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露わになった悪意

「ふふふっ…あははははは」

表情が消え俯いたと思ったら今度は淑女らしからぬ大きな声で笑い声をあげた。



「はぁーー…そうですか…ご存知でいらしたのね…」

アルバート殿下を見据えるロゼリア様の表情には得体の知れない恐ろしさがあった。

アルバート殿下も無表情でロゼリア様を見据える。


「禁忌の術を使いアイリーン様になりすましアイリーン様の領地で毒の手配をしたのもソフィアさんに仕掛けたのも私。あそこにいるケルベロスを召喚したのも私。」


もはや淑女の顔を脱ぎ去った彼女の表情はさながら悪女そのものだった。



「一体何故そんなことを…」


「ソフィアさん?あなた残酷な人ね?それをあなたがお聞きになるの?」

ロゼリア様は凶悪な笑みをソフィアに向けて馬鹿にしたような笑いをする。


「私はジュピター公爵家として生まれた時から王家の…アルバート殿下の妃としてふさわしくあることを求めてこられましたの。私自身それはとても嬉しく思っておりましたわ」

ロゼリア様がアルバート殿下に視線を向ける。


「初めてアルバート殿下とお会いした時私は恋におちましたの…それに見目麗しく聡明なアルバート殿下は私の夫となる殿方として相応しいと思い、私の中でアルバート殿下との結婚は疑い様もなかったと思っておりました…。

しかし…何年か前に市井から聖女の素質を持つ少女が…ソフィアさんが保護されて王宮ではアルバート殿下の婚約者はソフィアさんではないかと噂され…私は気が気じゃありませんでしたわ」

ソフィアを睨みながら言葉を続ける。



「まぁあなたが婚約者候補に選ばれてなくて安心しましたけど…。婚約者候補に選ばれたご令嬢方を見て私は更にアルバート殿下の婚約者に相応しいのは私だと自信が持てましたわ」


「なっ」

イザベラ様は吊り上がった目を更に吊り上げてロゼリア様を睨む。


「だってそうでしょう?イザベラ様はこの通り気が短くアイリーン様は殿方を侍らすことに尽力を注いでるもの…どちらも次期王太子妃王妃には相応しくないわ…それに何より家柄は私が一番上でしたもの。よほどあなた方が優秀でない限り私の地位は脅かされるものではないと確信いたしましたの」


ふふふとご令嬢の笑みを取り戻すロゼリア様だが先ほどの高笑いが本性だということはみんなそれぞれ知っていた。


「何故私の他はこのような問題あるご令嬢が候補なのか、彼女達の強みは家柄が良いことだけじゃない…って思ったら案の定謀られてた様ですわね。私含め婚約者候補が皆外されたら今度は昔の様に王太子殿下の婚約者が聖女のソフィアさんではなかろうか…そんな憶測で動いてしまったから私の計画がパーになってしまったんですものね。」

アルバート殿下を見るロゼリア様。

ロゼリア様は自分が絶対に次期王太子妃になるという自信もそこに拘るプライドもあった。万が一婚約者候補から落ちたとしても品行方正で美しく聡明な彼女のままだったならそれなりの嫁ぎ先もいくらでも候補はでてきたであろうに…。もっともプライドの高い彼女が王族以外の嫁ぎ先では許しはしなそうだが。


「…アイリーン嬢のふりをして私をランチに誘ったのもあなたですね?」

私は今までの話の流れで確信を持って聞いた。


「…やはりあなたにもバレてましたか…あなたへの接触は私のミスの1つでしたわ。あなたも次期王太子妃の座につく可能性があるご令嬢だと思い危険視しておりましたの。あなたとアルバート殿下は仲睦まじい様子でしたから…あなたを魔力無しと軽んじあわよくばアイリーン様同様私の手駒にしようとしたんだけど…ふふっ残念ね」


手駒とか本人にいうことか?と思ったがその表情を読み取ってか「だって」と続けた。


「あなたがもし王太子妃という地位が欲しく殿下に近づいたならこちらも使える策はありましたもの。もう今だから言いますけど、私が正妃であなたは側妃ではいかがか?と打診しようと思いましたわ。王太子妃としての責務は私が全面的に請け負うと言えばありがたいお話でしょう?現にアイリーン様はそれに釣られましたもの。」

悪びれる様子もなく綺麗な笑顔で「名案でしょ?」と言ってのける。



「君が私にも王太子妃という地位にも固執していたことは知っていたよ。それ抜きにしてもジュピター家は何やらきな臭いと思っていたからね君も含めて、私の監視下に置くためだけの婚約者候補だった。君の父君でもあるジュピター公爵はマーキュリー侯爵を脅かした罪と娘を次期王太子妃にすべく娘に禁忌の術授ける手助けをした罪で既に騎士団から連行してもらっている。…今頃牢の中だろう。…親が親なら娘も娘だな…」


この話を聞いて思い出したのが今回の合同演習を合同合宿にしようと持ち掛けたのがマーキュリー侯爵だったということ。これはジュピター公爵の手回しだったのか…。



「今君を君の父君と同じように牢に連行する。観念しろ」

冷たい眼差しでアルバート殿下が引導を渡す、が、



「連行?果たしてそれはできるかしら?」


「…何?」


「あなた方、お忘れではなくて?私はあのケルベロスを召喚したのよ?ケルベロスを私の意のままに操ることができるのよ?いくらここにいる皆様がいかに優秀であろうとも果たしてこのケルベロスを倒し私を連行することができるかしら?」


ロゼリア様が不気味に微笑むのだった。




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