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第一項 早すぎる復興(第63話)

第一部 新世界の産声編 第四章 其々の帰還 第一節 老技師の帰還

アルバート視点


 メリアの所で三世界対応の携帯端末を作った後は、列車の予定表を確認したところ、重量物を運搬できる大型車両の出発予定があった為、すぐさま予約した。これで相棒も運べるな。


 最悪の場合は置いて行くことも考えられたが、おかげで故郷まで相棒と共に行ける。


 帰ったらちゃんと修理してやるからな。


「もうちょっと頑張ってくれよ」


 予定通り貨物車に相棒を運び込んだ後は、定刻通りに列車が出発した。


 ここからは車内で半日なので、一夜を明かすことになる。寝台車が空いていて助かったぜ。


 その後、食堂車での食事中にクレアから通話で連絡が入った。


 内容は機動兵器のセミオーダーメイドの件で、メリアの奴に魔力回路の説明をしたら泊まり込みで教え込む羽目になりそうだという物だった。仲が良いようで何よりだ。


 次いでメリアからのメールで、『クレアさんと熱い夜を何度も過ごしたってどういうことだ』という物だった。クレアの野郎、わざわざ誤解させるような言い回しをしやがったな? とりあえず誤解であることと、魔力回路の事だと返しておいた。


 とりあえず三世界対応携帯端末の調子は良さそうだな。


 さて、腹も減って来たし飯でも食いに行くか。



 食後は暇つぶしに展望車に行ったら、思いのほか景色が様変わりしていることに改めて驚いた。


 自然が回復していると思っていたが、現状を踏まえるとこれは異世界の光景でもあるのか……複雑な気分になるな。


 とりあえず光る木々が生い茂る森を通過したときは周りに倣って写真を撮っておいた。


 部屋に戻る途中、売店で晩酌のつまみを物色していたら、今度は息子から連絡がきた。


 メリアのおかげで家族周りの連絡先は今の携帯端末に登録されているが、事前に無事は報告していたから今の端末からはまだ連絡は取っていないんだがな。


 にも拘らず連絡が来たという事は、メリアがわざわざ伝えたらしい。


 とはいえ、緊急というわけでもないのか、メールでの連絡だ。画像付き? なんだ?


「……は? いや、誰だ?」


 送られてきた画像には耳の長い女性が映っていた。確か、この特徴は妖精族だったか。


 問題は、その妖精族の顔に既視感があるんだが……いや、まさか。


「アリシア姉さん、なのか?」


 死んだ俺の姉にそっくりだ。まるで生き写しじゃねぇか。


 メールの文面に目を通すと、この女性の名前もアリシアという名前だそうで、彼女の死んだ弟の名前が俺と同じアルバートだという。おまけに姓がダグラスで、現役の貴族らしい。何の冗談だ?


 で、俺に何か知ってるか、だと? どう答えりゃいいんだ、こんなもん。


 そんなもん、どう考えても世界が融合したのが原因だろう。


 しかも、この写真を撮った場所は家の庭か。孫と一緒に撮った写真までありやがる。


 メールによると、我が家に滞在中とのことだ。どう考えても厄介事だろう。これは。


「姉さんに似た顔の女とか……勘弁しろよ」


 家に帰りたくなくなってきたが、そうも行かねぇか。


 まあ、知らないまま帰宅してたら卒倒ものだったな。連絡があったことに感謝しよう。うん。


 とりあえず、息子への返信には先ほど撮った写真と共に明日には戻ると返しておいた。




 翌朝、なにごともなく故郷に着いた。


 列車から相棒を降ろして自宅まで向かう最中、故郷の変わりように驚くことになった。


「おいおいおい……復興が早くねぇか?」


 それとも、世界が融合した影響か? 明らかに元の世界とは違う見た目の建物があるな。


 もとからあった建物がそのままこっちに来たんなら、この復興の速さも納得だが、だからと言って異生物が攻めてくる前の故郷に、ここまで似るものなのか? それとも別の世界のこの場所が偶然似ていただけか?


