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逆流人生

ケルベロスが邪の属性の先ほどとは違った技を繰り出してきた。


黒紫の光線を3つの頭それぞれが放った。


ソフィアやアルバート殿下達が立っていたところはソフィアの結界でどうにか凌いでた。


「シア!!!」

私も間一髪でどうにかロゼリア様の元へ到着しロゼリア様の前に立って光線を遮った。

…どうやらもう1発食らったらソフィアの守護魔法は解けてしまう。今以上の邪の魔力が強い攻撃がきたらひとたまりもない…早くロゼリア様を避難させなくては。



だがしかし、嫌な予感というものは当たるもので…。ケルベロスが再び構えの姿勢を作った。

先程より魔力を溜めてる感じがする。



「……こりゃやばいわね…」


アルバート殿下に言えば止められるから言わなかったけども私の策もはっきり言って無謀な挑戦だった。

あとはみんなが隙を見て逃げてくれれば良いんだけど…。


周りの空気が禍々しいものに変わりつつあったとき私は何気なくみんなのいる方の見た。


みんなも更に強い技がくることを勘付いてるようだ。みんなは絶望したような表情で私を見る。

(隙を見つけて逃げて)


私はジェスチャーでそう指示した後みんなと出会えて良かったと想いを込めて微笑んだ。

アルバート殿下は目を見開いてこの世の終わりのような表情をしていた。



その瞬間先ほどの数倍の大きさの邪の光線が私達を襲った。

最後に「シア!!!!」という呼び声を最後に聞いて私は意識を失った。







「ん…」


私は目を覚ました。ん?目…?私はあの時死んだんじゃなかったのか…?


…は!?まさか…また転生したのか?今度は何だ。

そう思って周りを見ればどうやら私は乗り物に乗っていて空を飛んでいるらしい。でもこれは飛行機ではない…これは…飛空艇?


「リーナ、大丈夫か?」

未だボーっとしてる私に男性が声をかけた。

いや、私はリーナじゃなくてルシア・シュレーゼン…ん?リーナ?なんで私の前世の名前を知ってるの?


そう思い男性の方を見れば……前世で仲間だった英雄ではないか。


そしてよく見れば騎士の男性、魔法使いの女性、弓を扱うエルフの男性も私を心配そうに見ている。



私は自身を見る。鏡がないから自分の顔をみることができないが、胸元あたりまでふわふわとした色素の薄い金の髪がおろされている。


「お前が気に病むのもしかたない…これから魔王を倒しに行くんだからな…」

英雄が苦しそうな表情で呟く。


これは前世、魔王を倒しに行く道中と同じ時間軸ではないのか?ということは過去に戻ったの…?

いや、過去に戻ったとしたなら私はその後の出来事を知っている。

魔王の呪いを一身に受けて私は…。


「もしリーナが嫌だと思うなら今なら間に合う、近くの村に降ろすこともできるぞ?」

英雄は優し気な表情で私の様子を窺う。

他のみんなもうんうんと頷いてくれた。


でもなぜかは知らないけれど私は彼らと一緒に行かねばならない気がした。

「大丈夫、いこう!」

例えこれから私が死ぬと分かっていても…。





ようやく魔王と対峙する。

「逃げずにここまで来たのだな」

前回と同じ言葉を発する…が、前回では言葉を発してきたと同時に攻撃を繰り出していたはず…。

何も来ないことに不信感を覚えた私は魔王を見る。魔王も私を見ていた。


「……お前は一体なんだ?」

得体のしれないものを見る様に私を凝視している。仲間達も何事だ?という風に私を見た。


「お前は我が古の魔導師の一族の力を受け継ぎし人間であることは違いないのだが…一体どういうことなんだ?」

んん??前回と言うことが違うぞ。


「お前の身に宿している魔力が全部魂を守るように包んでいるんだ。だから恐らくお前は今魔法が使えないんだろう?だがそんな魂を傷つけるレベルの技を使いこなせるのは私しかいない…お前の身に一体何があった?」


魔王が驚いたように私を見ていた。


んーーーとても面倒だが、この答えを言うには私のこれまであった出来事を教えねばならないか…。


私はこれまであった出来事を魔王に話した。


実は魔王と対峙したのはこれが2回目であること。前回は魔王が命がけの呪いで私達を殺そうとしたこと。私がその呪いを一身に受けたこと。

そして気が付いたらこの世界とは違った世界で生まれ変わったこと。

その生まれ変わった世界でも命をかけて攻撃を浴び、気が付いたら再びここにいたこと。



最初は魔王も仲間も信じられないような顔をしていたが、静かに私の話を聞いてくれていた。


「…なるほど、お前の話を聞けば全て辻褄があう。とても信じられない話だが、これは信じる以外ないな」

今や戦闘態勢を解いた魔王が顎に手を当て考え事をしているようだった。


「そのお前が言った私が放った呪いというのはおそらく魂すら跡形も無くなる呪いなのだ。だからその呪いを受ければ生まれ変わるなんてことはあり得ないのだが、お前が持つ古の魔導師の魔力…我が妹がお前に託した力が最後にお前の魂を守ったのか…」


「魂を魔力で包んで守った影響でお前の魔力は空になっているのか…、道理でおかしいと思った。お前の魔力の器は古の魔導師と同様底を知らない程であるのに何故肝心の魔力が空なのか…今『はじめて』会った時おかしな人間が来たと思ったよ」


そう言いながら豪快に笑う魔王。こんな朗らかな魔王を初めて見るからか英雄一行は呆然と魔王を見つめていた。


しかし分かったことがある。何故ルシア・シュレーゼンが魔力無しになってしまったか。

前世で全魔力を無意識のうちに魂を包む方へもっていったため魔力が空になってしまったのか。



「…しかし今世でも来世でも人を助ける為に命を賭してるなんて本当に馬鹿げた人間だな、私が言うのもなんだが少し命を大事に生活できんのか?」

クックックと笑いながら言う魔王に私はムッとした。


「そりゃできれば静かに暮らしたいんですがね?なんの憂いもなく何も心配もせずに生きていたいんですけど…こうなっちゃあしょうがないじゃないですか…」

不貞腐れたように言えば魔王は再び豪快に笑いだした。


「ははははっ…はぁ、そうか、しかしなるほど…我が妹は自分の力を継承しようと他の人間の魂を選んで魂に力を吸収させる術を最後に使ったのだ。

私はそれは今までずっと愚かなことだと思っていた。こんなことをしてなんの意味がある?と人間にそんな施しは必要なのか?と

…だが今のお前を見て少し考え方は変わったよ。まだまだ人間は捨てたもんじゃなかった。我が妹は決して間違えた選択をしたわけじゃなかった。」

魔王は穏やかな表情で言った。

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