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セリーヌのお話1(セリーヌ視点)

私はサザンローナの第一王女として生まれ、1つ上の兄と2つ下の弟がいる。


昔の兄は優秀な方だった。

それこそ当時隣国のグランバニア王国のまだ第一王子だったアルバート殿下に負けず劣らずな優秀さではないか?と周りの人間からも言われていたほど。


私や弟はそんな兄が誇らしかった。


しかしそんな兄はサザンローナの王立学院に入学してから変わってしまった。



初めは兄の周りの友人達がおかしくなっていった。


元々彼らも次期王太子の側近である為どの友人も優秀であった。


しかし婚約者がいるにも関わらず、1人の令嬢に現を抜かしていった。

そして側近で本来なら主である兄を守る役目があるにも関わらず、そんな得体の知れない令嬢に兄を近付け、そして兄もおかしくなった。


私はまだ学院生ではなかった為私の耳に入った頃には既に兄は私の知ってる兄ではなかった。


あんなに大事にしていた婚約者に冷たく接する様になり、将来義姉になる彼女に懐いていた私は久々に会った時にはショックで何も言えなくなってしまった。




兄に義姉となる令嬢と久々に会いたい!会って色々お話をしたい!とお願いしたが、兄は「あんな性悪と会うのをやめろ」と今まででは到底言わない様なことを言って私を跳ね除けた。その頃だろうか、兄に違和感を感じたのは。


何度頼んでも取り次いでもらえなかった私はこっそりと義姉の実家の公爵家にお邪魔しても良いか?と尋ねる手紙を送ったのだ。


そして公爵家の許可を得て私は義姉になる公爵令嬢の元を訪れたのだ。



彼女は元々ほっそりとしている方だったがある程度肉付きもあった気がする。儚げな印象はあるが決して病的な感じではなかった。


しかし久々にあった彼女は顔色は悪く頬は少しこけ目の下に隈ができ、目は充血し腫れぼったくなっていた。

カップを持つ手首はもはや骨しかない様な細さで、カップを持った瞬間折れるんじゃなかろうか?と心配になるレベルだった。



そんな感じでお茶会を終え、帰宅しようとした私に彼女の父でもある公爵閣下が声をかけてきた。


「これは第一王女であるセリーヌ殿下に申すべきことではないことは承知です。が、我が娘に良くしてくれた御恩がある為予め申し上げたいことが。

第一王子殿下のことで気を病んだ娘はあの通りとても次期王太子妃になれる様な状況じゃありません。しかも彼女に新たな病気が見つかり領地にて静養させようと考えております。

つきましては後日王宮に婚約者辞退の申し出に参りたいと思いますので、よろしくお願いします」


「そうでしたか…知らなかったとはいえ兄が…第一王子が申し訳ありませんでした。

罪滅ぼしにはならないと思いますが、この様になった原因を探して参りたいと思います。」


そう言って私は公爵家を後にした。

後日正式に兄の婚約は解消された。

しかし兄もその周りの友人も事の重大さが全く分かっていなく、呑気に1人の令嬢の取り合いを始めていた。



私の婚約者の手も借り本格的に兄をはじめとするおかしくなった子息及びその問題の中心にいる令嬢を調べていたが、調べれば調べるほど埃が出る様に第一王子の悪行の数々が出てきた。


例の令嬢に本来婚約者に当てる費用を使い贈り物をしていたり、それだけでは足りず国庫からも捻出していた。


他の友人も似たようなことをしていて、自分の家が統治している領地の資金や自分の家が運営している店の資金を横領してその令嬢に注ぎ込んでいた。


彼らの実家はどこも有数の資産家で有力貴族であるが帳簿で見る限り傾き加減が見えるあたりかなりの額をつぎ込んだものと思われた。もちろん機敏な貴族達はその傾き加減をいち早く察知したのだろう。

次から次へとその友人達の婚約が解消されていった。もちろんその愚行は今や一部の貴族の間では有名になっていた、私の兄の愚行も。



そして問題の令嬢はしがない男爵家の娘ということが分かった。

両親はかなりの野心家で自分の娘が有力貴族の子息と仲良くなっていることにただ喜んでいる愚か者。

そして当の本人も今や逆ハーレムと化してるこの状況にまんざらでもない様子らしい。

しかしどうもその話に裏があるようだ。


それは兄の友人達の元婚約者の証言。彼女達は婚約を解消する前にそれぞれ婚約者と会って話をしたそうだ。

今では婚約者同士のお茶会ですらすっぽかす彼ららしいが、そこは彼女達が一枚上手のようで、「自分達は身を引き今後はあなたの恋の応援をしたいのでどうか最後に一緒に会ってお話しませんか?」といった内容の手紙を書いたらしい。


自分達の思う様にことが進んだことに気を良くした彼らもその誘いにまんまと乗ったのだが、その時の彼らがいつもと違うことに気が付いたのだとか。


それを共通して言えることが心ここにあらずだったこと。目がとろんとしていてどうにか会話は成り立っているようだったが、こいつ大丈夫か?と思えるような状態であったという。



そして学者が家系の元婚約者の1人だった令嬢が呟いた。「これはもしや魅了か何かの呪いではないのか?」と。


私の婚約者とも一緒に調べた結果それが濃厚で、なんなら呪いを使ったかもしれない証拠まで握ることに成功した。


ここまで来る頃には私の学院の入学まで3か月を切った時だった。

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