おもてなし
到着した王太子殿下に一呼吸ついてもらうためのお茶会のセットの最終確認を済ませたら
「お嬢様、そろそろ…」
とアンにアルバート殿下のお迎えの準備を促した。もうそんな時間か。
玄関ホールに行きアルバート殿下の到着を待っていたら王家の馬車から降りて侍従や護衛を伴って入り口にやってきたアルバート殿下が見えられた。
「やぁルシア嬢、最近学院を休んでてとても寂しかったが、今日会うことが出来てとても嬉しいよ」
「アルバート殿下、ようこそ我が領地へ。私も今日アルバート殿下を迎えられてとても嬉しいですわ」
笑顔で社交辞令の挨拶をかわす。
「アルバート殿下、ようこそおいでくださいました。」
私と一緒にアルバート殿下を待っていたお父様も挨拶をし、その斜め後ろでお母様も笑顔でカーテシーをする。
「シュレーゼン伯爵、夫人、今日はありがとう」
キラキラした笑顔で私の両親に挨拶するアルバート殿下。今日もお麗しい。
アルバート殿下はワイシャツにスラックスと割とラフな格好で、でも着る人がハイスペックだからかラフな格好でもすごくかっこよく着こなしてる。
シュレーゼン家の中庭にアルバート殿下を案内した。
アルバート殿下の正面に座った私はメイドに目で合図しお茶の準備を促す。
私とアルバート殿下の他はアンとアルバート殿下の侍従、メイド2人程が少し離れたところに控えている。
「ようやくシュレーゼン領に来れたよ」
アルバート殿下が嬉しそうに話す。
「行きたい行きたい思ってても中々タイミングが合わなかったからね」
「そうなのですね…お忙しい中ありがとうございます」
「いやいやシュレーゼン領にはルシア嬢がいるときに行きたいと思っていたから」
そう言うと急に真面目な顔をして私を見つめた。
「そういえば君はご両親からシアと呼ばれてるんだね?俺もシアって呼んでいい?」
「え」
殿下とは確かに仲良くさせてもらっているが学年も違うし愛称呼びするほどではないと思う。
ましてや殿下には今はいなくなったと言っても婚約者候補なる令嬢方がいたのだ。婚約者候補の取り消しから程なくして愛称呼びするほど仲良くなったまた別の令嬢の存在と言うのはいかがなものかと思う。
「…シアは本当に聡い令嬢だな」
…既に愛称呼びになっている。許可の意味は!?
「そういえばシアにも途中経過教えておかないとな、例のソフィアの毒の出どころが確定した。…やはりマーキュリー領だったよ」
「!!」
「だがシアもこの前言った通り、ここでマーキュリー家が犯人と決めるのはいささか早計だからね、調査を進めてるんだがもっと大きな闇を引きずり出せそうなんだ」
ここでアルバート殿下が前に見たような悪そうな表情をしていた。
…これは恐らくほぼほぼ決着がつきそうだということだろう。
「おっと、せっかくのシアとのお茶会なのにそんな物騒な話を持ち出してごめんね?今日はシアが何か準備してくれてたって聞いたけど…?」
「ふふふっそうなんです!殿下に召し上がっていただきたいものがありまして」
そう言いながら私は近くに置いてあったカートからクローシュで覆われた皿を殿下の前に置いた。
クローシュを開けるとハンバーガーとチーズバーガーとフライドポテトが出てきた。
「こ、これは…」
アルバート殿下は驚きで目を見開いている。
離れたところで侍従が苦い顔をしている。恐らく殿下に何出してんだ!!って思ってるんだろう。
それは想定の範囲内なので私はアルバート殿下だけでなく殿下の侍従や護衛兵にもファストフードを準備していた。食べてもらえば納得してもらえる自信はあったから。
控えていたメイド達に彼らの分を準備してもらった。
「こちらはハンバーガーと言いまして、紙に包まれているのでその紙をはがしてかぶりついてください。フライドポテトも手で持って食べてください。皆さんもどうぞ」
「…これはおいしい!」
言われた通りかぶりついたアルバート殿下は目を輝かせておいしい!!と笑みを浮かべた。
他のお付きの人達も最初はかぶりつくことに難色を示していたが、一口食べた時に「おいしい…」「うまい!!」とそれぞれ感動しているようだ。
私はその光景に1つ疑問というか…違和感を覚えた。
まぁそんなツッコむほどでもないな…と思いそんな違和感を頭の隅に追いやる。
「すごいな、シア。これがシアが編み出したものか」
ハンバーガーやチーズバーガー、フライドポテトをぺろりと平らげてアルバート殿下がきらきらとした笑顔を向ける。
「はい、これをここの領地から色んなところに流行らせたいと考えてまして…。そこでこのハンバーガーの特許を申請したいのですが…」
「なるほど…わかった、ではいくつか書いてほしい書類も持ってきているから、それに記入してもらっていいか?」
「はい、わかりました。」
こうして色々な手続きを済ませ後日ハンバーガーの特許を無事取ることが出来た。




