ひとりを許さない
医務室は静かだった。
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でも。
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空気だけが重い。
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“処分”。
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その言葉が。
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ずっと残っている。
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少女は眠っている。
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小さい体。
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細い指。
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こんなのを見て。
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消そうって判断できるの。
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本当に終わってる。
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「ミナ」
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監査官が低く言う。
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「感情で動くな」
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「無理ですね」
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即答。
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監査官が眉を押さえる。
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最近。
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この人よく頭痛そうな顔するな。
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「お前は状況を理解していない」
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「理解してます」
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私は少女を見る。
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「この子を怖がってるんでしょ」
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監査官が止まる。
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「……当然だ」
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「世界が壊れるかもしれないから?」
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「そうだ」
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「じゃあ壊さなきゃいい」
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沈黙。
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監査官だけじゃない。
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教師たちも止まる。
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たぶん。
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簡単に言いすぎた。
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でも。
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本音だった。
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ルナの時もそうだった。
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向こう側の存在もそう。
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壊れる前に。
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“いていい”って言われてたら。
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違ったかもしれない。
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「……ミナ」
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ユナが小さく言う。
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「それ、かなり無茶言ってる」
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「知ってる」
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自覚はある。
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でも。
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無茶でも。
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誰かが言わないと。
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また同じことになる。
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その時。
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少女の体が跳ねた。
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ビクッ、と。
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全員が振り向く。
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少女の周囲。
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空間が歪む。
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黒いヒビ。
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小さい。
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でも。
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確かに開き始めている。
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「っ、来るぞ!」
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教師が叫ぶ。
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監査官たちが術式展開。
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ルナが青ざめる。
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ユナが後退する。
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でも。
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少女は泣いていた。
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眠ったまま。
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「やだ……」
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掠れた声。
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「ひとり、やだ……っ」
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ヒビが広がる。
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空気が軋む。
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怖い。
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たぶん。
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この子。
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怖くなると裂け目が開く。
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孤独と恐怖で。
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世界がズレる。
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「拘束する!」
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監査官が前へ出る。
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その瞬間。
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私は反射で少女を抱きしめていた。
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「ミナ!?」
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ユナの叫び。
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でも。
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私は離さない。
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少女の体。
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冷たい。
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震えてる。
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まるで。
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世界そのものを怖がってるみたいに。
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「大丈夫」
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耳元で言う。
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「ひとりじゃない」
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少女が息を呑む。
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その瞬間。
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ヒビが止まる。
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空間の歪みが弱くなる。
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監査官たちが固まる。
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「……安定、した?」
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教師が呟く。
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少女の呼吸が落ち着いていく。
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震えも。
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少しずつ止まる。
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私は。
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その小さい背中を撫でる。
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ただ。
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それだけ。
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すると。
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少女が。
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そっと服を掴んだ。
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「……あったかい」
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小さい声。
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涙混じり。
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その瞬間。
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また。
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理解してしまう。
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この子。
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本当に。
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ただ。
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怖かっただけなんだ。
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「……門、ね」
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私は小さく呟く。
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こんなの。
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門じゃない。
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ただの子供だ。
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その時。
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黒猫が。
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静かにベッドの端へ座る。
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金色の目。
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じっとこっちを見ている。
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そして。
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ゆっくり瞬きした。
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まるで。
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“正しい”と言うみたいに。
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監査官が。
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苦しそうに息を吐く。
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「……報告内容を書き換える」
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全員が見る。
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「対象は現時点で安定」
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「危険性は低下傾向」
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教師が驚く。
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「お前、それ……」
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「規則違反だ」
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監査官が自嘲気味に笑う。
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「今さらだろ」
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少しだけ。
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人間っぽい顔だった。
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私は。
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その顔を見て思う。
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この人も。
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たぶん。
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ずっと苦しかったんだろうな。
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正しい側にい続けるの。
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その時。
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少女が。
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眠そうに目を開けた。
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ぼんやりした瞳。
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涙の跡。
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そして。
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私を見上げる。
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「……あなた、だれ」
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静かな声。
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私は少し考える。
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それから。
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小さく笑った。
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「たぶん」
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「居場所作る係」
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ユナが吹き出した。
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「ダサい肩書き!」
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うるさい。
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でも。
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少女が少しだけ笑ったから。
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まあ。
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悪くなかった。




