開くはずのない扉
巨大な扉。
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空の向こう。
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白い世界の中心。
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それは存在していた。
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学院より大きい。
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山より大きい。
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世界そのものみたいな。
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圧倒的な存在。
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誰も声を出せない。
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白い少女ですら。
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動けなくなっていた。
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『あり得ない』
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震える声。
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『許可が出ていない』
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『まだ時期ではない』
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初めて。
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少女が狼狽していた。
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黒髪の存在が舌打ちする。
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『最悪だ』
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「だから何なんだよ」
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私は聞く。
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そろそろ説明してほしい。
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本当に。
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そろそろ。
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限界だ。
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黒髪の存在は少し黙る。
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そして。
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諦めたように言った。
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『あれは世界の中枢だ』
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学院が静まる。
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「……は?」
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『この世界を管理している場所』
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『全ての観測』
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『全ての記録』
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『全ての選別』
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『全ての修正』
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『全ての消去』
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空を見る。
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巨大な扉。
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言われてみれば。
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どこか機械的だった。
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神秘的じゃない。
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むしろ。
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巨大な装置。
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そんな印象。
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『本来なら』
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黒髪の存在が続ける。
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『誰も見ることはない』
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『存在すら知らない』
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『それでよかった』
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声が重い。
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何かを知っている。
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何かを隠している。
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そんな声だった。
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「お前」
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私は聞く。
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「何者なんだ」
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沈黙。
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ユナも。
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ルナも。
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ノアも。
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全員が見ている。
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黒髪の存在は。
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少し笑った。
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寂しそうに。
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『昔』
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静かな声。
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『世界を作る側だった』
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全員が固まる。
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「は?」
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今日は何回目だ。
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『正確には違うが』
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『近い』
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黒髪の存在が空を見る。
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『そして失敗した』
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短かった。
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でも。
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その一言だけで。
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十分だった。
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失敗。
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だから追放された。
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だから消された。
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だから黒猫になった。
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たぶん。
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そういうことだ。
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その時だった。
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巨大な扉が。
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ゆっくり開く。
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ゴゴゴゴゴ。
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音ではない。
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世界そのものが軋む。
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学院の窓が割れる。
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地面が震える。
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空が裂ける。
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生徒たちが悲鳴を上げる。
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教師たちが結界を張る。
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でも。
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意味がない。
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規模が違う。
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あまりにも。
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違いすぎる。
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そして。
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扉の隙間から。
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光が漏れた。
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白い光。
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温かくない。
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優しくない。
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ただ。
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冷たい。
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完璧な光。
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その中から。
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声が響く。
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『観測開始』
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世界が止まる。
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『異常個体』
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『識別番号未登録』
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『通称ミナ』
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私の名前。
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呼ばれる。
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知らない声に。
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知らない場所から。
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『存在矛盾率』
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『計測開始』
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数字が浮かぶ。
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空中に。
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無数の数字。
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文字。
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記号。
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理解できない。
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でも。
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嫌な予感だけは分かる。
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『結果』
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少しの沈黙。
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そして。
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その声は言った。
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『矛盾率百パーセント』
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学院が静まる。
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黒髪の存在が目を閉じる。
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白い少女が青ざめる。
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監査官が言葉を失う。
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ルナが私を見る。
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ノアも。
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ユナも。
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全員が。
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私を見る。
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そして。
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次の言葉が落ちた。
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『対象を認定』
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冷たい声。
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機械のような声。
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神のような声。
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『世界外生命体』
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私の思考が止まる。
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『ミナは』
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扉の向こう。
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何かが立ち上がる。
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巨大な影。
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世界より古い存在。
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それが。
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ゆっくりこちらを見る。
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『この世界の住人ではない』
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その瞬間。
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私の頭の奥で。
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何かが砕けた。
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忘れていた記憶。
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封じられた何か。
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遠い昔の声。
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知らない景色。
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知らない空。
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知らない自分。
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そして。
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私は初めて。
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本能的に理解した。
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この戦いは。
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今までの全部が前座だった。
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本当の物語は。
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ここから始まる。




