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一触即発

私とナーシャ先輩が和やかに話をしながら花を愛でていると後ろからズカズカとこちらに向かって歩く気配を感じた。


私とナーシャ先輩が振り返ると赤髪の先輩イザベラ・マーズと令嬢2人がこちらを睨んでいた。

この令嬢の中に前に会った銀の髪の毛を縦ロールのツインテールした美少女の姿はなかった。


「あら?ナーシャ様に用があったのだけど一緒にいるのは魔力無しのシュレーゼン嬢じゃありませんか?」


私を見てわざとらしく驚きの声をあげるイザベラ。両脇にいるご令嬢はクスクス笑っていた。

先程年上には礼儀を持ってっていう話をしたけどイザベラに関して言えば脳内で呼び捨てにしている。


またイザベラのいうことは嘘ではなさそうだ。まっすぐにナーシャ先輩の方を見て歩いてきたけど視界に私が入った為私にもご丁寧に挨拶してくれたようだ。



「…あの、私に何か御用でしょうか?」

ナーシャ先輩は少し震えながらイザベラと対峙した。


「ナーシャ様?私と班変わってくださらない?あなたより私の方が優秀だから彼女に魔法を教えるのは私の方が最適だと思うの?あと私は王太子殿下の婚約者候補よ?王太子殿下とご一緒の班であるのは当然だと思わない?」


…なるほど…思惑的に後半が主だろうな、と瞬時に分かってしまった。


「…申し訳ございません、決められた班ですので、私の方からはなんとも…」

ナーシャ様は震える声でしかししっかりと拒否した。



「…!私にそんな口をきくなんて生意気なのよ!」

激情したイザベラはナーシャ先輩に手をあげた…が、私がその腕を掴んだ。


「シュレーゼン様?あなたには関係ないでしょ?離しなさい!」


「関係なくないです。私は今ナーシャ先輩に魔法を教わってました」

冷静にイザベラに返す。ナーシャ先輩は私が庇ったことに驚き目を見開いていた。


イザベラは私のその発言にフンっと鼻で笑った。

「魔法を教わり…ねぇ…?魔力無しの癖に何を教わるのかしら?教わったってどうせ使えないでしょう?」

その言葉に取り巻き達もクスクス笑いだした。


「それを言うならイザベラ様、あなたにも教えていただくことは何も無いと思うのですが?」

無表情で返せば一瞬ポカンとした後に般若のような顔付きになったイザベラ。


私に魔力があればもっと簡単に追い返すことができただろうに…内心ため息をついていた。



「一体何の騒ぎだ?」

アルバート殿下とルークがこちらに近づいてきた。

「で、殿下…」

イザベラは途端にしおらしくなった。心なしか顔色も悪い。それはイザベラと共に来ていた令嬢もだった。


「今すぐに自分の班に戻り演習を再開すれば見なかったことにしよう…が、2度目はないと思え」

険しい顔つきでイザベラに言い捨てた。イザベラはコクコクと頷き青ざめながら一緒に来ていたご令嬢を連れ立ってその場を立ち去った。


「ルークもナーシャ嬢を連れて先ほど私達が使っていた場所に先に行っててくれ」

「分かりました!」

ルークはナーシャ先輩を連れてさっきアルバート殿下と共に来た方へ歩いて行った。



「…ルシア嬢、面倒ごとに巻き込んでしまってすまなかった」

アルバート殿下は私に頭を下げた。

「い、い、い、いえ!!そんな!頭を上げてください!殿下が悪いわけじゃないですよ!」

慌てて言えば、いや、自分の不行き届きだ、と全面的に謝罪してきた。

「あと、謝罪と言えば…最初にルシア嬢と会った時、私はルシア嬢にとても失礼な態度を取ってしまったね…謝罪をしそびれて今更かもしれないが…あの時も本当にすまなかった…」

と再び頭を下げた。

王族の人間に2度も頭を下げられるなんて恐れ多い!


「あ、あの…その時はたしかにいかがなものか…と思ったりしましたが、今は何も怒ったりしてないので大丈夫ですから!それにソフィアを思っての発言だったことも理解してますし!」

そうアルバート殿下やロイド様の発言は、元はソフィアのことを案じての厳しい発言だった。


それが良いとは言えないが元平民でいきなり聖女と認定されたソフィアのことを心配するのが人情というものだろう。腹は立ったが時間が経てば怒りは収まったし、2人のことは今はもう怒ってないのも事実だ。


そうアルバート殿下に言えば「優しいんだな?」と穏やかに微笑まれてさすがの私も照れた。

イケメンの微笑みの破壊力と褒め言葉は照れない要素ないよね…うんうん、しかたない。


「…優しくはない…けど…ありがとうございます?」

何とも言えない笑みを浮かべれば、微笑みながら見つめられる…恥ずか死するわ!!



そんなやり取りをしてるうちに今日の合同演習は終了を迎えた。

『今日の』ということはまた合同演習があるということで、来月あるらしい。

しかも班は今日と同じ割り振りで…何やら再び胸騒ぎがしたのだが、私はあえて気づかない振りをした。






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