランバニアの王宮の方で勉強したな、近隣諸国の王族や有力貴族の家族構成等の把握も次期王太子妃として必要な教養なのだ。
なるほど…そのご子息のフレディック様か…ということはセリーヌやセドリック殿下の従兄弟にあたる。
アルバート殿下やセドリック殿下は中性的な美しさも兼ね備えた美男であるのに対しフレディック様は黒髪を後ろに流しワイルドな雰囲気の男前だ。
うっすらと日に焼けた肌は健康的でがっしりとした筋肉がより彼の魅力を引き出している。
「はじめまして、ルシア・シュレーゼンと申します。」
「あぁ、君のことはアルバートに聞いてるよ。いかに素敵な婚約者か、といつも惚気話を聞かされている。」
笑いながら茶目っ気たっぷりにウインクするフレディック様を見てアルバート殿下は普段どんな会話をしてんだ!!と内心ジト目で睨んだ。
当の本人はいつものキラキラした笑顔でさらりと受け流していたが。
「さてと!ほんじゃ早速君達に仕事を頼んで良いか?」
「あぁわかった」
「微力ではございますがよろしくお願いします。」
アルバート殿下は私が来る前からやっていたであろう書類の整理を引き続き行っていた。
私は前に取ったアンケートの集計をフレディック様に頼まれて山積みにされたアンケート用紙と対峙する。
日も傾きかけてきた頃、フレディック様の「休憩しよう」の一言で私はお茶の準備をさせてもらった。
生徒会室には簡易な給湯室や仮眠室がありフレディック様はたまに生徒会室で寝泊まりしているらしい。
仕事に根詰めてる…訳ではなくてただ疲れて自分の寮の部屋に戻るのが面倒になった時だけだ…とのこと。
私の準備したお茶や常備されてるお茶菓子を準備して3人で寛いでいると「あっそうだ、シア」とアルバート殿下が思い出した様に声を出した。
「セドリック殿下やメルの問題について話し合う場に今まで困っていたが、この生徒会室を使っていいとフレディックの許可を貰ったんだ。今度からここで話し合おう」
そう、今までは空き教室で私達は話し合っていたのだが、空き教室だと他の人間に話を聞かれるリスクがあった。
そのリスクを抱えながらの話し合いだったが今度からその憂いも無くなるのか。
「ちなみにフレディックはメルの魅了にかからなかった数少ない被害者だ。そしてフレディックも生徒会の仕事を放棄しているセドリック殿下に頭を抱えているから、この問題を解決したいと思っている俺達にも協力的な考えを持っている。」
「まぁ魅了にかかっていない子息や学院関係者は俺たちに肯定的だと思うがな」
呑気にお茶を飲みながらフレディック様が漏らした。
「大半の人間はセドリックやメルの所業に憤りを感じている。セドリックが一応王子って身分だから感情を公に出していないだけだ。
ひとまずこのことはセリーヌやルークに伝えとくぞ?」
フレディック様の一言でこの話は終わり、今日分の残りの仕事に取り掛かるのだった。




