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己がため  作者: 助殺
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ハザマ人

連日投稿です!今後連日で投稿できないと思いますが、よろしいお願いします。

 


 昼休み。屋上。モデルのような高身長、目元が隠れるまである髪をアイマスク代わりに寝ている青年。そんな青年を起こすかのようにチャイムが鳴る。まだ、起きたばかりでぼぅーとする頭で二階へ降りる階段へ向かう。二階へ降りようと一歩踏み出した瞬間、そこにはあるはずの階段がなかった。咄嗟の抵抗も虚しく落下していく…。


 気づくと青白い空間にいた。視線を感じるが、あるのはただ一つ目の前の不定形なノイズ。


「……」


「あれ?君どこから入ってきたの?」


 とっさに俺は返した。


「ここはどこだ? 穴に落ちて、気づいたらここに居たんだが…」


 ノイズが喋ったことには驚いたが、視線からして生物、もしくは知性あるものであると予想していた。


「ふむふむ。つまり、まだまだ調整が必要ということか。時空の安定は本当難しいねぇ」


「何を言っている…時空の安定?それよりお前は何だ?」


「あー僕が何者かは今は教えれない。けど、怪しい者じゃないから安心して〜。君は元の場所に返してあげるからさ」


 目の前が眩しく光り、気づくと見慣れた階段の踊り場に俺は立っていた。


「こりゃ、予定期間通りにスタートできないねぇ〜」


 独り言をノイズは呟く。ただ、その声に焦りや苛立ちといった感情は無く、嬉々として問題に取り組んでいった。


##


 まずは、森を出ることが先決だ。

 その次に拠点となる街を見つけないと、ログアウトしようにもスポーン地点がここである。

 スポーン地点を新しく登録しないとログインしたら、またここにスポーンさせられてしまい、一向に森から出ることができないだろう。このゲームでの6分は現実世界での1分となるらしいので、時間は充分にある。


「幸い、そこまで深い森ではないようだから、すぐに出られるだろう。まずは装備品とステータスを確認しておくか」


【装備品】


 皮の盾

 皮の鎧

 銅の片手剣


【ステータス】

 名前 シー•レイン

 レベル 1

 ジョブ 合計ジョブレベル


 HP(体力) 50

 MP(魔力) 10


 STR(筋力) 20

 END(耐久力)15

 MND(精神力)10

 DEX(器用)10

 AGI(速さ)12

 LUC(運)8


「まぁ、レベル1だからこんなものか。

 剣や盾なんて使った事ないが、このゲームの戦闘アシストやらを信じるしかない」


 さて、装備品とステータスの確認も終わったことだし、森を抜けるために探索といきましょうか。

 森を進むこと10分、俺は初のモンスターに出会った。ギョロギョロとした目をもち、三角帽子のように尖った鼻、歯並びの悪い裂けた口。清潔感のカケラもない麻のようなボロ切れを腰に巻いた小人。そう、ファンタジーものでお馴染みの雑魚モンスター、ゴブリンである。


「ゴブリンが二体か。この世界の戦い方に慣れるは良い相手だな。しかし、ここまでリアルだと少し怖いな」


 まだ、ゴブリンはこちらに気づいていないので、茂みを利用して背後から奇襲を仕掛ける。


「セイ!」


「ギャッギャッ⁉︎」


 茂みから勢いよく飛び出し、1体の首元を斬りつける。しかし、倒しきる事は出来ず気づかれてしまった。


「チッ、一対一にしておきたかったんだがな。だが、奇襲した方は瀕死だ。このまま畳み掛けるか」


 周囲の木を利用してもう一体の視線を一瞬遮り、瀕死のゴブリンの首へと追加の一撃を加える。


「グギャ⁉︎」


 今度は、ゴブリンを倒すことに成功した。

 すかさず、残りの一体の元へ行き、盾でガードしながら、攻撃をし危なげなくもう一体も倒した。

 ゴブリンを倒し終わると、死体は光の粒となり消え、小さな爪と極小の魔石が残った。


「なんとか倒すことができたな。ドロップアイテムはゴブリンの爪に極小の魔石か。街に着いたら、換金できるからもしれないから、すべて拾っておくか」


あれから2回のゴブリンとの戦闘を終え、街道らしきところを藪雨は進んでいた。


「やっと森を抜けたか」


目の前にはT字路があり、幅3メートル程の木が1本立っていた。


「連戦続きで疲れたし、少し休むか」


俺は木のそばで休むことにした。

この世界はゲームであるが、リアリティを求めたことにより、痛覚はオンオフができ、疲労感は感じるようになっている。これも数あるinfinity worldの特徴の1つである。

休んでいると、一台の馬車が目の前に止まった。


「兄ちゃん冒険者かい?足がないなら、リグロまで乗ってくかい?」


馬車のオヤジが言っているリグロとは多分街なのだろう。街を目指している今の俺にはとてもありがたい話だ。だが、一応は確認が必要だ。


「リグロってなんだ?」


「ここから馬車で1時間くらいにある城塞都市リグロだよ。なんだ、知らないのかい?」


「あぁ、この辺はよく知らないからな。その城塞都市リグロまで、お願いできるか?」


オヤジの快諾を得て、馬車の荷台に乗り込む。道中、自己紹介や世間話などをして情報を集めていく。

オヤジの名前はトロギ、この近くの村に妻と娘と住んでいるらしい。リグロに村で作った作物を売り、その金で生活品を買いに行く途中だったらしい。

どうやら、俺に声をかけたのは親切からだけでなく、リグロまでの護衛を頼みたかったようだ。


トロギ「2つ名持ちなんて、兄ちゃんいい身分の出なんだなぁ…」


藪雨「2つ名?」


トロギ「2つ名を知らないのかい…リグロを知らない事といい、兄ちゃんもしかして、ハザマ人って奴かい?」


藪雨「それも知らないな」


トロギ「ハザマ人ってのは、時空だかなんだかの間からこっちに飛ばされてくる人の事らしいんだよ。最近急に増えてきたって話だ」


確証はないが、この世界でのプレイヤーの総称なのだろう。


藪雨「なら、俺はハザマ人って奴になるだろうな」


それを聞いた途端、トロギは喜んだ。


トロギ「それならありがてぇ!なんせ、ハザマ人はえらく強いらしいからなぁ!」


藪雨「俺は強いかどうか知らんぞ?」


トロギ「いいじゃねぇか!強い奴の仲間ってことは強い可能があるってことなんだからよ!」


ガッハッハとトロギは豪快に笑った。

なんとも、陽気なオヤジだ。

そんなことをしているうちに戦闘も無く、地平線の先に壁らしきものが見えてきた。


藪雨「あれがリグロの城壁か?」


トロギ「そうだそうだ。でけえもんだろ?」


確かに大きい、10メートルもあろうかというレンガの壁が隙間なく敷き詰められている。

都市というだけあって相当な面積なのだろう。


藪雨「あぁ」


ここまでの大きさの壁を見たことがなかった俺は、その光景に目を奪われていた……


 

面白い!続きが気になるなどと思ってくださった方はブックマークの方をよろしくお願いします。

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