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灰を抱く少女は、何度でも折れる  作者: ニィギンヤ
第2部

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居場所作る係

「居場所作る係」



 その場の空気が。



 一瞬だけ微妙になった。



「ださ……」



 ユナが笑ってる。



 監査官まで微妙に視線を逸らした。



 失礼だな。



 でも。



 少女は小さく瞬きする。



「……いばしょ」



 まだ声が弱い。



 でも。



 ちゃんと聞き返した。



「うん」



 私は頷く。



「ここ、怖くない?」



 少女が不安そうに周囲を見る。



 白い医務室。



 監査官。



 教師。



 知らない顔。



 まあ。



 怖いだろうな。



 私は少し考える。



 それから。



「怖い人もいる」



 正直に言う。



 監査官が嫌そうな顔をした。



「でも」



 少女の頭を軽く撫でる。



「怖くない人もいる」



 ユナが手を上げる。



「はーい!私はかなり怖くない側でーす!」



「うるさい側でもある」



「否定できない!」



 ルナが少し笑う。



 少女は。



 その笑い声を聞いて。



 少しだけ肩の力を抜いた。



 その時。



 医務室の窓が揺れる。



 風。



 でも。



 違う。



 黒猫が立ち上がる。



 耳が動く。



 金色の目が細くなる。



「……また?」



 私は窓を見る。



 空は普通。



 裂け目もない。



 でも。



 嫌な感覚だけが残る。



 空間の奥。



 “何か”が近い。



 その瞬間。



 少女が急に震えた。



「っ……」



 服を掴む。



 顔色が真っ青。



「どうした」



 少女の瞳が揺れる。



 怯えている。



 でも。



 前とは少し違う。



 恐怖というより。



 “知っているもの”への反応。



「……くる」



 掠れた声。



 医務室が静まる。



「何が」



 少女がゆっくり窓を見る。



 その目が。



 恐ろしく冷えていた。



「“あっち”で、一番こわいの」



 空気が止まる。



 監査官が即座に立ち上がる。



「詳細を話せ」



 少女は首を振る。



 涙が滲む。



「やだ……」



「無理に聞かなくていい」



 私は言う。



 少女の肩が少しだけ緩む。



 でも。



 黒猫は。



 ずっと窓の外を睨んでいた。



 初めて見る顔。



 明確な警戒。



 いや。



 違う。



 あれは。



 敵を見る顔だった。



 その瞬間。



 学院全体が揺れた。



 轟音。



 悲鳴。



 窓ガラスにヒビ。



「なっ……!?」



 教師たちが叫ぶ。



 次の瞬間。



 空ではなく。



 地面が割れた。



 学院中庭。



 そこへ。



 巨大な黒い裂け目が開く。



 前回より近い。



 近すぎる。



「警報発令!!」



「全生徒避難!!」



 学院中が混乱する。



 でも。



 少女は震えながら。



 小さく呟いた。



「……みつかった」



 冷たい声だった。



 まるで。



 絶望を思い出したみたいな。



 私は少女を見る。



「誰に」



 少女の唇が震える。



 そして。



 泣きそうな声で言った。



「“捨てるひと”」



 その瞬間。



 裂け目の奥から。



 何かが笑った。

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