向こう側から見えているもの
それは。
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“目”だった。
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空の裂け目。
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黒いヒビの向こう。
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巨大な。
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ありえないくらい巨大な。
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何かの視線。
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学院の誰も気づいていない。
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でも。
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黒猫だけは。
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はっきり警戒していた。
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毛を逆立て。
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低く唸る。
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「……どうした」
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窓へ近づく。
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その瞬間。
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視線が合った。
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頭が揺れる。
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世界がズレる。
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一瞬だけ。
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“向こう側”が見えた。
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黒い空間。
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上下もない。
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地面もない。
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無数の“ズレ”。
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人。
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獣。
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形のない何か。
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全部。
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居場所を失ったものたち。
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そして。
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その中心に。
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“あれ”がいた。
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巨大な影。
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輪郭すら定まらない。
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でも。
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見ている。
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ずっと。
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こっちを。
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「っ……」
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吐き気。
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視界が戻る。
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気づけば。
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床に膝をついていた。
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「ミナ!?」
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ユナの声。
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ルナもこっちへ来る。
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不安そうな顔。
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「大丈夫」
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反射で言う。
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でも。
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全然大丈夫じゃなかった。
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あれは。
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今までと違う。
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もっと根本的な何か。
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世界の外側。
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そこにいる。
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「……見えたのか」
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教師が低く言う。
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私は顔を上げる。
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「先生も知ってるんですか」
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教師は少し黙る。
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それから。
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苦い顔で頷いた。
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「中央の最上位機密だ」
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空気が変わる。
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「“外界”」
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静かな声。
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「世界から完全に弾かれた存在が落ちる場所」
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ルナの顔色が変わる。
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たぶん。
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記憶のどこかにある。
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研究所でも聞かされていたんだろう。
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「じゃあ」
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ユナがゆっくり言う。
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「今までのズレたやつらって……」
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「外界へ落ちかけた存在だ」
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教師が答える。
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「完全に落ちた者は、戻れない」
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静かになる。
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でも。
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私は。
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少しだけ違和感を覚える。
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「……戻ろうとしてる」
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自然に口から出る。
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教師がこっちを見る。
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「何?」
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「向こう側」
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空を見る。
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ヒビ。
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その奥。
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「あれ、戻ろうとしてる」
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自分でも分かる。
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あの視線。
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敵意じゃない。
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もっと。
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必死だった。
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居場所を探すみたいに。
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「ありえん」
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教師が即答する。
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「外界存在は理性を保てない」
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「でも」
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私は少し止まる。
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そして。
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静かに続ける。
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「昔、私たちもそう言われてたんですよね」
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沈黙。
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ルナが小さく息を呑む。
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教師も言葉を失う。
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そう。
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最初は。
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ルナだって。
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黒猫だって。
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“危険存在”だった。
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理解できないから。
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怖かったから。
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怪物にされた。
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でも。
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今は違う。
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なら。
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向こう側も。
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本当に“怪物”なんだろうか。
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その時。
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学院全体が揺れる。
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地震みたいに。
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でも違う。
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空間が軋んでいる。
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窓ガラスにヒビ。
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廊下で悲鳴。
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警報。
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「裂け目が拡大してる!!」
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誰かの叫び。
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教師の顔色が変わる。
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「全員避難——」
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その瞬間。
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空が割れた。
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黒い裂け目。
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今までで最大。
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学院の上空を覆う。
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そして。
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“手”が出てくる。
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巨大な。
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人間みたいな。
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でも。
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明らかに人間じゃない手。
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空を掴む。
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世界へ。
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無理やり這い出ようとするみたいに。
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生徒たちが悲鳴を上げる。
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教師たちが固まる。
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監査官が武器を抜く。
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でも。
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私は。
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なぜか。
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怖くなかった。
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あれは。
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助けを求めている。
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そんな気がした。
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その時。
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頭の中へ。
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直接。
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声が響く。
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『――みつけた』
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低い。
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壊れかけた声。
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『おなじもの』
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空気が止まる。
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その言葉が。
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なぜか。
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妙に嬉しくて。
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少しだけ。
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怖かった。




