ひとりだったもの
黒い世界が崩れていく。
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音もなく。
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静かに。
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ゆっくりと。
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怪物は動かない。
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口だけの顔。
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歪な姿。
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でも。
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今だけは。
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ただの迷子に見えた。
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『……わからない』
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もう一度。
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怪物が呟く。
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『私は』
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影たちを見る。
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『何をしていた』
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誰も答えない。
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答えられない。
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だって。
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その答えを持っているのは。
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怪物自身だから。
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『守ろうとした』
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声。
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震えている。
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『傷付かないように』
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黒い空間が揺れる。
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『捨てられないように』
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影たちが静かに聞いている。
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『なのに』
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怪物の声が掠れる。
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『なぜ』
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『こんなに苦しい』
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私は少し考える。
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難しい話じゃない。
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でも。
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本人には。
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一番難しい。
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「それ」
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私は言う。
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「守ってなかったからじゃないか」
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怪物がこちらを見る。
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初めて。
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怒りもなく。
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憎しみもなく。
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ただ。
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答えを探す目で。
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「閉じ込めてただけだろ」
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静寂。
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「怖いから」
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「傷付くから」
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「捨てられるから」
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一歩前へ出る。
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「だから全部捨てた」
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怪物は何も言わない。
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「でも」
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私は笑う。
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「それって結局」
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少し肩をすくめる。
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「自分も捨ててるじゃん」
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世界が止まる。
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怪物も。
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完全に止まった。
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たぶん。
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初めて聞いたんだろう。
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そんな言葉。
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『……自分を』
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掠れた声。
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「うん」
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頷く。
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「だって」
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周囲を見る。
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誰も笑っていない。
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誰も責めていない。
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影たちも。
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ただ見ている。
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「お前」
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少しだけ笑った。
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「自分のこと大嫌いだろ」
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怪物が息を止める。
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その瞬間。
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黒い世界へ。
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大きなヒビが入った。
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バキッ。
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初めて音が鳴る。
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世界そのものが。
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耐えきれなくなったみたいに。
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『……ああ』
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怪物が俯く。
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『そうか』
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長い。
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本当に長い年月。
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誰にも言えなかった言葉。
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それが。
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ようやく出てきた。
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『嫌いだった』
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静かな声。
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『ずっと』
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ヒビが広がる。
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『弱い自分が』
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『期待する自分が』
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『待っている自分が』
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『苦しい自分が』
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世界が崩れる。
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影たちは逃げない。
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誰も逃げない。
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ただ。
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聞いている。
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『だから』
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怪物が震える。
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『消そうとした』
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『全部』
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涙はない。
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でも。
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泣いているように見えた。
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その時。
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小さな影が近付く。
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あの少女だった。
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医務室にいた。
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名前のない子。
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影の姿で。
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怪物の前へ歩いていく。
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『ねえ』
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小さな声。
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『じゃあ』
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怪物が見る。
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少女を見る。
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『いっしょじゃん』
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世界が静まる。
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『わたしも』
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『じぶん、きらいだった』
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怪物が言葉を失う。
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『でも』
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少女が少し笑う。
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『いまは、ちょっとだけ好き』
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私は思わず笑った。
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そう。
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その程度でいい。
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いきなり全部なんて無理だ。
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好きになれなくてもいい。
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許せなくてもいい。
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でも。
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少しだけ。
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前より嫌いじゃない。
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それだけで。
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十分だ。
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怪物が。
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ゆっくり顔を上げる。
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口だけの顔。
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でも。
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その輪郭が。
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少しずつ変わり始めていた。
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崩れるのではない。
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戻るように。
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忘れていた姿を。
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思い出すように。
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そして。
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怪物は初めて。
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小さく。
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本当に小さく笑った。
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誰かを傷付ける笑みじゃない。
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ただ。
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少しだけ救われた人の笑みだった。




