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フィストニーナ拳闘記~君と殴り合う乙女ゲーム  作者: 未羊


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Round41 測定結果は意味不明

 はっきりいって、やり過ぎたと思っている。

 ゲームとかだと、やり過ぎたってその描写がないからどうにかなっていると思うんだけど、さすがに現実だとそうはいかないというものね。

 私の目の前では、ずたずたになった鎧の修復が行われている。

 ちなみに兜はかなり吹き飛んでいたので、探すのにとても難航していた。どんだけ吹き飛んだのよ。


「すごいですよ、フィストニーナ様!」


 ネイリア様は両手の拳をぎゅっと握りしめて、興奮した様子で私に話しかけている。


「あ、ありがとうございます」


 私はひきつった表情を浮かべながら、ネイリア様にお礼を言っている。


「なによ、男爵令嬢風情が調子に乗って……」


 うん? 何か聞こえてきた気がするわね。

 すぐに振り返ったけれど、学生たちがたくさん立っているので、誰がしゃべったのかまったく分からなかった。

 私は首をひねりながらも、気のせいかと思って鎧の修復作業を見守ることにした。


 ちなみにだけど、私の結果は『拳ランクが中、風魔法ランクが高』と出ていた。他の属性は表示されていない。

 で、このランクは『無、極低、低、稍低、中、稍高、高、至高、極高』という九段階で表示される。よくあるアルファベット表記じゃないのよね。

 もちろん、これらのランクは現地語で表示される。

 てか、至高はあるのに至低っていうのはないんだ。まあ、言語としても存在していないからしょうがないかな。

 それにしても、私の属性は風に偏り過ぎているわね。やっぱりあれのせいかしらね。

 私が風属性に寄ってしまっている理由は、すぐに分かってしまう。それは、小さい頃に出会ったグリフォンだ。

 八歳の頃、ソニア様のお茶会に参加してきた時に、唐突にお屋敷に襲来したグリフォン。私は必死にグリフォンに一撃を加えていた。

 それに加えて、ネイリア様が保護したグリフォンの子ども。私は一緒になってグリフォンのところへと返しに行った。その時にもらったのが、グリフォンの羽。

 グリフォンの羽を手に入れて以降、私の持つ属性はすっかり風属性に偏ってしまった。よっぽど相性がよかったと思われる。

 ちなみに、本来のフィストニーナは、育て方で属性が変わる。ただ、ヒロインとして光属性は標準装備だった。

 けれど、私にはその光属性がこの試験では計測されなかった。

 ファブニールに教えてもらっているから、闇属性もあるかと思ったら、それもなかった。もしかして、両方を覚えたから相殺し合ったとか?

 いやいやいや、それはそれでまずいでしょ。

 だって、光と闇が合わさり最強に見えるができないのよ?

 中二病を患ったら、誰だってこれを思い浮かべないわけがないと思うのよ。


 それはそれとして、ようやく鎧の修復が終わり、試験が再開される。

 しばらくすると、ソニア様が出てこられた。

 友人兼ライバルという立場になってしまったソニア様だけど、私にはとにかく優しくしてくれている。


「ソニア様、頑張って下さい」


 私は思わず声をかけていた。

 そしたら、ソニア様が振り返って、私に笑顔を向けてくれた。さすがは公爵令嬢、笑顔がまぶしすぎる。

 ソニア様は真っすぐに拳を鎧へとぶつけている。


『拳ランク中、水属性稍高、光属性中』


 公爵令嬢にしては適性が微妙な気もするけれど、学園に入ったくらいだとこれが普通なのかしらね。

 それ以外に力などのステータスが表示されていたけれど、そちらはさすがに高い数値が並んでいた。

 私?

 私のステータスは力と体力にほとんど割り振られているわよ。脳筋とかいうな。


「さすがでございます、ソニア様」


「ありがとう、フィストニーナ様。ですが、高のランクが表示されたのは、フィストニーナ様だけですわよ」


「あはは、左様でございますね」


 ソニア様に指摘されて、私も初めて気が付いた。

 そういえばここまで測定してきた誰も、ランクで高を出していない。

 あの辺境伯令嬢でいらっしゃるバトリシア様でも拳ランクは稍高だったもの。

 それを思うと、上のランクというのは際限がないのだなと思わされる。これで至高や極高を叩き出す人たちってどんな人なのか。想像するだけで怖くなってくる。

 だけど、私はイベントをこなして能力が伸びていくタイプのヒロインだ。きっとこれからのイベントを重ねて、ますますチートクラスの能力になっていくんだろうなと思う。


「キャーッ!!」


 私がいろいろと考えごとをしていると、女子学生たちから黄色い声が飛び出している。

 何事かと思って視線を向けると、そこに現れたのは我らが王子、グリフィス・ボクシス王太子殿下だった。

 そっか、王族だから順番は一番最後になるのね。爵位が下の方からだもん、それはそうなって当然だった。

 女子学生からは黄色い声援を浴び、男子学生からは憧れの眼差しを向けられる。それが攻略対象でひときわ目立つ王子なのである。

 とはいえど、学園内での教師からの扱いはそれ以外の学生たちと同じだ。王太子といえど、この試験をパスすることはできない。

 さて、この世界のグリフィス殿下の実力はいかほどかしらね。

 周りからこれでもかというくらいの注目を集める中、いよいよグリフィス殿下の試験が始まった。

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