第二項 自分の葬式に参加する(第76話)
第一部 新世界の産声編 第四章 其々の帰還 第四節 家族との再会
現在地は浜空市上空、もうすぐ機関の本部……私のお葬式会場へ着くのだけれど、追手の姿が途絶えた。
配信画面の方では桜香ちゃん達が神鳥様の上に集まって話をしているところだった。
「ここまで来ても追手が来ない。機関のエースの姿は見かけなかったから、会場にいると考えた方が良さそうね」
「いっそのこと、ここから会場にドカンと――」
「おバカっ! 一般人もいますのよ!?」
「海外からも著名人が来てるみたいだし、流石にヤバいって!」
「社長、リスナーさんがお葬式会場のライブ配信が始まったってURL送って来た」
「確認してくれる?」
「はい……本当に配信してる。しかも、こっちの方が悪いみたいな言い方で誤魔化そうとしてる」
「とことん舐め切ってるわね。自分達の状況が理解できていないのかしら?」
「向こうの様子が見られるの? 私達も見られるようにできるかしら?」
「ん、今表示します」
そう言って来栖さんが何か操作をすると、こちらの配信画面とは別の画面が投影された。
そこは確かに機関の建物の中だけど、私のお葬式という事もあってか、供花や鯨幕などで飾り立てられていた。
国葬とは聞いていたけれど、立場的には一般人なのだから、ここまで規模が大きいものになるとは思わなかった。
生前葬と考えたらなんだか得をした気分に……なって良いのかしら?
とは言え、これを行ったことで私が本当に死んだ時は家族葬を身内だけで行うと言う建前に使えるわね。その点だけは本当にありがたいと思える。
「この配信の司会のような事をしている方は魔法少女ですか?」
「おそらくそうであろうな」
「とても魔法少女とは思えないほどに、その……少ない魔力量ですが」
「それが現在の機関の魔法少女達の現実だ。見てくればかり良いのを集めてろくな訓練もせず、歌とダンスのレッスンばかり。奴らが報ずる異形による事件はその大半が仕組まれた物で、もはや芸人の興行のような有様となっておる。もはや今の機関は魔法少女機関とは名ばかりの芸能事務所であるな。余が小耳に挟んだ話だと枕営業なんかもしておるとか。ハハハ、それが真実ならば、アイドルですらなくただの娼婦だな。いや、それは娼婦に失礼であったか。ただのアバズレであるな!」
「クレア様! 配信! 配信していますの! そう言うワードは謹んで下さいまし!」
「おお、それはすまぬ。意外としっかりしておるのだな」
「今はちょっとした発言でも上げ足取って燃やしたがる放火魔がどこかしらに潜んで居るから大変なのよ」
「ああ、炎上という奴か。余にしてみれば何を恐れているのかという話だが……余に対してやれるものならやってみるがよいぞ!?」
「あんたSNSとか一切使ってないでしょーが! あとうちのチャンネルで挑発すんな!」
「あら、でも視聴者さんには受けているみたいよ?」
コメントの方は盛り上がっているみたい。それにしても、彼等の中には寝ていない人もいるはずなのに元気ねぇ。
「あんたらはまったくもう……」
『ねー、どうするぅ? ボクとしてはそろそろ降りたいんですけどぉ』
「あー、ごめんごんめん。それじゃあ、ここでまごまごしていてもなんだし……突入よ!」
私達が魔法少女機関へ向かって降りていくと――
「――ん? げぇっ! クソゴm――じゃなくてマスコミよ! 神獣様! あそこのでっかいカメラ構えてる奴らは蹴散らして!」
『えっ、いいの?』
「大丈夫! 世の中のためになるわ! どうせ降りるのに邪魔だし!」
『うーん……ま、いっか。あそこの人達をどければいいんだよね?』
「ええ! 遠慮なくやっちゃって!」
『とりゃー!』
神獣様の緊張感のない掛け声とは裏腹に凶悪な突風が発生して、人も車も関係なく押し流していった。
「え、ちょ、あれ人が車に押しつぶされたりしてない? 大丈夫?」
『やれって言ったのそっちでしょ? とりあえず結界は張ってあげたから無事だよ。命はね』
「そ、そう。良かった……でもスカッとしたわ! ざまみろあのクソリポーター!」
『えぇ……』
神鳥様が引くなんて珍しいわね。それにしても桜香ちゃんったら荒れているけど、何かあったのかしら?
