↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰を抱く少女は、何度でも折れる  作者: ニィギンヤ
第3部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/47

開くはずのない扉

 巨大な扉。


⸻


 空の向こう。


⸻


 白い世界の中心。


⸻


 それは存在していた。


⸻


 学院より大きい。


⸻


 山より大きい。


⸻


 世界そのものみたいな。


⸻


 圧倒的な存在。


⸻


 誰も声を出せない。


⸻


 白い少女ですら。


⸻


 動けなくなっていた。


⸻


『あり得ない』


⸻


 震える声。


⸻


『許可が出ていない』


⸻


『まだ時期ではない』


⸻


 初めて。


⸻


 少女が狼狽していた。


⸻


 黒髪の存在が舌打ちする。


⸻


『最悪だ』


⸻


「だから何なんだよ」


⸻


 私は聞く。


⸻


 そろそろ説明してほしい。


⸻


 本当に。


⸻


 そろそろ。


⸻


 限界だ。


⸻


 黒髪の存在は少し黙る。


⸻


 そして。


⸻


 諦めたように言った。


⸻


『あれは世界の中枢だ』


⸻


 学院が静まる。


⸻


「……は?」


⸻


『この世界を管理している場所』


⸻


『全ての観測』


⸻


『全ての記録』


⸻


『全ての選別』


⸻


『全ての修正』


⸻


『全ての消去』


⸻


 空を見る。


⸻


 巨大な扉。


⸻


 言われてみれば。


⸻


 どこか機械的だった。


⸻


 神秘的じゃない。


⸻


 むしろ。


⸻


 巨大な装置。


⸻


 そんな印象。


⸻


『本来なら』


⸻


 黒髪の存在が続ける。


⸻


『誰も見ることはない』


⸻


『存在すら知らない』


⸻


『それでよかった』


⸻


 声が重い。


⸻


 何かを知っている。


⸻


 何かを隠している。


⸻


 そんな声だった。


⸻


「お前」


⸻


 私は聞く。


⸻


「何者なんだ」


⸻


 沈黙。


⸻


 ユナも。


⸻


 ルナも。


⸻


 ノアも。


⸻


 全員が見ている。


⸻


 黒髪の存在は。


⸻


 少し笑った。


⸻


 寂しそうに。


⸻


『昔』


⸻


 静かな声。


⸻


『世界を作る側だった』


⸻


 全員が固まる。


⸻


「は?」


⸻


 今日は何回目だ。


⸻


『正確には違うが』


⸻


『近い』


⸻


 黒髪の存在が空を見る。


⸻


『そして失敗した』


⸻


 短かった。


⸻


 でも。


⸻


 その一言だけで。


⸻


 十分だった。


⸻


 失敗。


⸻


 だから追放された。


⸻


 だから消された。


⸻


 だから黒猫になった。


⸻


 たぶん。


⸻


 そういうことだ。


⸻


 その時だった。


⸻


 巨大な扉が。


⸻


 ゆっくり開く。


⸻


 ゴゴゴゴゴ。


⸻


 音ではない。


⸻


 世界そのものが軋む。


⸻


 学院の窓が割れる。


⸻


 地面が震える。


⸻


 空が裂ける。


⸻


 生徒たちが悲鳴を上げる。


⸻


 教師たちが結界を張る。


⸻


 でも。


⸻


 意味がない。


⸻


 規模が違う。


⸻


 あまりにも。


⸻


 違いすぎる。


⸻


 そして。


⸻


 扉の隙間から。


⸻


 光が漏れた。


⸻


 白い光。


⸻


 温かくない。


⸻


 優しくない。


⸻


 ただ。


⸻


 冷たい。


⸻


 完璧な光。


⸻


 その中から。


⸻


 声が響く。


⸻


『観測開始』


⸻


 世界が止まる。


⸻


『異常個体』


⸻


『識別番号未登録』


⸻


『通称ミナ』


⸻


 私の名前。


⸻


 呼ばれる。


⸻


 知らない声に。


⸻


 知らない場所から。


⸻


『存在矛盾率』


⸻


『計測開始』


⸻


 数字が浮かぶ。


⸻


 空中に。


⸻


 無数の数字。


⸻


 文字。


⸻


 記号。


⸻


 理解できない。


⸻


 でも。


⸻


 嫌な予感だけは分かる。


⸻


『結果』


⸻


 少しの沈黙。


⸻


 そして。


⸻


 その声は言った。


⸻


『矛盾率百パーセント』


⸻


 学院が静まる。


⸻


 黒髪の存在が目を閉じる。


⸻


 白い少女が青ざめる。


⸻


 監査官が言葉を失う。


⸻


 ルナが私を見る。


⸻


 ノアも。


⸻


 ユナも。


⸻


 全員が。


⸻


 私を見る。


⸻


 そして。


⸻


 次の言葉が落ちた。


⸻


『対象を認定』


⸻


 冷たい声。


⸻


 機械のような声。


⸻


 神のような声。


⸻


『世界外生命体』


⸻


 私の思考が止まる。


⸻


『ミナは』


⸻


 扉の向こう。


⸻


 何かが立ち上がる。


⸻


 巨大な影。


⸻


 世界より古い存在。


⸻


 それが。


⸻


 ゆっくりこちらを見る。


⸻


『この世界の住人ではない』


⸻


 その瞬間。


⸻


 私の頭の奥で。


⸻


 何かが砕けた。


⸻


 忘れていた記憶。


⸻


 封じられた何か。


⸻


 遠い昔の声。


⸻


 知らない景色。


⸻


 知らない空。


⸻


 知らない自分。


⸻


 そして。


⸻


 私は初めて。


⸻


 本能的に理解した。


⸻


 この戦いは。


⸻


 今までの全部が前座だった。


⸻


 本当の物語は。


⸻


 ここから始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。