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第一項 二度目の蜜月(第83話)

第一部 新世界の産声編 第五章 新世界へ 第二節 再びの襲撃

ドルガノス編


 シルフィーネに命を差し出せと言われて承諾はしたものの、準備に少々時間が掛かると言う。


「それで、準備にはどれくらいの期間が必要なのだ?」


「そうですね。素材が揃えばすぐにでも――と言いたいところなのですが、少々邪魔な存在と必要な資料がありまして」


「邪魔な存在と必要な資料っていうのは?」


「それには今の私の身上に関わってくるのですが……お二人は秘密結社をご存知ですか?」


「秘密結社? ふむ……宰相が何か言っていた気がするな」


「私も風の噂に聞いた程度かな。でも、そこって潰れたんじゃないの?」


「はい、確かに秘密結社は怪人【悪鬼】やその協力者達の手によって滅びました。問題は、その残党が未だに存在していることなんです」


「やけに詳しいが、シルフィーネはその秘密結社という組織があった世界に居たのか?」


「はい、その世界の怪人研究機関という組織に所属していました」


「怪人研究機関? そのような組織の名は聞いた覚えがないな」


 宰相の耳にも入らぬとは、隠匿性はかなりの物だったらしい。


「私も聞いた覚えはないわね」


「怪人の研究は秘密裏に行われていたので……情報統制はかなりの物であったと自負しています」


 うむ、シルフィーネであればその程度は造作も無かろう。


 なにしろ、かつては宰相と共に国内のあらゆる情報を掌握していたのだからな。


 世界が変われど、その手腕が失われることはなかったようだ。


 そんなシルフィーネの手腕を思い出していると、ふとリンが尋ねた。


「ねえ、シルフィーネ? 今の貴女って、元の力を使うことは出来るの?」


 それは我も気になっていた。今のシルフィーネからはほとんど力を感じぬからな。


 リンの問いに対してシルフィーネは粛々と頷いて、現在の力を揮って見せた。


「はい。ただ、今生の私にはわずかな風を操る程度の力しかないです。これくらいの」


 ふわり、と、こそばゆい程度の風が我らの間を通り抜けていった。


「んー、そよ風程度なのね。人間だからというのもあるのでしょうけど、そっちの世界には魔素がなかったのね」


「はい、今の世界になってようやくこれなので、風の力を使いたいときは魔法を使っています」


「まあ、貴女の今の身体ならそっちのが良いでしょうね。こっちみたいに契約できるような相手も居なかっただろうし」


 契約? 確か、異世界の魔法少女とやらが魔素を効率よく使うために我らのような存在と契約とやらを結ぶのであったか。


「お母様は魔法少女達が居る世界に居たのですね。そちらには魔素があったのですか?」


「うん、こっちの世界は世界樹が一度朽ちてしまって、残った若木を異形達が隠し育てていたのよ。だから辛うじて魔素があったのよね」


「世界樹が朽ちただと? 何をしたらそのようなことになるのだ」


「私も文献でしか知らないけど、世界樹を信奉する教会による私的利用が原因らしいわ。具体的に何をやったのかは全くわからなかったけれど、どうせろくなことじゃないでしょうね」


「そうですね……昔の人族の例もありますし」


「ああ、あれか」


 まだスキルがあった頃に人族の研究者が魔導科学なる技術を用いて世界樹から直接魔力を抽出すると言う暴挙を行った結果、世界樹が一本枯れかけたのだった。


 あれには神を称する者等も焦ったのか、研究記録ごと研究者を消し飛ばしていたな。


 ただ、消し飛ばした際の被害が原因で星の怒りを買って星霊が出張ってきたのは驚いた。


「私が居なくなった後の世界はなんだか大変だったみたいねぇ。こっちは記憶が戻るまではぬくぬくと暮らしてたわ」


 リンの方は随分と余裕があったようだ。


「そちらの世界は安全だったのか?」


「安全というか暢気というか、魔物みたいな存在が圧倒的に少なかったのよね。代わりに世界各国の僅かな住処に異形が寄り集まって暮らして居るって感じでさ。まあ、中には人の暮らしに溶け込んでるだけならまだしも、悪さを働くような異形も居たわけだけど……シルフィーネの所はどんな感じだったの?」