コメントの方も桜香ちゃんと同じくらいに盛り上がっているわね。
「……あぁ、思い出したぞ。先ほどのマスコミの中に以前、小娘の不倫報道をしたリポーターが居たな」
不倫報道? 桜香ちゃんが?
「桜香ちゃんが不倫? ありえないわ?」
「うむ、実際虚偽の報道でな。春香のように小娘の周囲は全く信じていなかった。しかし、小娘の事を詳しく知らぬ者達は信じたわけだ」
「もしかして炎上したのかしら? 炎上の使い方はこれで合っている?」
「うむ、合っておるぞ。その通り、小娘は炎上してな。それなりに苦労したのに加えて、事実無根であったことが判明した後にも放映したテレビ局やリポーターからの謝罪はなかったそうだ」
へぇ……そうなの。
「あらぁ、それは万死に値す――おほんっ、酷いこともあるものねぇ」
「今一瞬、昔の汝が出ておったぞ……だから知らなかったのか……」
「あら、私は昔からこうよ? それで、私の可愛い孫を困らせたのはどこに転がって行ったのかしら?」
悪い子には自分が悪い事をしたと解るまでたくさん言って聞かせてあげないと。
「やめい! 放っておけ! 人を貶めることでしか己の価値を証明できぬ者など所詮はその程度の存在。遠からぬうちに消えてゆくであろうよ。関わるだけ時間の無駄だ。あの手の輩は汝とて何度も見て来たであろう」
「……そうね。わかったわ」
悲しい事だけれど、どうしたって救いようのない人というのは居る。
そんな人達を、私は――私達は、何度も見てきた。
「春香の人を助けたいという想いは素晴らしい事だと思う。過去の余も、それで救われた。しかし、その想いを向ける先を違えてはならぬぞ」
「ええ」
『着地ぃ、っと! 降りても大丈夫だよー』
「ありがと神鳥様! さ、お婆ちゃん、会場に乗り込みましょう!」
「ここまで来ておいてなんだけれど、自分のお葬式に参加すると言うのは、なんだか不思議な気持ちになるものね」
「生きている内に葬式をするなんてそうはないもの。私も生前葬なんて最近知ったくらいだわ」
「生前葬ですか。変わった風習があるのですね」
『衝撃だよねぇ、あ、ハルカー、抱っこしてぇ』
「あら、小さな姿になったのね。お疲れ様」
『うん、疲れはそうでもないけど、なかなか楽しかったよ』
「それじゃあ、中に入りましょうか。みんな驚くかしら?」
会場の中はなんだか騒がしいようだけれど、大丈夫かしら?
「この状況を知らない人達は驚くでしょうね……まあ、そんな人はほとんどいないと思うけど」
私達がお葬式の会場へと入ると、外まで聞こえていた喧騒が、まるで時が止まったように静まり返った。
そして――
「ほらみろ! やはり生きているではないか!」
どこかで見た覚えのある男性が、こちらを見て叫んでいた。
誰だったかしら、熊のように大きくて声も大きな――ああ、思い出したわ。
「首相さん? お久しぶりねぇ」
そうだったわ。暁星国の首相の大熊さん。主人の教え子でもあるのよね。
「春香女史! ご無事で何よりだ!」
「ええ、私は無事ですわ。首相も私のお葬式に参加してくださっているのね」
「いや、国葬なのだから私が参加せぬわけには――いや、そうではなく! 貴女は機関の上層部に命を狙われていたのですぞ!?」
「私が? いつ? ここに来るまで立ち塞がってきた子達のことかしら?」
「そうではない! 半年前の魔女達との戦いの前に、あなたが受け取った結界装置のことだ!」
「結界装置……? ああっ! それなら自宅に忘れてしまって、結局使わなかったのよ」
すっかり忘れていたわ。戦闘に参加する前日に機関の職員に渡された結界装置という物があったのよ。
魔女達が使う結界を解析して作ったとかで、戦う際に使用して欲しいと渡されていたのだったわ。
でも、私には託されていた魔道具があったから、不要と判断してすっかり忘れていたのよね。
……もしかして、彼女はそれを予見して私に魔道具を託してくれたのかしら?
