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新たな学院生活

あれから無事にサザンローナの王立学院に到着し、寮の部屋の荷ほどきも完了させた。


2,3日の休みを挟んでとうとうサザンローナの学院生活が幕を開けた。


私のクラスはセリーヌやルーク様と一緒になった。

アルバート殿下は学年が2つ上なので、ここからはアルバート殿下と別行動になる。


「シア、お昼に迎えに行くから教室で待っていてね?」

アルバート殿下の甘い微笑みを見た他の生徒は男女関係なく頬を赤く染めていた。

アルバート殿下のかっこよさは国境を越えたな…と私は苦笑いを浮かべながらアルバート殿下を見送った。


「ふふっ相変わらずあついわねー」

茶化す様にセリーヌが教室に入ってきた。


「あっおはよう、セリーヌ」

私はセリーヌの元へ行く。



「…セリーヌ殿下だ…!」

「セリーヌ殿下が帰ってこられたっていう噂は本当だったのね?」

「というか、先程の美男はグランバニア王国のアルバート殿下よね?ということは先程アルバート殿下にお声を掛けられ今セリーヌ殿下とお話になってる方が噂のアルバート殿下の婚約者様…?」


私やアルバート殿下の留学とセリーヌ達の帰国の話はあえてギリギリでこちらに伝えられていた。


今の第一王子がそこまでの考えに至るかは分からないが、万が一前もってその情報を知られた際にアルバート殿下の留学の妨害されることを防ぐためだ。


セリーヌは第一王子関連には本当に神経質になっているようだった。


「セリーヌ、少しは肩の力を抜いたほうが良いわよ?良いことも良くない方に転んでしまうわ?良くない方へ転ばせない為の私達でしょう?」

前日そうセリーヌを励ましてようやく本来のセリーヌっぽさが出てきたように思う。



お昼、登校時に言ったようにアルバート殿下が私の教室に迎えに来てくれた。

セリーヌやルーク様と4人で学食の方へ向かい、ちょうど4人掛けの席に着いて昼食を共にした。



4人で談笑している所へ煌びやかな一団が私達の席の方へ歩いてきた。



堂々と真ん中を歩くのはサラサラした黒髪にエメラルドのような意思の強そうな目をした美青年。その腕にはピンク色の髪の毛の女子生徒が抱き着いていた。

その両わきを騎士の様に大事に守る様に歩いてきたのはくすんだ金髪の青年と眼鏡をかけた藍色の髪の青年だった。


(早速お出ましか…)

セリーヌは私にアイコンタクトをしてきた。そこで彼らの正体が分かった。



「セリーヌよ、帰ってきたのに兄である私に挨拶もなしか?」

席の前まで来るや否や挨拶もなしに黒髪の青年はセリーヌに食って掛かった。


「申し訳ございません、てっきりお兄様はこちらのご令嬢と戯れることでお忙しいかと思いましたわ?」

全く申し訳なさそうではない声色でちらりとピンク色の髪の女子生徒に一瞥してから再び黒髪の青年…第一王子の方へ向き直るセリーヌ。


「ふん、メルを言い訳のダシにするな」

第一王子がセリーヌを睨みながらメルと呼ばれたピンクの女子生徒の肩をぎゅっと抱いた。

セリーヌも負けじと睨み返す。



「セドリックさまぁー私、怖いです…」

間抜けっぽそうな間延びした物言いに声をした方へ目を向けた。

ピンク色の髪の毛は緩く巻かれぱっちりとしたブラウンの目は愛らしさを強調しているこのメルという女子生徒が今回の問題の元凶か…。


「ルーク、お前も帰ってきたのか」

第一王子セドリック殿下の右後ろに控えていたくすんだ金髪の青年がセリーヌの正面に座っている同じ髪色のルーク様に声をかけた。

…ということは彼が大きな問題を起こしたルーク様のお兄様か…。


このやり取りの中で今きた人物達の素性を脳内にインプットしていく。



「ふん、挨拶もろくに出来ない妹も妹ならその婚約者も婚約者だな」

あざけた様にセドリック殿下が鼻で笑った。


…あっ…ちょっとイラっときたかも。

…とは言え私がここで口を挟むとろくなことにならないな。


そう思い冷めた目でセドリック殿下含め4人を見ていると


「…そろそろご挨拶してもよろしいかな?」

私の正面に座っていたアルバート殿下が口を開いた。


「なんだ!?」

私やアルバート殿下の存在に今気づいたように声を荒げるセドリック殿下。

ちなみにメルという生徒はセドリック殿下にしな垂れかかりながらアルバート殿下をキラキラした目で見ていた。本当にいい男好きだな、この女。


「今日からこちらの学院にお世話になることになったグランバニア王国のアルバートだ。そしてこちらが私の婚約者のルシアだ。よろしく頼む…と言いたいところだったが」

はぁ…とわざとらしくため息をついた後にセドリック殿下に再び目をやるアルバート殿下。


「仮にも隣国の王族がここにいるんだぞ?その前でよくも見苦しい言い争いができたもんだな?…はてさて、きちんと挨拶ができてないのはどちらなのか…?」


私に負けず劣らずな絶対零度の視線を4人に投げかけるアルバート殿下。


さすがにグランバニアの王族に対して不敬すぎるということに気付いたのかセドリック殿下やその取り巻きの表情が青ざめた。



「ルシアと申します。よろしくおねがいしますね?」

私も作り笑顔で挨拶をした。

その時気付かれない程度の微々たる浄化魔法を垂れ流してみた。



「……!…これは失礼した」

その時セドリック殿下は目を見開きアルバート殿下や私の方を見て一礼した。


…ふむ…少し効果はあったようだが、肝心なのは当の本人といったところか。



恐らくこれは魅了の魔法で間違いないのだが、魅了の魔法は必ずしもかかるというわけではない。

ブレない意思の強さを持つ人や一途に人を想ってる人、そう言った人達はかからない。

逆に浮気心がある人、意思が弱い人はかかりやすく、魔法だけが悪いとは言い切れないのだ。


そして完全に解けるかはその人自身の問題。強力な浄化魔法なら完全に解けるだろうが…彼らの魅了魔法のかかり具合や、当の本人が一体どういう心持ちなのかを確認したかった為敢えて微々たる浄化魔法で実験したのだ。

仮にここで完全に浄化したとしても本人の意思がぐらついていれば、また魅了魔法にかかるだろうしね。

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