「世界観としては似たような所ではありますが、秘密結社がそれなりの脅威ではありましたね。秘密結社は世界各地に分社がありましたから、確実に安全と言えるような国は少なかったです」


「ふぅむ、気になっておったのだが、二人が居た世界には複数の国家が存在しているのか?」


「はい、どちらかというと私達が元居た世界の統一国家が異質なのですが……」


「そうね。その点では、統一国家なんてものを作り上げたあんた達の行動はとんでもないことだとは思うけど……ドッさんの国って、最近まで行き詰ってなかった?」


「む……まあ、そうであるな。近頃は暗殺者が一つも来ない程度には落ち着いて居ったわ」


「いや、まあ……うん、暗殺者を指標にするのはどうかと思うけど、王族ともなればそんなもんよね。こっちが平和すぎて忘れてたけど」


「そうですね。私も暗殺者の手にかかっているわけですし」


「あー、そう言えばそうだったっけ。シルヴィアから聞いたわ」


「シルヴィア……? ああ、宰相の事か。そう言えばそのような名前であったな」


 そして、昔にその名で呼んで大魔法をぶつけられた記憶がある。奴は自分の名前が嫌いらしい。


 我が思わずつぶやくと、シルフィーネが苦笑しながら言った。


「あの子は自分の名前が苦手みたいでしたからね」


「私が付けた名前だってのにねぇ? まあ、その辺りの記憶は覚えてないんだけど。あ、そう言えば、今のシルフィーネは何ていう名前なの? 私は風音鈴っていうんだけど」


「私ですか? 風祭彩夏です」


「ふむ、カザマツリ・サヤカというのか。名前の様式がリンと似ているように感じるが、なんとも不思議な物だな。異なる世界に似た様式の名前とは……」


「気になるのはそっちなんだ。まあ、確かに不思議ではあるけど、私としてはシルフィーネも名前の中に風が入っていることに驚きだわ。前世の影響なのかしらね?」


「私も関連性は分かりませんが、偶然かと。私の場合は地域性の物ですし」


「うちは地域じゃなくて家系なのよね。まあ、そう言われてみると偶然なのかしらね」


「まあ、経緯はともあれ今後はシルフィーネの事もリンのようにサヤカと呼んだ方が良いか?」


「それは……悩ましいですね。私の場合は前世の記憶もしっかりとありますのでシルフィーネでも構わないのですが、かといってサヤカとしての自認もありますし……」


「へぇ、前世の記憶がしっかりと残ってるとそんな感じなのね」


「お母さまは前世の記憶が薄いとのことですが……」


「まあね。性格も随分違うんだとか」


「はい、別人かと思う位には……あっ、別に以前のお母さまがどうこうという話ではないですよ!?」


「あー、うん。シルヴィアの反応もそうだけど、私ってそんなに恐ろしかったの?」


「それは、まあ、その……はい、とても」


「これもまた黒歴史ってやつなのかしら……前世越しの」


「黒歴史というのはよく分からぬが、シルフィーネとて好戦的な性格の方はスフィアと似たような物だったのではないか?」


「一緒にしないでくださいっ! そ、それに今はこの私だけになりましたし……」


「天嵐の宝珠ね。こっちにもう一人のシルフィーネがいるわけだけど……そう言えばどうやって復活させるの? その為にドッさんの犠牲が必要っぽいけど」


「確かにドルガノス様に一度死んでいただく必要はありますが、犠牲ではありません。きちんと復活させます」


「まあ、ドッさんは殺しても死ぬような存在じゃないのは分かるけどさ。で、もう一人のシルフィーネはどうやって復活するのかって聞いてるんだけど?」


「えっと、その、あの子も私と同じような状態なので、一度は人族の身体になる必要があるわけで」


「ふんふん、それで?」


「あの子の身体を私が産もうと思っています」


「うんう……うん? 産む? どうやって? いや、誰と?」


「そ、そんなのドルガノス様が相手に決まってるじゃないですか!」


「我は構わぬのだが、龍と人との間で子供を作るとなると、我の因子が強く出ることになるぞ? そうなるともう一人のシルフィーネの因子が塗り潰されて別物になる恐れがある」


