ここにいていい
その言葉が。
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世界へ落ちた。
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「ここにいていい」
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一瞬。
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本当に一瞬だけ。
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全部が止まる。
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空の裂け目。
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崩れかけた結界。
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展開されていた巨大魔法陣。
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悲鳴。
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風。
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全部。
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静止したみたいだった。
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巨大な“手”が止まる。
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空へ伸ばしたまま。
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まるで。
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信じられないものを聞いたみたいに。
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『……いい?』
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頭へ響く声。
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掠れている。
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壊れそうなくらい弱い。
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私は頷く。
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「うん」
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自然だった。
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もう。
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怖くなかった。
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『わたし』
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巨大な影が揺れる。
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『いても』
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裂け目の向こう。
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黒い世界が軋む。
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無数の“ズレたものたち”が。
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こちらを見ている。
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息を呑むみたいに。
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信じられないものを見るみたいに。
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「ミナ!!離れろ!!」
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教師の叫び。
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「外界と同期する気か!?」
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監査官たちも動く。
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巨大魔法陣が発光する。
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消滅術式。
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撃たれる。
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そう思った瞬間。
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黒猫が鳴いた。
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「――ァ゛」
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初めて聞く声だった。
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猫の声じゃない。
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もっと古い。
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もっと深い何か。
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その瞬間。
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空間がズレる。
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術式が止まる。
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監査官たちが硬直する。
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「なっ……!?」
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同期が外れている。
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私と同じ。
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いや。
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もっと上手く。
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もっと自然に。
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黒猫が。
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静かに前へ出る。
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そして。
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裂け目を見上げた。
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巨大な影も。
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黒猫を見る。
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長い沈黙。
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その後。
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『……きみも』
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声が震える。
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『おちたの?』
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黒猫は答えない。
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でも。
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ゆっくり座る。
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まるで。
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“もう大丈夫”と伝えるみたいに。
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その姿を見て。
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私は少しだけ理解する。
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ああ。
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この猫。
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元々。
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向こう側の存在なんだ。
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だから分かる。
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だから。
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ずっと寄り添っていた。
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ルナにも。
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私にも。
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居場所のないものへ。
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その時。
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巨大な影が。
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少しだけ崩れる。
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怖かった。
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でも。
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壊れる崩れ方じゃない。
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泣くみたいな。
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力が抜けるみたいな。
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『……ああ』
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声。
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『そっか』
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裂け目の向こうで。
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無数のズレた存在たちが。
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少しずつ静かになる。
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暴れていない。
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叫んでいない。
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ただ。
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見ている。
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まるで。
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初めて光を見たみたいに。
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その時。
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学院上空の術式が。
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再び起動する。
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監査官たちが強制復帰した。
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「撃て!!」
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銀髪の監査官が叫ぶ。
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苦しそうな顔で。
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それでも。
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命令を優先して。
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巨大術式が降ってくる。
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世界ごと焼き切る光。
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ユナが悲鳴を上げる。
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ルナが震える。
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教師たちも止められない。
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でも。
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私は。
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前へ出た。
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自然に。
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何も考えず。
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「ミナ!!」
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叫び。
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光。
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崩壊。
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全部が迫る。
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その瞬間。
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私は初めて。
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“自分の力”を理解した。
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合わせる必要なんて。
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最初から。
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なかった。
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世界が合わないなら。
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世界の方を。
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少しだけ優しくすればいい。
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私は手を伸ばす。
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巨大術式へ。
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そして。
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静かに。
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“ズラした”。
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瞬間。
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世界が鳴る。
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巨大術式が。
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砕けた。
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音もなく。
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綺麗に。
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まるで。
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最初から。
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存在しなかったみたいに。
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静寂。
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誰も動けない。
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監査官も。
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教師も。
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ユナも。
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ルナも。
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全部。
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止まっている。
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私は。
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自分の手を見る。
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少しだけ。
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震えていた。
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怖かった。
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でも。
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それ以上に。
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少しだけ。
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嬉しかった。
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初めて。
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この力を。
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“誰かを守るため”に使えたから。
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その時。
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裂け目の向こうから。
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小さな声が響く。
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『……ありがとう』
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巨大な影が。
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少しだけ笑った気がした。




