誤解が解かれて
一体何が起きたのか…
私は口をあんぐり開けながらアルを見ていた。
アルはそんな私を見て再び口を開いた。
「最近シアと一緒に学院に行ってなかったね?俺はシアとの今の関係では満足できなかった…一緒にいればいるほどもっと近くにいたいって思って、好きだった気持ちももっともっと大きくなっていった。だからシアにプロポーズしようと決めてね?シアに内緒に婚約指輪を買おうとしてたんだ。」
アルは照れくさそうに笑った。
「それで彫金師としての腕も名高いネプチューン子爵家にオーダーメイドの打診をしてその令嬢にも協力してもらったんだ。彼女は彫金師としての腕はまだまだだが、デザイナーとしてはとても有能だったからね、婚約指輪の案を色々考えてもらって俺も色んなデザイン見てつい興奮してた。だから恐らくシアが図書館で見た光景はその時の事だったんじゃないかと思う」
あぁ…なるほど…ということは図書館の机に広がっていたプリントはつまり婚約指輪のデザイン画で今まで打ち合わせの為に例のご令嬢と共に行動することが多かったのか。
「令嬢と行動をするときはいらぬ誤解を周りにも与えたくなかったからロイドかクリスにも同伴してもらっていたし、図書館にいる時も実はロイドもいたんだ。だから令嬢にときめいたとかキスしたとか後ろめたいことももちろん何もない。」
アルは力強く断言した。
「だからどうか、俺の気持ちに応えてくれないか?一緒にいたいと思うのもキスしたいと思うのもシアだけなんだ」
最後には切実な声で私に愛を囁いた。
「はい…私も好きです…」
そう答えればアルは立ち上がって思いきり私を抱きしめた。
私の左手には先ほどアルからもらった指輪が光っている。
私達は再びベンチに腰を掛けてお喋りを楽しんでいた。
「シア、シアはやきもち妬いてくれてたんだね?」
「え」
「泣いてたシアを見た時はさ頭の中真っ白になって俺嫌われたかもってかなり焦ってたけど、シアが泣いてた理由を考えてた時もしや図書館で誤解するようなとこ見たのかな?って思った時焦りはもちろんあったんだけど嬉しかったし、シアとても可愛かった」
「ぎゃあああああごめんなさい!!もう忘れてくださいお願いします!!!」
恥ずかしさのあまり顔を両手で覆った。もはやあれは私の黒歴史以外の何物でもない。
そして誤解してショック受けてセーラの家に飛び込んで…私、めちゃくちゃ痛い人じゃないか…。
アルバート殿下はうーんうーん唸ってる私の肩を抱き寄せて耳元で「顔をあげて」と囁いた。
言われた通り顔をあげると唇に柔らかい感触…と共に目の前にはアルのどアップ。
「!!!!」
あのね…
ここ外おおおおおおおおお!!
名残惜しそうに唇を離すアルは私を見て「本当にかわいい」と蕩ける笑顔を浮かべた。
「…絶対私で遊んでますよね?」
真っ赤な顔でむすっと聞けば「シアが可愛いのが悪い」と返ってきた。
いきなりこんな甘い空気になるなんて…とても恋愛初心者の私には耐えられん!!そう思い再び両手で顔を覆う。
そんな私をアルが熱の籠った目で見ていたことなど私は知らない。
「シア、今日は王宮へ帰ってくるよね?」
少し不安そうな表情でアルが聞いてきた。
「えぇ、あ、そうだ。セーラに一応伝えなくちゃ」
今朝バタバタとドゥオンヌ家を後にしたから、今頃心配をかけてるかもしれない。
「それなら大丈夫、ドゥオンヌ家に遣いをやったから」
「…用意周到すぎやしません?」
「今日はなんとしてもシアを連れ帰るって思ってたからね、その辺の手回しに抜かりはないよ」
「まぁどっちにしても今日は王宮へ帰る予定でしたがね?」
「お、そうだったのか」
「えぇ、次アルとお会いする時までには気持ちを整理してアルとネプチューン嬢をきちんとお祝いしようと思っておりました。」
「……誤解が解けて良かったと心の底から思うよ」
はーーーっと深いため息をついたアル。
アルバートside
俺は再びシアに想いを伝えようと考えていた。もちろん結婚相手もシアをと望んでいる。
だからプロポーズをしようと婚約指輪をオーダーメイドしようとしたのが後に大惨事になりかけてしまう。
やはりプロポーズには良い指輪を送りたい、と、彫金師として有名なネプチューン子爵に頼むことにした。
そしてそこの令嬢も彫金師として修業中の身なのだが女性独自の視点でのアクセサリーのデザインは世の貴婦人方には好評らしく、ネプチューン親子に世話になることにした。
彼ら親子は賢く口も堅いから公に婚約発表が済むまで黙っていてくれるだろうと安心して世話になることができた。
そこから先は先ほどシアにも言った通りだ。
ネプチューン嬢のことは腕のいいデザイナーだということしか正直知らないし、互いに仕事を頼んだ者と仕事を引き受けた者としての間柄しかないと思っている。
だがいくら何でもない間柄とは言え過度に密接するのは誤解を招くよな…俺もシアが何でもない間柄とは言え男とぴったりくっついていたら嫌だ。
しかし色々あったが、シアと無事に心が通じ合ったのはとても嬉しかった。
色々そつなくこなすイメージのシアだが男に関してはとても初々しい反応を示す。
今まで俺を友人としてしか見てなかったシアが色んな一面が見せてくれてとても嬉しい反面、こんな可愛いシアを他の奴に見せたくないという気持ちが沸き上がった。




