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気分転換に

合同演習から3日後の朝。

学院も休みで私は王都の街にある公園に来ていた。


そう、そこはこの前アルとアイスを食べたりした公園。

この公園は買い食いにはもってこいな上、都会の喧騒から離れたこの場所がとても心地よかった。

田舎暮らしが身についていた私には王都は都会すぎたのだ…。


そんなこんなで今日は本とオレンジジュースを買い、公園のベンチで寛いでいた。

もちろん昼食も街で摂る気満々な私は何か言いたそうなアンに気付かない振りをしてジュースを飲みながら読書をしていた。


しばらくして本に栞を挟め、今日は何食べようかなー…なんて考えていた。


あーーー無性にハンバーガー食べたくなってきた。

この世界にはハンバーガーあるのだろうか?大好きだったんだよ、特にチーズバーガー。

チーズ好きな私はよくチーズバーガーを頼んで食べていた。


…待てよ?無ければ作れば良いじゃない!


特別料理が得意だというわけではないから料理チートみたいなことはできないけれどハンバーガーくらいなら元々あるパンに具材を挟めるだけだから私でも作れるかもしれない。

ちゃんと作るとしたらハンバーグくらいかしら?なんて呑気に考えていたら…



「あ!シアだ!!」

アルがこちらに向かって走ってきた。

ちなみにシアとは私の愛称で、いや私の方が年上なんだからせめて『シアお姉ちゃん』って呼びなさいって言ったのだけど本人は呼び捨てから変えることは無く私も諦めた。


アルと会うのはこれが4回目だ。

今では私と打ち解けて呼び捨てするくらいまで懐かれてる。まぁそういう生意気そうなところも弟をもったようでかわいいもんだが。


アルは最初の頃は大人しかったものの、中身はわんぱく坊主ででも時折大人びた対応もする。背伸びして格好つけたい年ごろなんだろうなぁとニマニマしてたら前回会った時睨まれた。


また会えるとは思ってなかったがこの公園で寛いでいると決まって姿を現すアル。家が近所なんだろうなっていう確信を持った。


「今日は何するの?」

アルは私の顔を覗き込んで聞いてきた。


「そうねー、今日は魔石を取り扱ってるお店に行こうかしら?」

…と思ったけど今日はアルも一緒であったことを改めて思い出した。


前にも言ったが、魔石は魔法を使えない平民向けで売っている物ではあるけども、貴重なものなので裕福な平民をターゲットにした商品だった。


ちらりとアルを見ればいつも着ている少しよれよれのブラウスに少しボロボロなズボン、ボロボロで汚れたスニーカー、茶色い髪の毛を覆う革でできた帽子…と平民でもお世辞にも裕福とは言えない身なり…。

そんな子を連れて行けば好奇の目に晒されて嫌な思いをさせてしまうかもしれない。


「…って思ったけどあんまり気乗りしなくなったから、今日は商店街をブラブラしましょ?」

適当にごまかし、と言っても他に行きたいとこも思いつかなかった私はブラブラしようと言って、アルの手を引っ張った。





しばらくあてもなく歩いていると前方に見知った人がこちらに向かって歩いてきた。


「……ロイド様?」

思わず呟いた言葉が相手にも聞こえた様で、私の方を見て目を見開いた。


「……シュレーゼン嬢」


正直に言えばロイド様ってあまり得意ではない。

いや初対面の頃の話はアルバート殿下にも言ったがもう怒ってはいないけど、ロイド様は元々『氷の貴公子』と呼ばれるくらい感情を表に出すことも無く淡々としていて、ぶっきらぼうだ。


私は冷たく感じる彼に苦手意識を持っていた。

だから今も本当は偶然鉢合わせしても気付かない振りして避けたかったのだが…思わず彼の名前を呟いてしまった自分を呪っていた。



心の中でため息ついてると、ロイド様は私の右肩辺りに視線を向けて更に目を見開いていた。

…あぁ…


「彼は平民の子のアルです。最近街に来た時に仲良くなりまして…」


「…あぁ…そうなのか…」


そこから無言の状態になりなんとも微妙な空気が流れた。


「…そういえば、初めて会った頃シュレーゼン嬢に失礼なことを言ってしまったな…あの時はすまなかった」

恐らく彼もアルバート殿下同様謝罪したくてもその機会が無かったのだろう。今に至るまでずっと心残りだったとアルバート殿下やロイド様の表情から見て取れた。


「もう前の話ですので、私は気にしてませんわ」


「そ、そうか…」



再び沈黙が訪れる。

私もロイド様に特別話すネタもないし、そろそろその場から離れようかね…とアルの手をしっかり掴んだ後……



とあるお店の方から怒鳴り声がきこえてきた。

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