図書館にて
放課後、私は図書館に向かった。
昨日じゃがいもの種芋を予約してきたから育て方を調べるためだ。善は急げだ。
図書館に入ればちらほらと生徒がいるくらいで、空いてる席を見つけるのは容易かった。
1人で集中したいのもあって少し離れた場所の席を確保し、目的の本を探す。
私が探していた本もあっさり見つかり、本を片手に席に戻る。
読み進めて必要とあらばメモを取り忘れないようにする。
あらかた読み終わった時、ふと私の席の近くの本棚に人の気配がした。
「アルバート殿下…」
「ルシア嬢、調べ物かい?」
「えぇ…今ちょうど終わったところです」
ノートを持って小さく掲げれば「へぇ…勤勉だね」とにっこり微笑まれた。
最近アルバート殿下とお話する機会が増えた。
最近アルバート殿下について分かったのが、第一印象は優しく爽やかな好青年と感じていたのだが、さすが王族で次期国王と名高いあって堂々としていて聡明で冷静に時には厳しくもある人だということを知った。
私より2つ年上と言ってもこの若さで王族としての素質をここまで持てるとは…次期国王になるべく生まれたと言っても過言ではなさそう。
この前の合同演習の一件も「俺に任せてもらえないか?」とナーシャ先輩と私に頼んできた。
てか殿下、自分のこと『俺』って言うのね。
ぼーっとしてると、アルバート殿下が「そういえば…」と何か思い出したようだ。
「合同演習またあるね」
「あっそうなんですか?」
そういえばこの前の合同演習の時そんなことを言ってたな?と思い出した。
「うん、毎年何回か合同演習の時間を設けてるみたいだ。班は同じままだと思うからよろしくな?」
前も思ったが、また何やら面倒なことが起きそうな予感がしなくもないが…。
多少の不安を感じながら、私のじゃがいもについてを纏めたノートを感心しながら読んでいるアルバート殿下を眺めていた。
「…ほう、このじゃがいもとやらをシュレーゼン領で栽培させようとしてるんだね」
「はい、うちの領土は農業に適しているので…試してみる価値はあると思います」
「ふむ…その内シュレーゼン領にも視察を行かねばな…」
「おおう…ぜひお越しください」
王族の視察…ってことで一瞬緊張でどもってしまったけど、王族が視察するのはたまにあることだ。
他の領地の視察もあるし、他の仕事もあるわけだから頻度は多い訳ではないけどもない訳ではないし、昔国王が視察に来たときは若かりし頃の父も緊張した…という話を聞いたことがある。
どもってる私に優しそうな笑みを浮かべるアルバート殿下。
「ルシア嬢が生まれ育った領地に赴くのをとても楽しみにしている」
そう言って私の頭を撫でて立ち去って行った。
「もう!ルークったら!」
「ご、ごめん…」
教室に戻り荷物を取りに行けばくすんだ金髪の男子生徒と赤みがかったブラウンの髪の毛の女子生徒が何やらもめていた。
セーラとルークという意外な組み合わせの2人だった。
セーラは私が図書館から帰ってくるのを待っていたんだろうが、放課後ということもあって人はまばらだった。
「どうしたの?」
「あ!ルシアが戻ってくるまでルーク様に勉強教えてたんだけどね、ルークったらこの教科苦手そうで…中々苦戦してたの」
見てみると数学と魔法学の教科書を広げていた。
「僕、この前のテストで数学と魔法学を辛うじて赤点を免れてさ…帰る前に少しここで勉強してから帰ろうと思ってたところにセーラ様が来てくださって…セーラ様から教えていただいてるんですけど中々…」
あははっと苦笑いを浮かべた後ため息をつくルーク。
「んーーどれがわからないの?」
今度は私も教科書を覗いた。
「えっと…ここと、ここと…」
そこからは3人で急遽勉強会が始まった。
「おお!ルシア様のおかげでようやくわかった!」
どうにかこうにかルークも理解できた頃には日が落ちてきていた。
「時間も遅くなっちゃったし、2人を送るよ」
「ありがと…でも馬車が迎えにきてると思うから大丈夫よ」
「うんうん、んじゃ校舎の前までお願いしようかな?」
セーラが断り私がせっかくの申し出なのでせめて…と思い校舎の前までとお願いした。
「この前の合同演習の時も思ったけどルークって頑張り屋だよね」
馬車までの道のりで私は思ったことを言った。
「それほどまでではないけども…僕も色々頑張らなきゃって思ってさ」
このルークの言葉の本当の意味を知ったのはもう少し後になってからだった。