「使っていない……? しかし、魔女諸共戦場から消えたと……」
「ええ、友人から託されていた魔道具があったので、そちらを使用したのよ。同じ効果なら、友人から貰った物の方が信頼できるでしょう?」
「友人から……ハハハハ! 流石ですな! 春香女史は!」
「えぇっと、ありがとうございます? それで、機関からいただいた結界装置が何か?」
「ええ、機関の研究者からのリークで、貴女に渡された結界装置だけ欠陥品であることが分かったのだ」
「あら、欠陥品? どのような?」
「その研究者が言うには、帰還不能な危険な世界に飛ばされると言う話でしたな」
危険な世界……どこかの異世界かしら?
「あら大変。使わなくて良かったわ」
「まったくだ。そして、貴女にそれを渡すように指示を出したのは――」
首相がその名前を口にしようとしたところで、懐かしい声が会場に響いた。
「大熊首相、言いがかりはそこまでにしてもらいましょうか」
「あら、機関長。お久しぶりね?」
声の主は魔法少女機関の長。機関長の真田彼方さんだった。
彼女は私にとっては幼馴染であり、魔法少女の先輩にあたる人なのよね。
若い頃はお世話になったものだわ。いつの間にか疎遠になってしまったけれど……。
「……ええ、お久しぶりですね。藤堂さん。お変わりのないようで」
「彼方さんも変わりないようで安心したわ。それで首相? 私に欠陥品の装置を渡すように指示をしたと言うのは――」
「私ですよ。しかし、私はそれが欠陥品だとは知らなかったのです」
それはそうね。私だって気付かなかったのだもの。
「あら、そうだったの。それは災難だったわね。でも、結局は使わなかったのだし、その件に関しては別に気にする必要はないんじゃないかしら? 私もこうして戻ってきているわけなのだから」
「春香女史、それではいかんのだ。今回の件はたまたま助かっただけに過ぎない。やはり、機関の人材を女性だけに頼ると言うのは――」
何かを言おうとした大熊首相の言葉を遮るように、これまでずっと黙って事の成り行きを見守っていてくれた神鳥様が言葉を吐いた。
『ねえ、キミさぁ、さっきから煩いよ。ハルカの知り合いみたいだから大目に見ていたけれど、それ以上その汚い口から言葉を吐くのを辞めて貰ってもいいかな? 流石のボクも不快が過ぎて頭がおかしくなりそうだよ』
「な、ん……と、鳥?」
「……神鳥様?」
かつてないほどの毒を吐いているわ。大熊首相の何が気に食わなかったのかしら?
