プレゼンの成果2
私達が通されたのは以前私がハンバーガーのプレゼンをした部屋だった。
テーブルにはお茶とお茶菓子が置いてあり、女将さんが「ごめんね!ちょっと待っててねー」と忙しそうに店に戻ったので私達は出されたお茶をご馳走になっていた。
あの頃はプレゼンをすることに精一杯で周りを見る余裕もなかったけど、この部屋は温かみのある素敵な部屋だ。
木のテーブルが部屋の中心に置かれ、部屋の隅には本棚があり料理関係の本がぎっしり収納されている。
木でできた棚には今よりも若い女将さんと旦那さん、そして男の子が映った写真が飾られていた。
「あーーこれね、うちの自慢の息子よ」
写真を見ていたらお店から女将さんと旦那さんが戻ってきた。
「息子も旦那のようになりたいって言って料理人になったの。まだ見習いだけどねー。お待たせ!今ようやく落ち着いてきたから休憩時間取れたわ」
「あっ勝手に写真見てごめんなさい、あと忙しい時にお時間いただきありがとうございます」
「ふふっ写真はいくらでも見てってー!久々に息子の話が出来て嬉しいわー。今は隣国のサザンローナで料理人の修行してるからもうかれこれ2年会ってなくてねぇ」
2年か…それなら女将さん夫婦も寂しかろう…。それにしても息子さん、サザンローナに修行に行ってるのか…。
サザンローナと聞いてふとこの国グランバニアがサザンローナと最近疎遠になってることを思い出した。
…っと今はそれは置いといて。
「お店の売り上げの方はいかがですか?」
「ふふっあなた達も見たでしょ?あのお客さんの数!シアちゃんが提供してくれたハンバーガーのレシピのおかげで店を持ち直すことが出来たよ!…あっそういえばシアちゃんって貴族のお嬢様だったっけ…」
「いいんですよ!シアちゃんで!前も言ったじゃないですか!…それよりもお店の売り上げがのびて良かったです!」
「本当に私どものお店を救ってくれてありがとう…なんとお礼をしたらいいやら…」
夫婦2人が心の底から嬉しそうに店の近況を教えてくれた。
「もちろんシアちゃんの領地の方もバンバン宣伝させてもらってるよー!」
女将さんがニカッと良い笑顔で親指を立てた。
「ふふふ、ありがとうございます」
「あ、そうだせっかくだしうちのハンバーガー食べてってよ!そこのお兄ちゃん2人も!」
「えっそんな…よろしいんですか?」
「わーい!」
アルの困惑した声とエドの喜んだ声に「いいんだよ!シアちゃんのお友達だし、そこの僕もいつもご贔屓してくれるからね!」とエドにウィンクしながら応える女将さん。
そうこうしてる内に旦那さんが紙に包まれたハンバーガーを持ってきてくれた。
「はい!シュレーゼン領名物ハンバーガーだよ!」
旦那さんが元気よく私達の目の前に配ってくれた。こんないきいきした旦那さんを見るのは初めてかもしれない。
「美味しい!!」
「…うまいな…!」
エドはニコニコとアルも顔を綻ばせて食べていた。
私ももちろん美味しく頂きました。
それから他愛ない話をして和やかな雰囲気だった。
「…でねぇ、うちの息子ったら旦那みたいな料理人になる!!って言って家を出たのよ」
女将さんは写真の一件から息子の話がしたくて仕方ないようだ。
「最近息子から聞いた話ではねぇ、息子のお師匠さんがサザンローナの王宮の料理人をするほどの腕前だったんですって!すごい人の弟子になれたって手紙からも嬉しそうなのが伝わってきたわー。」
「へええ、息子さんのお師匠さん、王宮料理人だったんですか?それはすごいですね」
アルの相槌に女将さんはニコニコしながら頷く。
「そうなのよー!ただ息子曰くお師匠さんはまだ若い方なのに王宮料理人を辞めてしまわれたのがとても不思議だって言ってたわねー…なんでもお師匠さんが仲良くしていた王宮勤めの方もまだ若いのに辞めてしまわれたって話だし…私としては外国でちゃんとやれてるか心配だから早くグランバニアに帰ってきてほしいのだけどねぇ…」
最後には女将さんは心配そうにため息をついた。
「お客さんを困らせてどうする」
旦那さんのツッコミでごめんなさいねーと苦笑いを浮かべて謝る女将さん。
でも確かに今サザンローナって雲行き怪しいって王宮の教師陣から習って知ったから、そんなとこに息子さんがいるとなると心配になるよね…。
そんな感じに色々お喋りに花を咲かせて、このハンバーガーの会はお開きになった。
「ルシア様!ハンバーガー成功して良かったですね!」
エドワード殿下がにこにこ笑顔で私に言ってきた。
王都から帰ってきて今はアルバート殿下の応接室で寛いでる。
アルバート殿下の執事に出してもらったお茶を飲みながら今日のことを振り返っていた。
「今日はシアとエドワードと出かけられてとても有意義な時間を過ごせた。」
「それなら良かったです!…あの今後も王都へ出かけても良いですか?」
「勉強で良い成績を取れたら良いだろう。ただしきちんと護衛と行動するように」
前のめりになりながらお伺いを立ててるエドワード殿下にいくつか条件を提示して了承するアルバート殿下。
「…わかりました…」
若干落ち込むエドワード殿下だった。
「シア、また一緒に王都へ行こう?」
私ににっこり笑顔で誘うアルバート殿下。
「今度はアルバート殿下のおすすめのお店を教えてくださいね?」と言えば嬉しそうに喜ぶ顔を見て私も嬉しくなった。




