世界にとっての異物
回収命令。
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その言葉が。
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医務室に残り続けていた。
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少女は震えている。
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黒猫は低く唸っている。
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ユナは露骨に怒っている。
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そして。
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銀髪の監査官だけが。
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静かだった。
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「……本気ですか」
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私が聞く。
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「この子を戻したら、また壊れる」
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「理解している」
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即答。
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でも。
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声は少しだけ重い。
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「なら」
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「命令だ」
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切るみたいに言う。
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感情を挟まないように。
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そうしないと。
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揺らぐから。
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たぶん。
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この人も。
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分かっている。
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間違っているって。
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「最低」
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ユナが吐き捨てる。
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監査官は反応しない。
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怒鳴り返さない。
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否定もしない。
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その態度が。
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逆に苦しかった。
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「……ミナ」
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少女の声。
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細い。
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壊れそうな声。
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「わたし、また」
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言葉が続かない。
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でも。
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分かる。
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また閉じ込められる。
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また番号で呼ばれる。
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また。
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人間じゃなくなる。
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そう思ってる。
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私は少女の前にしゃがむ。
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目線を合わせる。
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「大丈夫」
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またその言葉だった。
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でも。
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今度は。
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ただ慰めるためじゃない。
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「今度は、ちゃんと止める」
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少女の目が揺れる。
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信じたい。
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でも。
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信じるのが怖い。
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そんな目。
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昔の私と同じだった。
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その時。
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警報が鳴る。
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学院中に響く。
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全員が止まる。
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監査官が通信端末を見る。
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顔色が変わる。
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「……最悪だ」
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初めてだった。
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この人が。
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感情を露骨に出したの。
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「中央直属部隊が到着する」
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空気が凍る。
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「早すぎるだろ……」
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教師が呟く。
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つまり。
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最初から。
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話し合う気なんてない。
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力ずくで回収するつもりだった。
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窓の外。
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空に光が走る。
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転移陣。
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巨大。
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学院全体を覆うくらい。
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「うわ……趣味悪……」
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ユナが引いている。
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同感だった。
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空から。
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黒い装甲の人間たちが降りてくる。
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統一された動き。
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無駄がない。
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強い。
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たぶん。
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今まで見た誰より。
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「対象保護を優先」
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「抵抗勢力は制圧」
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機械みたいな声。
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学院中がざわつく。
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生徒たちが怯える。
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教師たちも警戒している。
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でも。
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私は。
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少しだけ違和感を覚える。
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“ズレてない”。
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こいつら。
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綺麗すぎる。
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同期しすぎている。
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まるで。
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全員。
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一つの部品みたいに。
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「……気持ち悪い」
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自然に口から出る。
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監査官がこっちを見る。
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「分かるのか」
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「はい」
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あれは。
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世界に合わせすぎた人間だ。
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自分を削って。
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噛み合わせて。
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壊れない代わりに。
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空っぽになった。
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たぶん。
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昔の研究の“成功作”。
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だから。
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こんなに綺麗なんだ。
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異常なくらい。
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「対象確認」
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部隊の一人が前に出る。
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目だけが冷たい。
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「実験体No.47を回収する」
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番号。
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その呼び方だけで。
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少女の顔から血の気が引く。
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呼吸が乱れる。
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空間が揺れる。
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ズレ始める。
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私は。
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一歩前に出る。
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「その子には名前があります」
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部隊が止まる。
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視線が集まる。
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でも。
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私はまだ。
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名前を聞いていない。
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それでも。
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番号じゃない。
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それだけは。
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はっきり分かる。
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「対象は危険存在だ」
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「違う」
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静かに返す。
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「居場所がなかっただけです」
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一瞬。
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沈黙。
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それから。
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部隊の一人が。
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少しだけ首を傾げる。
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理解できないものを見る動き。
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ああ。
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やっぱり。
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この人たち。
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もう。
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“分からなく”なってる。
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人間のこと。
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「排除対象追加」
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その言葉で。
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空気が変わる。
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殺気。
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学院全体が軋む。
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ユナが息を呑む。
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教師たちが構える。
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黒猫の毛が逆立つ。
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そして。
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私は。
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初めて。
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少しだけ笑った。
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怖くない。
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今は。
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一人じゃないから。