『うーん、誰も気づいていない辺り、随分と巧くやったと思うよ? でもね。神の使いであるボクの目を欺ける人間なんていないんだよ。キミなんだろ? ハルカを始末しようと企んでいたのはさ。キミたち、って言ってやった方が理解できるかな? あー、そこの機関長? って人じゃないよ。その人は不器用だけれど、ハルカと同じくらいに心が綺麗な人だからね。共犯は他の――』
「待った待った! 神鳥様!? まさか、首相がお婆ちゃんを殺そうとした犯人だってこと!?」
桜香ちゃんが神鳥様に詰め寄る。この状況でもしっかり配信を続けているあたり、仕事として身についているみたいね。
『そうだよ。まあ、彼は全体の指揮官ってところか――あははっ、心が読めるのかって? そうだよ? 驚いた?』
「えっ? 神鳥様?」
会話中、突然大熊首相の方を見て話し始めた神鳥様に桜香ちゃんが困惑している。
配信のコメントの人達も困惑しているけれど、何人かが神鳥様のやったことをしっかりと当てていた。
『あー、ごめんごめん。そこの一見落ち着いている様子の首相さんに言ってあげたのさ。キミの完璧だった計画は、神様の目であるボクの存在によって台無しになったよ? 残念だったね?』
そう言って、いつもの発光煽りを繰り出す神鳥様と、それを見て盛り上がるコメントの皆に対して、大熊首相は苦笑して見せ――
「いやぁ、ハハハ、いったい何のことやら――このっ! ぐあぁっ!」
神鳥様に手を伸ばそうとした大熊首相が、ウララさんに取り押さえられた。
……速い。ウララさんの動きがまったく見えなかったわ。これでも目には自信があるのに。
それにしても、えぇっと……状況が呑み込めないわね? 展開が早すぎるわ。
「下郎が。ハルカに触れるな」
ウララさんは相手が首相であることにも構わず、腕をへし折りそうな勢いで拘束している。
『ウララちゃ――あっ、間違えた。銀狼ちゃんナイスゥ!』
「ぐぅっ、くそっ! 警備員! 何をやっている!? こいつを取り押さえろ!」
大熊首相が呆気に取られていた警備員さん達へ声を掛けるが、彼等は動き出す前に全員が膝から崩れ落ちた。
この場でそのようなことができるのは、変身した私を除けば一人しかいない。
「おっと、すまぬ。またやってしもうたわ。一斉に来られると思うとつい反撃してしまうな」
クレアさんの魔法構築速度、以前より上がっていないかしら? 彼女もすでに引退していたはずよね?
現場を離れてなお研鑽を怠っていないどころか洗練されているのは本当に凄いわ。
とはいえ、今のはちょっと容赦がなさすぎると思うのよ。
「クレアさん……彼らは自分の仕事を果たそうとしただけなのよ?」
「きちんと手加減しておるから安心せい」
「クレア=パトラック!? なぜここにいる!? 葬式への出席は蹴ったという話ではなかったのか!?」
「ふむん? 貴様、配信を見ておらぬのか?」
「配信だと? 何か無駄なことをしているとは聞いていたが……」
無駄なことかどうかはまだわからないけれど、私もこうして見て、体験するまでは見ようとも思わなかったわね。
「その無駄なことを見逃した結果がこの様よ。くくくっ、哀れなやつめ」
「くっ……! これは陰謀だ! あらぬ嫌疑を私に掛けて何を狙っている!」
『往生際が悪いなぁ。キミは国が――自分達が魔法少女を管理すべきだと思っているようだけれど、残念ながら普通の人と彼女達は似て非なる存在なんだよ。魔法少女は肉体の構造は人間と一緒で、子供だって残せる。だけれど、その中身はキミ達より高度な存在なんだよ。自分達より優れた存在を管理するだなんて、出来るわけがないじゃないか。ああ、やってみなければわからないって? 無理だよ。キミは人間の可能性を過大評価しているね。なんだってできるはずだと――』
「黙れ! 黙れ黙れ黙れ黙れぇぇ! 貴様になにが解る! 貴様なんかに、我々の何が――」
『解るさ。数千年単位でキミたち人間を見て来たんだよ? 見ていられないよ。キミのように、分不相応な高みを目指しては、そこが決して辿り着けない場所にある事を思い知って、絶望していく人達は……おっと、もう終わったみたいだね。詰みだよ。キミの負けだ』
