表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/85

婚約者候補を見定める(アルバート視点)

王城にある王太子の執務室のドアをノックする音が聞こえ、どうぞと返事をした。


すると入ってきたのは側近の1人のロイド・ベルベット。

ロイドがこのタイミングで現れたということは例の報告なのだろう。執事にお茶と菓子を用意させ席に座らせた。


「…今度は一体何の問題を起こしたんだ?」


「マーズ嬢がソフィアを呼び出した」


「ほう…それで?」


「途中シュレーゼン嬢が乱入して事なきを得たらしい。まぁ恐らく暴力沙汰にはならず口論で済んだと思うが…とリリアンヌは言っていた。それにしても…くくっ…」


「なんだ?」


「面白いのはそのシュレーゼン嬢。なんと彼女最初マーズ嬢のことが分からなかったらしくてな、どこの令嬢か当てる為にヒントをもらったらしい」


「なんだそれは…」


「ここですごいのが特産品と彼女の家族の特徴だけでマーズ嬢と分かったようだ、地理と貴族の家族構成やら特徴やらが分からないと出来ない芸当だぞ」


「それは…面白いな…」


いや、彼女がなかなか面白いと思ったのは初めて出会った時からだ。

その時は失礼ながらソフィアに害をなす存在としてしか見ていなかった。それは今も後悔している。

だが彼女はソフィアを聖女と崇めず1人の友人として接していた。それどころか俺たちが上流階級にもかかわらず距離を置こうとしていた。

その距離の置き方も無礼にならないギリギリを狙っての行動だから貴族としてのマナーも理解し、尚且つ媚びることの無い彼女は面白いと思った。



それから何度か彼女と関わる機会があった。

合同演習で一緒の班になった時もマーズ嬢がトラブルを起こしたのだが、その時彼女は自分が魔力無しであることを自分の弱点とは捉えてなかった。いや、弱点だとは思っているのだろうがそれを補えるくらいの強みがあると自分に自信を持っていた。


あとシュレーゼン領で新たな作物を栽培しようとしてるらしい。図書館で調べ物をしているのを見かけた。

声をかけるつもりはなかったのだが、気が付けば声をかけシュレーゼン領に視察に行くことを取り付けていた。

彼女が生まれ育った場所に興味があったのは本当だから、思わず脳内で長期休みに入った時の最優先事項に振り分けていた。

ただ…こんなに楽しみに思っている自分に驚きを隠せない。





ある日、学院の教室でロイドが話しかけてきた。

「リリアンヌがマーズ嬢に呼び出されたそうです」

「なんだと…?」


おそらく俺がマーズ嬢についてはあらかた知った…もちろん国母としての素質は無い、ということで自分の中で婚約者候補から外した。

そして他の婚約者候補の様子を見てきてくれ…と頼んだのだが、それがマーズ嬢の逆鱗に触れた様だ。

彼女は色々問題を起こしたし後々それ相応の制裁を加えよう。



そして俺とロイドがリリアンヌが呼び出された場所に到着すると既にリリアンヌはマーズ嬢とひと悶着を起こしていた。リリアンヌが頬を押さえて地面に座り込んでいた。


俺とロイドがリリアンヌの元に行こうとした時、向こう側の茂みから女子生徒が飛び出してきた。

…ルシア嬢だ。

恐らく問題を大きくしないようにリリアンヌを見守っていたのだが、リリアンヌが叩かれたのを見て耐えきれず出てきたのだろう。



俺とロイドはルシア嬢にびっくりして出ていくタイミングを失ってしまった。

俺たちのルシア嬢に対する対応を見ていて大丈夫と判断したからだろう。リリアンヌは俺の婚約者候補を観察する役割を持っていることや自分の生い立ちについてルシア嬢に話していた。


ルシア嬢は自分にそんな重要な役割について話していいのか?と顔を青ざめていたがリリアンヌの言う通り問題はない。婚約者候補の人となりや家の思想、その家の取り巻いてる状況等は既に把握済みだ。


マーズ嬢はマーズ家自体は何も問題はなかった。

後ろ暗い輩と関わりがあるということもなく自身も何ら汚い仕事に手を出してることもなかった。

マーズ侯爵も侯爵夫人も多少権力欲にがめついとこはあっても、まぁ貴族としては問題の無い範疇だった。…問題があったのは彼女自身だけだった。


そんな感じで婚約者を探す名目で汚い貴族を排除しようと、俺たちは動いていた訳だがその問題もほぼほぼ解決済みだ。



そして俺は意識を目の前に戻すとルシア嬢がリリアンヌに普通の友達にならないか?と聞いていた。彼女は学院生活において役割だけの為の交友関係しかもっていないのはもったいないと…。

そこは俺もリリアンヌに対して罪悪感を感じていた。俺という王太子、はたまた王家の為に友人を作らずに学院生活を送らせていたことをずっと申し訳なく感じていた。


ルシア嬢は学院生活の思い出は社会に出てから大きな糧になると。ましてや王太子妃の侍女という大変な仕事を任されているならなおさら必要だと訴えた。


隣に立っているロイドもルシア嬢の申し出に驚き目を見開いているのが分かった。ロイドもロイドで妹を心配していたのだろう。そんなリリアンヌに対してルシア嬢がここまで親身になってリリアンヌのことを想って言ってくれることに驚きと喜びを感じているようだった。ロイドがここまで嬉しそうな顔をするのはレアかもしれない。


せっかく良いことを言ってるのにその前の「良く学び良く遊び良く食べる」の発言でぶち壊しているが…。まぁこれはこれでとても良いことを言っているのだが…俺もロイドも思わず笑ってしまったことでルシア嬢やリリアンヌに見つかった。


笑いが止まらず先ほどの発言を思わず言った本人にツッコんだら「わ、忘れてください…」と頬を赤くしながら俯き、不覚にもその姿が可愛らしく感じて思わず頭を撫でてしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