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王宮の一室にて(三人称視点)

王宮の応接間の部屋がいくつか連なる区画の廊下を王太子殿下であるアルバート殿下を中心に側近のロイド様やクリス様、王宮騎士の数名が足早に進んでいく。


ある部屋の前に止まり、側近の1人がドアをノックした。


部屋の中にいる人物の返事を待ち、程なくしてアルバート殿下達は部屋の中へと入って行った。



部屋にはメイドが数名壁の方に待機しており、ソファーの後ろには侍女らしき人物が控えていた。

そしてその侍女の主らしき女性がソファーに座っていたがアルバート殿下が入室した時立ち上がり深々とお辞儀した。


「そう固くならずそちらに掛けてくれ」

そう言ってアルバート殿下は女性にソファーに座らせた。


「アルバート殿下におかれましては先日ご婚約が発表されたとお聞きしました。おめでとうございます。」

女性はソファーに座りなおしアルバート殿下にお祝いの言葉をかけた。


「ありがとう」

アルバート殿下も対面するようにソファーに座り、ロイド様とクリス様を両脇に座らせる。

本来側近は後ろの方へ控えらせるのだが、今から始まる話し合いの場においてこの2人も話し合いに加えらせる為の指示だった。


それに関しては女性側も何も異議もなく受け入れた。


アルバート殿下は壁際に控えていたメイド達が自分達の分のお茶やらを準備し終えたのを確認すると下がらせた。


この部屋にはアルバート殿下とロイド様、クリス様と向かい合わせに着席している女性とその女性の侍女しかいない。



アルバート殿下は改めて対面した女性を失礼のない程度に観察した。


女性といっても年齢的にアルバート殿下と同じくらいかやや下の年の頃の顔立ちで、ちょうどアルバート殿下の婚約者となったルシア嬢と同じくらいの年齢だが、雰囲気がどこか大人びていて凛々しく感じるのは彼女の生い立ちのせいなのか。


漆黒の髪の毛は美しく緩やかにカールされ肌の色がより一層白く感じさせるが、うっすらした頬の赤みと意思の強そうなエメラルドグリーンの目が健康的で儚さを感じさせない快活な美しさを作り上げている。




このまだ少女とも呼べそうな年ごろの女性が徐に口を開いた。


「この度はお忙しい中面会に応じて頂きありがとうございます。早速本題に入りたいのですがよろしいですか?」

遠慮がちに女性が声をかければアルバート殿下は朗らかな笑みを浮かべて答える。


「えぇ…それにあなたの面会理由についてはおおよそ把握はできていますよ?





サザンローナ第一王女、セリーヌ王女殿下。」



女性…セリーヌ王女は自分の肩書も言われたことで緊張が走った。

いや、お互い王族で面識がある為自分の肩書を言われて焦ったわけではない。

自分の国の実情があまりにもよろしくないことでアルバート殿下からどんな対応を受けるのか…アルバート殿下とのこれからの話し合いに改めて緊張しているのだ。


「セリーヌ殿下はご自分の国を改善したいとお考えなのだろう?そこで我が国に助力を求めに来たといったところか…」


「さすがはアルバート殿下、話が早いですね…はい、その通りです。お恥ずかしながら私の手だけでは正直改善がとても難しく、隣国で大国でもあられるグランバニア王国の援助を求めたいと考えこちらへ馳せ参じた次第でございます」


悲痛な表情を浮かべ深々と頭を下げるセリーヌ殿下。

顔を上げさせたアルバート殿下はセリーヌ殿下に質問を投げかけた。


「援助については反対しない。今はこの様な事態になってるサザンローナだが問題が起こる以前は友好な同盟国で隣人であったのだから。

だが具体的な策はあるのか?」


「はい、策を講じお願いにあがりました。

アルバート殿下並びにそのご婚約者様であられるルシア様に我が国に半年ほど留学していただきたいのです」


「ほう、私とシアに?何故2人なのだ?」


「今回の問題は特殊でして…身内の恥なので大変恥ずかしながら申し上げると、そもそも今回の問題は兄である第一王子の身の振り方が原因です。

元々彼は次期王太子として精進しておりました。しかしその第一王子やその側近達がことごとく1人の令嬢に現を抜かすという問題が起きてしまいました。

ただその令嬢が何やら胡散臭くて魅了の呪いかそれに近いものの類を感じるのです。

グランバニア王国の王族の方々はそういった呪いを無効にする不思議な力を持つと聞きます。それにアルバート殿下の婚約者であられるルシア様は大聖女の力を持つ方…呪いやその関連の邪な力を祓う聖なる力で助けて頂きたいのです。」


「なるほど…セリーヌ殿下の考えは分かった。

こちらもそれに関しては協力したいと考えている…がいくつか条件がある。」



「なんでしょうか…?」


「一つ目、この話に我が婚約者の協力も仰ぐならその先の話し合いは私の婚約者も同伴させてもらう。

というか今話したことを含めルシアにも情報を共有したいからセリーヌ殿下さえ良ければ今からここにルシアを呼ぶ。

二つ目、私はあなたの仮の姿も知っているから何も問題はないが、あなたは学院生の間で都市伝説と化してる留学生の正体なのだろう?それをルシアにも打ち明けることだ。

三つ目、この場に我が婚約者を呼び、その1つ目と2つ目の条件を実行し正当な理由をもって協力に難色を示した場合、この援助は保留とする。協力の拒否ではなく保留だ。


この3つの条件を飲めたなら私は協力に賛成しよう」


「かしこまりました、その条件で是非お願いします…!」


セリーヌ殿下のその言葉を聞いてロイド様が立ち上がり部屋を後にした。


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