「は、はい、ですので。ドルガノス様には今の身体から別の身体になってもらう必要があるのです」


「まさか、我も人族に成れと言うのか?」


「いえ、人族の身体ではドルガノス様の龍の因子に耐えられませんので、別の身体を用意します」


「ああ、それが邪魔な存在とか必要な資料にかかってくるのね」


「はい、素体は既に出来ているのですが、結社の残党が狙っているので、とある場所で厳重に保管しています」


「つまり、結社の残党とやらを滅ぼす必要があるのだな?」


「子作りのためにね」


「お母さま!?」


「いや、冷静に状況を見るとそんな感じなんだもの。それと、資料も必要なのよね? それはどこにあるの? シルフィーネは怪人研究機関ってところに居たみたいだけど、今は違うのよね?」


「はい、怪人研究機関は結社が壊滅した後に解体されてしまいまして……資料もその際に回収されてしまったので所在が不明なんです」


「回収されちゃった資料が必要なのね。でも、あなたって記憶力が良い方じゃなかったかしら? 内容は覚えてないの?」


 確かに、シルフィーネは我も忘れているような昔のことをよく覚えていたな。


「そうなんですけど、今の身体は文字通り人並みなので……」


 そう言って、困ったように微笑む。


「覚えてないってわけね」


「そうであったか。人族の身体とは不便な物なのだな」


「まあ、人種の身体は格差があるからね。すごい人は本当にすごいのよ? まあ、それもあくまで人種の中ではって話だけど。そんでもって、気になってたんだけどさ。なんでまた職人みたいなことしてるわけ?」


