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ハンバーガーデビュー

王都に戻り、いつもの学院生活に戻った。

お母様はやることができたらしく、王都には私だけで来た。



お昼休み、学院のバルコニーの一角でソフィアやセーラ、リリアンヌにシュレーゼン領のお土産としてハンバーガーをご馳走した。


最初平民出身のソフィアはさほど抵抗感はなさそうだったが、生粋の貴族のセーラとリリアンヌは思った通りかぶりつくことに難色を示していた。しかし…


「え!?何これ!!美味しいんだけど!!」

「えぇ!!とても美味しいですわ」

セーラとリリアンヌは驚きの表情でハンバーガーを見つめた。

かぶりつき方も優雅に上品さを保ちつつ食べれる辺り流石ご令嬢方。



私はこの3人のリアクションを見て確かな手応えを感じていた。




学院に戻って最初の休日、私は早速街にくり出しパン屋に向かった。

パン屋に向かう途中で偶然会ったアルも合流した。


「いつも思うんだけど、アルと連絡取ってるわけじゃないのに結構どんぴしゃで街で会うわね」

「…ばったり会ってるんじゃなくて、シアを見かけた時俺がそっちに行ってるんだよ」



そんな会話をしてるうちにパン屋に到着した。

パン屋の女将さんにこの前の話の続きをしたいと言って旦那さんにも同席してもらった。


権利関係の話をし、無事にシュレーゼン領の名物として売り出すことを約束してもらった上で実物のハンバーガーとチーズバーガーを実際2人とアルにも食べてもらった。


「……うまい」

普段無口そうな旦那さんが頬張りながら目を輝かせている。

「わかった、このハンバーガーとやらをこの店で提供しよう」


パン屋との契約締結はとんとん拍子で進んだ。

アルも美味しかったのかかぶりついて黙々と食べていた。


あとは売上の問題だがそれはすぐすぐ結果が出るわけではないから、また後日こちらにお邪魔しよう。ということになって私達は店を後にした。





「シア」

テラスで日向ぼっこしながらリリアンヌとお茶をしているところ、アルバート殿下に声をかけられた。


「やぁリリアンヌも一緒か、シア、また合同演習があるんだけど…」

「えぇ、そうみたいですね」

たしか来週に合同演習があった気がする。


「次の合同演習は合宿形式だって話は聞いてたかい?」

「あーー…そういえば学院に戻ってきた時にいつもの形式ではなく合宿するって話を聞いたような気がします」

「実はこの提案をしたのはマーキュリー侯爵らしい…生徒達の更なる魔力増加の為というが…どうやら彼らはこの合宿で何か仕掛けてきそうだ、と俺はみている」

「なるほど…それでアルバート殿下はそれについて対処も考えてそうですが、どうなんです?」

「うん、それのことなんだけど、全部引き出す為にあえて泳がそうと思うんだ。それに伴って少し危険さが増すと思ってね…俺と同じ班のシアにもそれを教えておこうと思って今声かけたんだ。」

「なるほど…分かりました」


ようやくアルバート殿下が声をかけてきた理由が分かった。最近は友人の様に接してくれてるからただの世間話の可能性もあったと思いそこまで構えていなかった。


「あとそうだね、もうひとつシアに用事があったのだけど」

「はい、なんでしょうか?」

「その件で俺とロイド、クリスも来週まで色々詰めようと思ってね。少し忙しくなると思う。食事時間までには流石に影響しないだろうけど、さくっと食事も済ませたい時も多くなるだろうから、その…シアにハンバーガーの差し入れを頼みたくてね…?」


前半は普通に喋っていたのだが、後半視線を外して口籠ってたから何故なのか内心首を傾げていたらそういうことか…。

流石に自ら差し入れしろと言うのは気が引けたのだな。

しかしロイド様やクリス様にハンバーガーを売り込む絶好の機会でもある。

何よりアルバート殿下自らハンバーガーの依頼をするということはアルバート殿下自身が気に入ったということだ。



商人でもないのにいつの間にか商売魂に火がついた私は「おかませください!」と力強く言った。


心の中でガッツポーズしていた私は複雑そうな表情のアルバート殿下にもそれを同情的な目で見ていたリリアンヌにも気付かなかった。



殿下には放課後、中庭で落ち合ってハンバーガーを渡すことに決めた。

もし殿下が不在だったり忙しくて中庭に来ることができないとなった時はロイド様かクリス様、リリアンヌに渡す様に言われた。





そんなこんなでハンバーガーの売り込みは順調だった。



そんなこんなで私はご機嫌だったのだが、思いもよらぬところから思いもよらぬ人物から接触をはかられることになろうとはその時の私は気づかなかった。










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