「私の負けだと? いったい何を……」
今度は何かしら? もういっそ楽しくなってきたわね。
少し期待しながら様子を伺っていると、いつの間にか姿を消していた新堂さん達が機関の上層部の人達――だったと思うのだけれど、名前と役職が思い出せないわね――を連れてきた。
「神鳥様! 言われた通り、今回の件に関わった上層部の人間を確保しました! 自白による証言もしっかりと取れました!」
「本当に私達だけで勝てるとは思いませんでしたが……まさか上層部がここまで腐敗していただなんて思いませんでしたわ」
「怠けすぎ。大きい魔力に頼りきった脳筋に負けるわけがない」
「社長に比べりゃまだまだだけど、オレ達も強くなってんだな……」
「あなた達、いつのまに……」
『ボクの念話は特定の相手だけに届けることもできるからね。桜香ちゃんには悪いけど、メンバーの人達を使わせてもらったよ』
「ええ、それは構わないんだけど……あなた達、元魔法少女とはいえ、上層部の人達相手に勝ったの?」
それは私も気になっていたわ。
「はい、何と言いますか、思わぬ援軍もありまして、一対一の状況に持ち込めたのが勝因でしたわ。代わりにすごく緊張しましたが……」
あら、一対一で勝てたのなら実力に間違いはないわね。
援軍というのは――たぶん彼女達ね。懐かしい魔力を感じるわ。
「思わぬ援軍?」
「アタシだよ。桜香、随分と派手にやってくれたね? おかげで四ノ宮グループの株は爆上がりだよ」
「夏燐さん!?」
「あら、夏燐じゃないの。秋奈と冬華も来ているのよね?」
「おうさ。桜に足止めされていたが、あいつ、アタシら三人がかりでも結構持つようになったね。身重の身体でよくやるもんだぁ!? おまっ! 警告なしに撃つんじゃないよ!」
夏燐の反射神経はあまり衰えていないみたいね。妖怪と言われるだけのことはあるわ。
「桜は無事なの? 返答次第では当てるわ」
あと、身重の身体で夏燐たちの相手をした桜にはあとでお説教ね。
「無事だ! 無事だから落ち着けって! ちょっと遊んでやったくらいだから腹の子供に影響はねぇよ!」
「本当ね?」
「ああ! 本当だ!」
「ならいいわ」
……孫が増えるわ! 出産祝いを用意しないと!
「お前は相変わらずだな……身内のことになった途端沸点が低くなりやがる」
「我が子を心配して、なにが悪いのかしら?」
「お前のは過保護なんだよ」
「あなたが放任過ぎるのよ」
……なんだか、こういったやり取りさえも懐かしいわね。
そう思っていたら、また一人、いえ、二人。懐かしい魔力の持ち主が来た。
「お前達は相変わらずだな……」
「春香はん、お久しぶりどす」
「冬華と秋奈も久しぶりね。元気にしていたかしら?」
「お前ほどじゃないが元気だ。まったく、魔女との戦いに出向くなどという無茶をして……」
「こんなん言うてるけど、冬華も心配しとったのよ?」
「ええ、わかっているわ。なんだか若い頃を思い出すわね」
「あのー、お婆ちゃん達? 懐かしんでいるところを悪いんだけど……この事態の収拾を手伝ってくれるとありがたいかなって」
「あら、そうだったわね。それじゃあ、私のお葬式を続けましょうか? せっかく用意してくれたのだし、この状況を知らずに来てくれた人達にも悪いもの」
「喪主はどうするんだ? アタシはやらねぇぞ」
「お爺ちゃんを呼ぶ?」
「あの人に悪いわ。ふりとは言え、私を見送るようなことはさせたくないもの。それに、あの人とは約束しているのよ。私が必ず見送る側になるって」
『それならボクがやろうか? うちの子達を何人も見送ってきた実績があるよ!』
「うわっ! なんだこの鳥! しゃべるぞ!? 面白れぇ!」
夏燐が大喜びだわ。好きだものね。神鳥様のような不思議な生き物が。
「神鳥様、ありがたい申し出だけれど、誰に頼むかは決めてあるの」
『うん、わかったよ』
「それで? お婆ちゃん、誰に頼むの?」
「それなのだけれど……彼方さん、お願いできないかしら?」
「……私が、ですか?」
「あなたが良いの。お願いできる?」
「……わかりました。お受けします。もとより、この事態はこちらの不手際でもありますから」
『……素直じゃないなぁ』
ええ、本当に。