「これは趣味と言いますか……今の身体は手先が器用なので、楽しくてつい」


 ほう、今のシルフィーネは手先が器用なのか。


「うむ、以前のシルフィーネは恐ろしく不器用だったからな」


「うっ」


「そんな所まで前世の私に似てたのね。料理とかも酷い物だったんじゃない?」


「……前衛的な料理は何度も食わされたな」


「はうっ」


 直接的な明言は避けたが、それがかえってシルフィーネを傷つけてしまったらしく、衝撃を受けたような顔をしている。


「ドッさん、不味い時は素直に不味いって言ってあげた方が良いのよ?」


 うぅむ、そういうものなのか。


「もうっ、お母さまだって同じようなものだったじゃないですか!」


「それはまあね。とは言え、今の私は料理上手よ? 振舞う相手は居ないけどね!」


 そう言ってリンが胸を張る。


「それは威張るような事ではないような……ですが、料理なら私もできるようになりましたから! あなたも食べたいですよね!?」


 そう言って、シルフィーネがこちらを真剣に見つめてくる。


「むう、シルフィーネの手料理か……」


 正直なところ、シルフィーネの手料理にはあまり良い思い出がない。


 龍種の我が痛痒を感じる威力だからな。あれは最早兵器と言えよう。


 ……思えば、料理に対して威力という言葉を使ったのはあれが初めてだったな。


「おっ、ドッさんの苦渋に満ちた顔なんてはじめて見たわ」


「だ、大丈夫ですから! 絶対に美味しいですから食べてください!」


「あ、それじゃあ、私も作ろうかな? 母娘の腕くらべってことでどうよ? その法が貴女も張り合い甲斐があるでしょう?」


「受けて立ちます!」


「待て、まだ我は了承したわけでは――」


「美味しい物たくさん作りますから、絶対に食べてくださいね?」


「……はい」


 この押しの強さ。シルフィーネと結婚する前の事を思い出すな。



 シルフィーネとリンが調理場へ向かってほどなくして、何やら香しい匂いが漂ってきた。


「匂いは良いな……問題は味か」


 匂いが良い時点で確かに腕は良くなっているのだろう。


 しかし、問題は味である。いつぞやの脳天を貫くような形容し難い味だけは二度と経験したくない。


 ……そもそも、シルフィーネの料理は同じ味になった事が無いのだが。


「お待たせしました」


「とりあえず色々と作ったわ。どれがどっちが作った物かは敢えて言わないから、当ててみてね?」


「う、うむ、心得た……」


 料理を終えたらしいシルフィーネとリンが次々と料理を運んできた。


 ……匂いは言うまでもなく、どの料理も見た目がまともだ。


 見慣れぬ料理が多いが、少なくとも【見た目は】まともなのだ。


 匂いは良し、見た目も良し、残るは味か……。


 一人戦々恐々としている間に食卓へ食器や料理を並べ終えたシルフィーネとリンが席の対面に着いた。


「それでは、いただきましょうか」


「そうね。まずはドッさんに食べて貰いましょうか」


「……」


 なんなのだ、これはどうすればいいのだ?


 なぜか冷や汗が止まらぬ、竜種たるこの我が、たかが料理に恐れを抱いているとでもいうのか?


「あなた? どうかしましたか?」


「ドッさん? まさかこの期に及んで怖気づいた?」


「う、うむ、いただこう」


 ……よし、覚悟は決めたぞ。なに、死にはしないのだ。恐れることはない。


 シルフィーネとリンが居た世界では常用品なのか、食器として箸が置かれている。


 そう言えば長の所でも箸を使っていたな。どうやら箸はどの世界にも存在するらしい。


 しかし、この箸の細かな紋様はなかなか――


「「さ、召し上がれ?」」


 良いからさっさと食え。言外にそう言われた気がした。


「いざっ……!」


 促されるまま箸を手に取った我は、取り易い位置にあった肉料理へ箸を伸ばし、揚げ物らしきそれをそのまま口の中へと放り込んだ。


 さくりとした衣の軽い食感と共に肉の弾力、そして口の中に肉汁が溢れる。これは鳥肉か?


 肉の味付けには大蒜と生姜に塩と胡椒、そして――醤油だったか? シルフィーネの好きな調味料が用いられているようだ。


 衣には味を付けていないようであるが、肉に味がしっかりと付いているので気にならない。むしろ味は要らない。


 ではこの衣の意味は――そうか。この衣が肉汁を閉じ込めているのか。


 ただ肉を揚げただけではこうはならない。何よりこの料理は――


「……美味い。この料理は何というのだ?」


「それは鶏の唐揚げです。家庭料理で恐縮ですが」


「なんと」


 この味が家庭料理だと? 揚げ物などという贅沢品が?


「ちなみにそれ、どっちが作ったと思う?」


「それは分かるぞ。シルフィーネであろう?」


「はいっ、私の得意料理です」


「うむ、腕を上げたようだな」


「っ! 嬉しいっ、初めて褒めて貰えましたっ」


 シルフィーネが弾んだ声を上げた。


 ……まあ、以前の料理は褒められたものではなかったからな。


 さしもの我とて、あれほど酷い味の物を食わされて美味いとはいえなんだ。


「さっきまでビビってたくせに……」


「ええいっ、黙れ! そういう貴様の料理はどれなのだ? 我が評価してやろうではないか」


「私が作ったのはそれね。お肉が好きだって聞いたから」


 そう言って、我の近くにある皿を指し示した。


 これもまた見覚えのない料理だ。何らかのソースが掛かった焼いた肉のようだが……?


