優しい世界は、少し怖い
ルナは。
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少しずつ喋るようになった。
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本当に少しずつ。
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最初は。
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「……うん」
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「やだ」
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「こわい」
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それだけ。
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単語みたいな会話。
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でも。
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日が経つたび。
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少しずつ増えていった。
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「それ、なに」
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「……おいしい」
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「ユナ、うるさい」
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「ちょっと!?なんでルナまで!?」
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医務室が。
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最近やたら騒がしい。
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たぶん。
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大体ユナのせい。
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「でもさー!」
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今日もうるさい。
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「ルナが喋るようになったの、かなり進歩じゃない!?」
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「声量を下げろ」
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「ミナ最近ちょっと冷たいよね?」
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「元から」
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「それはそう」
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即答するな。
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ルナが小さく笑う。
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最近。
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よく笑うようになった。
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まだぎこちないけど。
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ちゃんと。
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感情が見える笑い方。
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その変化を見るたび。
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胸の奥が少しだけ温かくなる。
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でも。
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同時に。
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少し怖かった。
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優しい時間は。
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壊れる前触れみたいだから。
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私は知っている。
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こういう時ほど。
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世界は簡単に壊れる。
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「ミナ?」
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ユナの声。
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「また難しい顔してる」
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「してない」
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「してる」
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ルナまで頷く。
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なんなんだ。
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最近この二人。
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妙に連携がいい。
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その時。
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コンコン。
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扉が鳴る。
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珍しい。
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ユナじゃない。
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「入れ」
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扉が開く。
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教師だった。
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表情が硬い。
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嫌な予感。
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「……中央から正式通知が来た」
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空気が止まる。
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ルナの肩が震える。
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「安心しろ」
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教師が続ける。
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「今回は回収命令じゃない」
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少しだけ。
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空気が緩む。
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でも。
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教師の顔は晴れない。
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「代わりに、“観察対象”へ変更された」
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「観察……」
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ユナが嫌そうな顔をする。
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「結局監視じゃん」
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「そうだ」
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教師も否定しない。
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「中央はお前たちを危険視している」
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お前たち。
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つまり。
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私も。
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ルナも。
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黒猫も。
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全部まとめて。
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異物。
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教師がこっちを見る。
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「特にミナ」
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予想通り。
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「お前の能力は、既存理論と噛み合わない」
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「またその話」
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「重要だ」
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教師が静かに言う。
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「お前は“同期を外せる”」
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医務室が静かになる。
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「それはつまり」
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少し間を置いて。
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「世界そのものを壊しかねない能力だ」
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ユナが息を呑む。
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ルナが不安そうにこっちを見る。
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でも。
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私は。
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そこまで驚かなかった。
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なんとなく。
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分かっていたから。
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私の力は。
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普通じゃない。
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“合わせる”んじゃなく。
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“ズラす”。
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だから。
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噛み合ってる世界を。
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簡単に壊せる。
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「怖いですか」
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自然に聞いていた。
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教師は止まる。
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少し考えて。
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「……正直、怖い」
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ちゃんと言った。
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誤魔化さずに。
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だから。
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少しだけ安心する。
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「でも」
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教師が続ける。
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「今のお前は、昔より人間らしい」
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一瞬。
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意味が分からなかった。
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「褒めてるんですか」
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「たぶんな」
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曖昧だな。
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でも。
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悪い気はしなかった。
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その時。
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ルナが。
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そっと服を掴む。
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小さい手。
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震えている。
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「ミナ」
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「ん」
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「……こわれない?」
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静かな声。
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怖がっている。
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この時間を。
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この場所を。
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また失うことを。
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私は少しだけ考える。
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それから。
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ルナの頭を軽く撫でた。
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「壊れても」
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自然に言葉が出る。
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「また作ればいい」
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ユナが目を丸くする。
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教師も少し驚いていた。
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でも。
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私は本気だった。
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世界に居場所がないなら。
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作ればいい。
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合わないなら。
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無理に合わせなくていい。
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そのための力なら。
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少しくらい。
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嫌いじゃないかもしれない。
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その瞬間。
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黒猫が。
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急に窓の外を見る。
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金色の目が細くなる。
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空。
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遠く。
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また。
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黒いヒビ。
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今度は。
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前より大きい。
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そして。
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その向こう側で。
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“何か”が。
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こっちを見ていた。




