セリーヌのお話2(セリーヌ視点)
私の学院の入学が3か月を切った頃、事件が発生した。
兄の友人の1人に騎士団長の息子がいた。
彼も本来なら騎士団に所属し長を務められるくらいの器を持っていた。
その彼が兄の元婚約者の公爵令嬢の家に押し入ったのだ。それも王家が管理している騎士の見習いを何人も連れ立って。
王家に仕えてる貴族の上層部と学院で第一王子達に関係する貴族達は第一王子とその取り巻きが頭がおかしくなっているということは知っていた。だが第一王子という王族がいる以上あまり大事にはできない。
その為騎士の見習いという下っ端も下っ端の彼らまでにはその情報が伝わっていなかった。
彼らの異常性を内密にしていたのが仇となり、彼らは騎士団長の子息の指示で共に第一王子の元婚約者の屋敷に押し入ったのだ。
幸い死者は出なかったものの公爵家の護衛騎士が何名も負傷し、公爵家の物を器物破損するなど決して小さな事件とは済まされない事件が発生した。
これに関して公爵閣下は大激怒した。
娘を蔑ろにするだけでは飽き足らず、この様な暴挙に出た騎士団。そしてそれを管理してるはずの王家。
その公爵を慕っていた貴族の面々も今回の王家の不祥事には堪忍袋の緒が切れた。
それだけではない。
今回の騎士団見習い達の話がたちまち城内に広まり王家に対する不信感が生まれた。
城で働いてた者は相次ぎ辞表を出していった。
父である王はあちこちに奔走した、が、全く成果は出なかった。兄のことも諫めたがこちらも全く効果なし。
最初の息子と公爵家の令嬢の婚約解消の件の時点で何かしら動けば対処のしようがあったのかもしれない。
しかし彼はその時ですら軽く考えていたのだ。
全ては遅すぎたのだ…。
だからといって諦めるわけにはいかない。
王国を維持させることも王族の務めなのだから。
まだそこに住む国民がいる限り諦めるわけにはいかない。
そして何より公爵閣下と原因究明に尽力を尽くすと約束していた。
私や私の婚約者、そして弟王子が色々動いていることは公爵閣下も他の貴族もご存じで私達のことは無下に扱わないが父王と兄王子の信頼はもはや無いに等しかった。
せめてこの令嬢の呪いが解ければ今よりひどいことにはならない…でもどうすれば…。
その時隣国のグランバニア王国のことを思い出した。
たしかあそこの王族は呪いが効かない。そして魔法に関して言えば我が国よりも発展しているから呪いの解呪法だって詳しいかもしれない。
その助力を交渉するためグランバニア王国に行くことを決意した。
その時私の弟が言った。
「助力を求めるといっても相手は王族。王族自ら助力に応じてくれるとは限りません。ここは1人でも多くこの状況を助けてくれそうな力のある者との繋がりも大事になってくるかもしれません」
弟は今では兄王子より聡明で頼りになる王子へと成長していた。
そんな弟の意見になるほど…確かに…と理解できた。
結論として私とその婚約者で留学生としてグランバニア王国の学院に入学することにした。弟は私の2つ下でまだ入学できない為自国に残ることになったが弟曰く「まともな王族1人は自国に残ってた方良いでしょ?」とのことで。
ただ今やサザンローナのきな臭さはこの国にも伝わりつつあった為、サザンローナの関係者ということを伏せての入国だった。
そのことについてもグランバニア王国の上層部に許可を貰った。
それから遠縁のドゥオンヌ家やドゥオンヌ家の親戚関係にあたる貴族達の力も借りてグランバニア王国の学院に無事入学したのだった。