「これは……?」


「ハンバーグっていうんだけど、大人から子供まで人気の一品よ?」


「ほう、これも家庭料理という物か?」


「そうね。まあ、悪くはない味のはずよ?」


「ではいただこう。ふむ、ひき肉を使っているのか。むっ、随分と脆いな」


「料理に対して脆いって言葉使う人初めて見たわ」


「実際脆いのだから仕方がないであろう。どれ、味は――」


 箸で切り分けた肉を口に運ぶ。む、これもまた肉汁の量が多いな。


 使用されたひき肉は粗さが異なる物が混ぜてあるのか、所々に歯応えのある肉があって面白い。


 おまけに肉の種類も複数あるな。これはミノタウロスと――オークか? ふむ、なかなか悪くないな。


 それに、肉をまとめるのに何か使っているようだな。これは、鳥の卵か? それと麦の風味がわずかにある。


 肉の下味は塩と胡椒か。そしてソースが美味い。これはトマトか? それにいくつもの野菜や果物、肉の風味が感じられる複雑な味がする。


「これも美味い。ところで、このソースはいったい……? 複雑な味が感じられるが」


「あー、それはケチャップとソースを混ぜてハンバーグを焼いた後のフライパンで少し煮詰めた物ね」


「ケチャップとソース?」


「こっちの世界では調味料が豊富なのよ。いっちゃえば出来合いのソース2種類を混ぜて煮詰めただけの物よ」


「出来合い? これがか? さぞかし高価な物では――」


「ないわね。普通にお店で買えるし」


 なんと。異世界は美食の世界であったのか。


「そうですね。今回使ったのは此方の世界の物ですが……お母さまの世界にも?」


「あー、言われてみたらそうね。見た目がほとんど一緒だったから普通に使ってたわ」


「こちらとお母さまの居た世界は共通点が多いようですね」


「そうみたいね。記憶が戻ってからしみじみと思ったけど、異世界に生まれ変わって何が良かったって、食事が美味しい事なのよね」


「あー、それは分かります。美味しいものが多いですよね。おまけに安くて」


「それよね! 卵を生で食べられるってちょっとした驚きだったんじゃない?」


「そもそも生で食べるという発想が凄いですよね……」


「卵を生で……? 人種がそのようなことをしたら中るのではないか?」


「こっちの世界じゃ衛生観念がってのがしっかりしててね。特に私の居た国ではそれが顕著だったから、卵や肉の生食が可能なのよ」


「なんと」


「こちらも同じですね。お肉の方は余程しっかりとしたお店で扱っている物でないとだめですけど」


「双方の世界は食への探求が凄まじいのだな……」


「いやー、それはお国柄かなぁ」


「こちらも同じく、ですね」


 世界ではなく国か。どういう国なのだ?


「親子揃ってそう言った国へ生まれ変わっていたのか……なんとも奇異なことだ」


「ほんとね。それにしてもよく食べるわねぇ。あ、これも美味しいわよ? ほら、あーん」


 美味いと言われて差し出されたので思わず口にしてしまったが――うむ、美味い。


「むぐっ……うむ、確かに美味い」


「お母さまっ!? ず、ずるいです! 私もっ、あ、あなた? はい、あーん」


 そう言いながらシルフィーネは我の口の中へ料理を突っ込んできた。


「もごっ!? むぐ……これも美味いが、何を張り合っておるのだ?」


「いや、自分でやって置いてなんだけど、女が男にあーんして食べさせるのは相応の好意がありますよってことなんだけど」


 そうなのか。


「ふむ、そちらの世界の風習か何かか?」


「まあ、そうなのかな?」


「そ、そうですね……勢いでしてしまいましたが、新婚の頃を思い出しました」


「二度目の蜜月ってやつ? もしかして私ってお邪魔かしら?」


「邪魔ではないが、むしろ居て貰わないと困るであろう? シルフィーネは見つけたが、次は別の探しものもあるのだしな」


「そ、そうですよ! じゃないと私の心臓が持ちません!」


「まったく、せっかく再開したってのに、この夫婦は……」


 む? なぜ呆れられているのだろうか?

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