↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰を抱く少女は、何度でも折れる  作者: ニィギンヤ
第2部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/47

居場所作る係

「居場所作る係」


⸻


 その場の空気が。


⸻


 一瞬だけ微妙になった。


⸻


「ださ……」


⸻


 ユナが笑ってる。


⸻


 監査官まで微妙に視線を逸らした。


⸻


 失礼だな。


⸻


 でも。


⸻


 少女は小さく瞬きする。


⸻


「……いばしょ」


⸻


 まだ声が弱い。


⸻


 でも。


⸻


 ちゃんと聞き返した。


⸻


「うん」


⸻


 私は頷く。


⸻


「ここ、怖くない?」


⸻


 少女が不安そうに周囲を見る。


⸻


 白い医務室。


⸻


 監査官。


⸻


 教師。


⸻


 知らない顔。


⸻


 まあ。


⸻


 怖いだろうな。


⸻


 私は少し考える。


⸻


 それから。


⸻


「怖い人もいる」


⸻


 正直に言う。


⸻


 監査官が嫌そうな顔をした。


⸻


「でも」


⸻


 少女の頭を軽く撫でる。


⸻


「怖くない人もいる」


⸻


 ユナが手を上げる。


⸻


「はーい!私はかなり怖くない側でーす!」


⸻


「うるさい側でもある」


⸻


「否定できない!」


⸻


 ルナが少し笑う。


⸻


 少女は。


⸻


 その笑い声を聞いて。


⸻


 少しだけ肩の力を抜いた。


⸻


 その時。


⸻


 医務室の窓が揺れる。


⸻


 風。


⸻


 でも。


⸻


 違う。


⸻


 黒猫が立ち上がる。


⸻


 耳が動く。


⸻


 金色の目が細くなる。


⸻


「……また?」


⸻


 私は窓を見る。


⸻


 空は普通。


⸻


 裂け目もない。


⸻


 でも。


⸻


 嫌な感覚だけが残る。


⸻


 空間の奥。


⸻


 “何か”が近い。


⸻


 その瞬間。


⸻


 少女が急に震えた。


⸻


「っ……」


⸻


 服を掴む。


⸻


 顔色が真っ青。


⸻


「どうした」


⸻


 少女の瞳が揺れる。


⸻


 怯えている。


⸻


 でも。


⸻


 前とは少し違う。


⸻


 恐怖というより。


⸻


 “知っているもの”への反応。


⸻


「……くる」


⸻


 掠れた声。


⸻


 医務室が静まる。


⸻


「何が」


⸻


 少女がゆっくり窓を見る。


⸻


 その目が。


⸻


 恐ろしく冷えていた。


⸻


「“あっち”で、一番こわいの」


⸻


 空気が止まる。


⸻


 監査官が即座に立ち上がる。


⸻


「詳細を話せ」


⸻


 少女は首を振る。


⸻


 涙が滲む。


⸻


「やだ……」


⸻


「無理に聞かなくていい」


⸻


 私は言う。


⸻


 少女の肩が少しだけ緩む。


⸻


 でも。


⸻


 黒猫は。


⸻


 ずっと窓の外を睨んでいた。


⸻


 初めて見る顔。


⸻


 明確な警戒。


⸻


 いや。


⸻


 違う。


⸻


 あれは。


⸻


 敵を見る顔だった。


⸻


 その瞬間。


⸻


 学院全体が揺れた。


⸻


 轟音。


⸻


 悲鳴。


⸻


 窓ガラスにヒビ。


⸻


「なっ……!?」


⸻


 教師たちが叫ぶ。


⸻


 次の瞬間。


⸻


 空ではなく。


⸻


 地面が割れた。


⸻


 学院中庭。


⸻


 そこへ。


⸻


 巨大な黒い裂け目が開く。


⸻


 前回より近い。


⸻


 近すぎる。


⸻


「警報発令!!」


⸻


「全生徒避難!!」


⸻


 学院中が混乱する。


⸻


 でも。


⸻


 少女は震えながら。


⸻


 小さく呟いた。


⸻


「……みつかった」


⸻


 冷たい声だった。


⸻


 まるで。


⸻


 絶望を思い出したみたいな。


⸻


 私は少女を見る。


⸻


「誰に」


⸻


 少女の唇が震える。


⸻


 そして。


⸻


 泣きそうな声で言った。


⸻


「“捨てるひと”」


⸻


 その瞬間。


⸻


 裂け目の奥から。


⸻


 何かが笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。