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王女セリーヌ

「いだだだだ…!!!」

「お嬢様、はしたないです。少し声を抑えてください。」

アンに冷たくあしらわれながら私はマッサージを施されていた。


その様子をリリアンヌとフィナが苦笑いを浮かべながら見ている。


それは先ほど行ったダンスのレッスンで背中の筋を痛めた為マッサージを施されてる訳だけども、これはとどめを刺しにきてるんじゃなかろうか?と思うような痛みだ。


「筋を痛めたところはそんなに強くしてませんよ?今押してる部分は凝りがひどいところです。お嬢様は一度勉強に着手するとしばらく同じ体勢でなさるので凝りがひどくなってるんですよ」

「忙しいと言ってマッサージもサボりますしね?」という嫌味も付け足しながら凝ってる部分をグリグリと押すアン。





「ふう…」

爽やかな甘みのフルーツジュースを頂きながら休憩している。

今日は確かあとは何も予定が無かったはずだ。

王妃教育も順調に進んでるらしく、聖女教育も長い間聖女として活動しているソフィアからの教えもあり、ようやく板についてきたかな?という感じで、忙しいっちゃ忙しいけど前ほどの詰め込み具合ではなくなった様な気がする。


お菓子として出されたチョコレートに舌鼓を打っているとドアをノックする音が聞こえた。


リリアンヌがその対応に行ってもらう。


リリアンヌが戻ってくると

「お兄さm…ロイド様がルシア様に緊急の用事があるそうなのでお通ししてもよろしいですか?」


「良いわよ、あとリリアンヌ、ここでならロイド様をお兄様って呼んでも良いわよ?」

今ではフロー子爵家の養女と言えどロイド様の妹であることには変わらない。

前はアルバート殿下の婚約者候補の見張りもあったから公には出来なかっただろうが、今はそのお役目もなくなったことだし差し支えはないだろう。

そう思い言えば「ありがとうございます」とにっこり微笑んだ。美少女の笑顔は尊い。



ロイド様が部屋に入るなり「ルシア様、大至急ついて来てください」と言った。

そういえば今どうでも良い情報だけど私がアルバート殿下の婚約者になってからは『ルシア嬢』ではなく『ルシア様』と呼ばれるようになった。


そんな感じでロイド様に連れられて向かった先は応接間の一室だった。


促されて入れば、そこにはアルバート殿下とクリス様と見知らぬ女性が2人いた。


見知らぬ女性のうち1人は侍女の方なのだろう。後ろの方で待機しているようだった。

もう1人の女性はその侍女の主なのだろう。ソファーに座っていたのだが私を見て立ち上がった。

彼女は私と同じくらいの年齢だろう。大人びた雰囲気の黒髪の上品な出で立ちの少女。

…でも何故だろう、初対面なのに既視感があるような…



「シア、初めにこちらの女性を紹介しよう。

こちらはセリーヌ殿下…サザンローナの第一王女だ。」


…サザンローナの…第一…王女…!?



こ、これは!!私の日頃の外交の勉強の成果を発揮する場なのか!?

というか最初から王族相手とか難易度高すぎでは!?


「お初にお目にかかります、ルシア・シュレーゼンと申します。」

内心ドキドキしながらお辞儀した。


その姿を見てクスクス笑い出したアルバート殿下。

「シア、こちらに座って?大事な話があるんだ」

そう言われクリス様とはアルバート殿下を挟んで逆隣りに座った。



「ルシア様、この度はアルバート殿下とのご婚約おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「早速本題に入らせて頂いてよろしいですか?」

「はい」

セリーヌ殿下からお祝いの言葉を頂いてから、私は先ほどまでアルバート殿下とセリーヌ殿下が話していたであろう内容をセリーヌ殿下に聞かせてもらった。



しばらくセリーヌ殿下のお話を聞いて私が考え込むように口を開いた。

「なるほど…現在サザンローナはそのような状況なのですね?」

前前世、私は乙女ゲームは守備範囲外だった為プレイしたことなかったが、それを題材にした小説は読んだことがあり、聞けば聞く程昔読んでたような小説の乙女ゲームと似ている。


しかもそれが魅了うんぬんの呪いかもしれない、という点では悪質な方の、だ。



「私もサザンローナに対し協力するのは賛成です、が、私達が行けば確実に問題は解決するのですか?」

「わかりません…が、もうこれしか方法が残ってなくて、こちらの王太子殿下は呪いが効かず、大聖女であられるルシア様のお力に頼るしか…身内の恥にグランバニア王国を巻き込む形になってしまい大変申し訳ないのですが…」

「それは大丈夫なのですが、困った時はお互い様と言いますし…!あと一つ気になることがあったのですが…」

「…なんでしょうか?」

私の言葉に美しいエメラルドグリーンの目が私を射抜いた。


私は先ほどからずっと気になっていたことを思い切って聞いてみた。


「私達、どこかでお会いしたことありますか?」


しばし私達の間に沈黙が流れる。




「ふふふっ」

沈黙を破るように黒髪の美少女が笑い出した。


「やっぱり、あなたには適わないわね?……ルシア」

先程の凛々しい声色とは打って変わって親密さを全面に出した声を出した。





「…もしかして、セーラ?」


そう呟けばセリーヌ殿下の髪色がいつもの見慣れてる濃いめの茶色に様変わりした。

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