落ちてきた子
少女は、軽かった。
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抱き上げた瞬間。
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骨しかないみたいで。
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少し怖くなる。
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「医務室!」
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教師が叫ぶ。
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周囲が慌ただしく動く。
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でも。
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少女は暴れなかった。
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ただ。
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怯えていた。
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呼吸が浅い。
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体温も低い。
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「……また」
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ルナが小さく呟く。
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唇が震えている。
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分かってしまったんだろう。
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この子も。
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自分と同じだって。
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医務室。
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白い天井。
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薬品の匂い。
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少女はベッドへ寝かされた。
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眠っている。
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でも。
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時々。
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苦しそうに震える。
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「状態は?」
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監査官が聞く。
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医師が険しい顔で答える。
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「魔力構造が崩壊寸前だ」
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「同期率も異常」
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「……外界汚染が強すぎる」
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嫌な言葉ばかりだった。
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ルナが俯く。
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自分の時を思い出している。
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私は。
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少女を見る。
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小さい。
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たぶん。
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十歳くらい。
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こんなのが。
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“危険存在”。
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笑える。
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「名前は」
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自然に口から出る。
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監査官がこっちを見る。
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「不明だ」
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「また番号?」
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監査官は黙る。
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つまり。
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そういうこと。
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私は少しイラつく。
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人間へ。
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番号ばっか付けやがって。
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その時。
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少女の指が動く。
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小さく。
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震えながら。
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「……いや」
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掠れた声。
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「やだ……」
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ルナの肩が跳ねる。
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少女は眠ったまま。
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泣いていた。
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「いたい……」
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空気が重くなる。
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ユナが顔をしかめる。
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「きつ……」
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私も。
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少し息が詰まる。
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痛みだけが残ってる。
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そんな声だった。
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その瞬間。
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黒猫がベッドへ飛び乗る。
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少女の胸の上へ座る。
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「おい」
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重いだろ。
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でも。
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少女の呼吸が。
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少しだけ落ち着く。
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震えも弱くなる。
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黒猫はじっと少女を見る。
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金色の目。
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どこか。
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慰めるみたいだった。
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「……お前、本当に何者なんだ」
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聞く。
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黒猫は当然無視。
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腹立つな。
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その時。
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監査官の通信端末が鳴る。
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嫌な音。
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監査官が応答する。
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「……はい」
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少しずつ。
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顔色が悪くなる。
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「それは……」
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沈黙。
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長い。
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そして。
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「了解した」
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通信終了。
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空気が重い。
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「何」
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私が聞く。
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監査官は少し迷う。
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でも。
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隠せないと思ったのか。
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静かに言った。
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「中央は、この子を“門”と呼んでいる」
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嫌な予感。
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「門?」
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「外界と世界を繋ぐ存在」
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静か。
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でも。
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内容は最悪だった。
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「この子が不安定化すれば」
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監査官が続ける。
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「前回以上の裂け目が開く可能性がある」
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沈黙。
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ユナが青ざめる。
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ルナが震える。
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教師たちも顔をしかめる。
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でも。
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私は。
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別のことを考えていた。
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こんな小さい子に。
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そんな役割押し付けるのか。
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世界って。
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本当に最悪だな。
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「だから中央は」
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監査官が低く言う。
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「処分も視野に入れている」
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その瞬間。
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空気が凍った。
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ルナが息を止める。
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ユナが「は?」って顔をする。
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私は。
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静かに監査官を見る。
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「またそれか」
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低い声。
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監査官も苦しそうだった。
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「私も賛成はしていない」
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「でも止められない?」
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監査官は答えない。
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沈黙だけが残る。
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つまり。
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止められない。
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少女が小さく呻く。
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「……ひとり、やだ」
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その声で。
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何かが切れた。
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私は立ち上がる。
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監査官を見る。
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「じゃあ」
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静かに言う。
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「今度は、私が止めます」
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監査官の顔が固まる。
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教師たちも止まる。
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でも。
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私はもう迷わなかった。
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だって。
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知ってしまったから。
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一番苦しいのは。
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痛みじゃない。
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“ひとり”だ。




