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合同演習

ある晴れた日。

私達のクラスの生徒達と2つ上の学年のクラスの生徒達がグラウンドに集まっていた。


今日は魔法の実技の合同演習の時間が設けられていた。

下級生の私達は上級生達の魔法を手本とし、上級生は下級生を指導する中で自分達の魔法をより一層上達させる狙いがある。


そんな中私達のクラスメイトはみんなそわそわしている。…というのも、今回合同演習を共にする上級生のクラスにはなんとアルバート王太子殿下やロイド様が在籍してるからだ。

それだけならまだ良かったのだが、ソフィアをいじめていたイザベラ・マーズ嬢もなんと王太子殿下と同じクラスだという。嫌な予感しかしない。



先生が生徒達を集めて軽く話した後、班分けの紙を読みあげた。


私は…まぁ魔法の実技に関しては底辺なので本人の意思関係なく優秀な人と組まされるのはある意味当然の流れで……


「よろしく、ルシア嬢」

爽やかな笑顔でアルバート殿下がこちらに話しかけてきた。


美しい金色の髪がサラサラと靡き宝石の様にキラキラした碧眼は優しく細められた。

すっとした鼻筋、薄い唇は男性特有の色っぽさも兼ね備えてる。

すらりとした背は細くても筋肉はきちんとついてるのが服の上からでもわかる。

…相変わらずのパーフェクトイケメンに心の中で手を合わせていた。


そして何故改めてそんなことを言うのか、それはそんな完璧な王子様をみんなが注目している。

つまり一緒の班になった私も注目されるわけで…。



あの魔力無しのくせにとか落ちこぼれが王太子殿下と一緒とか…何やらコソコソと聞こえてくるけども…いや、魔力無しのポジションが良いのなら代わりますよ?と内心思ってた。


アルバート殿下の耳にもその声が聞こえた様で、私の前に来た時ぐるっと周りを見回し冷たい視線を向ける。

途端にヒッ…という怯えた声が漏れてるのが聞こえてきた。


「…人を羨む暇があるなら自分を磨けば良いものを…」

どうやらアルバート殿下は私を庇ってくれたようだ。


「殿下、ありがとうございます。ですが皆さんが仰るように私に魔力がないのは事実ですので…」


「ルシア嬢…私が言うのもなんだが、自分が魔力無しであることを卑下しなくても良いんだよ?」

アルバート殿下は恐らく私と初めて会った頃のことを思い出していたのだろう。

アルバート殿下自身も私が魔力無しであることで良からぬことを考えてると誤解していたことに、今も後悔していることを初めて知った。


「卑下はしておりませんよ?私は確かに魔力無しです…が、私がそのことで皆さんに劣っていると感じたことは今まで一度もありません。」

別に過去の栄光にすがりつくわけではないが光の大賢者として世界を渡り歩いた自信もあったし、今は魔力がないとは言え学力的に言えば周りの人間に引けを取らないと自負している。これは自分の好奇心のおかげでなせた業でもあるだろうが。



不敵な笑みを浮かべてにやりと淑女らしからぬ笑みを浮かべたら、アルバート殿下は目を見開きぶはっっと噴き出した。


「ははは…いや、失礼…やはりルシア嬢は面白い方だ」

面白い方なんて令嬢に対する褒め言葉としてはいかがなのだろうか?と思うが不思議と不快感はなかった。




ちょっとした騒ぎもあったが無事に魔法の合同実習が始められた。

私のクラスメイトでルークという子爵家の子息が上級生はアルバート殿下と大人しそうな伯爵家のご令嬢の先輩が同じ班に割り当てられた。


眼鏡をかけて茶色い髪の毛をおさげした大人しそうな先輩はナーシャ先輩という。


アルバート殿下はルークに体内の魔力の流れをスムーズにする方法を教えていた。

私は魔力がないからナーシャ先輩の魔法を見学していた。ナーシャ先輩の魔力は土属性だから植物を操ることもできる。今はナーシャ先輩の足元に咲いてるタンポポのような花を魔力によって少し大きくしたりしていた。


「わぁ…!すごいです!ナーシャ先輩!」

「ふふっ…こんなに喜んでくれるのはルシア様が初めてですわ」

私の膝くらいまで伸びたたんぽぽに感動しているとナーシャ先輩は照れくさそうに微笑んだ。


「あの!私の方が年下なのでルシアって呼んでください」

この世界は年齢よりも身分に重きを置く風習があるが、日本人気質の私としては年上の先輩に敬われるのはいつも慣れなかった。多分断られると思ったが言わずにはいられなかった。


ナーシャ先輩は案の定慌てて断ってきて、大人しいナーシャ先輩を困らせてしまったことに罪悪感を感じたが、その後ナーシャ先輩が大きくした花達を愛でて和やかな時間を過ごすことができた。



しかしその後大変なことが起きた。







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