「……とりあえず、無事だからいいか」


 色々と考えはしたが、戦時中の物々しい状態からの復興の面倒さを考えると、これはこれでありだな。むしろありがたい。


 街の活気もなかなかのもんだ。これなら明日からでも元の日常的な生活を送れそうだな。


「ん? 通信? 誰だ?」 


『親父か? 俺だ』


「おう、アルフか。お前が出迎えとは珍しいな」


『あ、ああ……ちょっと話があるんだが、いいか?』


 ん? 何か様子がおかしいが……まさか。


「アルフ。まさか、お前もか?」


『俺も、って……親父もこの状況をおかしいと思ってるのか?』


「まあな。とりあえず相棒を休ませてぇから、家まで行くぞ」


『わかった。先に倉庫で待ってる』


「おう、待っとけ」


 まさかアルフレッドまでこの現象からはぶられていたとはな。


 自分の子供のうち二人がこうだと、他の子供や嫁までこんなことになってんじゃないかと疑っちまうな。


 とはいえ、アルフの様子から判断するに、残った家族周りではあいつだけのようだな。


 ま、とりあえずはうちの倉庫に相棒を運び込まないとな。



「よし、こんなもんか」


 相棒を自宅倉庫に運び込んだ後は、魔力回路周りを軽く確認し、エンジンの火を落としておいた。


 あとは近いうちに世界防衛軍本部に行って、相棒の引き取りを願ってから整備だな。


「親父、もういいか?」


「おう、待たせたな。で、お前もこの状況に戸惑ってる口か?」


「ああ、親父もなのか?」


「それと、メリアもだな。他にも俺達と同じ状況になってる奴がいるから、そんな悲観するようなもんでもないぞ」


「メリアもかよ。そもそも、こうなってる奴となってない奴の違いって何なんだ?」


「俺にも判らん。まあ、憶測ならいくらでも立てられるが、知った所でどうしようもないってのが俺達がたどり着いた結論だな」


「じゃあ、今の世界はどうなってんだ? ここの復興建て明らかに早いし、俺、奴らとの戦いが終わった後に気付いたんだけど、この星って自然が壊滅状態になっていたよな? でも、今の世界はそんなことなかったみたいに自然に満ち溢れてやがるんだ」


「ああ、それは俺も驚いたな。まあ、復興の手間が省けたと思えばいいじゃねぇか」


「お気楽すぎだろうがよ……つっても、俺達みたいなのってそんなに居ないんだよな?」


「ああ、騒いだ所で変人を見るような目で見られるのがオチだろうな」


「そうか……そうだよな。うちの嫁も娘も、この状況をおかしく感じてないみたいなんだよ。それに、母さんも」


「そうか。あいつもか……ま、知らない方が良いこともあるだろ」


「まあ……そうか、そうだな。そういや、メリアもだったんだろ? あいつは平気だったのか?」


「仕事休んで引きこもってたな。まあ、もう大丈夫だろ。ほら、見ろよ。三世界対応の携帯端末を一緒に作ったんだ」


「三世界対応……?」


「ああ、知り合ったやつが言うに、今の世界は四つの世界が融合してるんだとよ」


「四つの世界!? どういうことだ!?」


「さてな。まあ細かいことは良いじゃねぇか。騒いだ所で戻りやしねぇんだからよ」


「細かくはないと思うんだが……まあ、そうか。受け入れていかないといけないのか」


「その点、普通の奴らが羨ましいよな。この状況に対応した知識が頭ン中に入ってるんだからよ」


「そう言われると恐ろしいけど、確かに少し羨ましいかもしれないな。自分だけ置いてけぼりにされたような感覚だった」


「メリアの奴も言ってたな。俺は遭難してたのと、すぐにクレアに会ったからなぁ」


「クレアってのは誰だ?」


「ああ、知り合ったやつの名前だ。大富豪のクレア=パトラック。長者番付の常連らしいぞ」


 とりあえず、魔法少女って所は伏せておいた。この後の事を考えると、面倒ごとは避けたいからな。


「あ、そうだ。親父、アリシアさんなんだが……」


「お、おう、うちに居るんだよな?」


「ああ、今は母さんとエスタ達を連れて買い出しに行ってる。親父に料理を振舞うんだとさ」


「……そんな所まで似てんのか」


「……知り合いなのか?」


「今のお前だから言うが、そいつとは直接の面識はねぇはずだ。ただ、名前も顔も、それと、たぶん性格も俺の死んだ姉にそっくりだ。向こうは俺の事をなんて言っていた?」


「親父の事は知らないそうだが、同じ名前と苗字の弟が居たって話だ。それと、向こうは現役の貴族だそうだけども、親父の家って大昔に没落してんだろ?」


「まあな。しっかし、同じ苗字と名前ってだけでわざわざ訪ねて来たってことか?」


 一体何が目的だ?


「とりあえず親父に会いたいってことだけは確かみたいだ。それと、写真を見ただろうけど、アリシアさんは普通の人じゃないみたいなんだが、あれは別の世界の人間ってことで良いんだよな?」


「ああ、妖精族って言うらしいぞ。千年以上生きるらしい」


「マジかよ!? 御伽噺みたいな存在だな……まあ、それくらい綺麗な人でもあったけど」


「まあ、異星人に比べりゃまだ人間寄りだがよ……」


「ちょっと耳が長いくらいだからな。そういや、そっくりってことは死んだ叔母さんってあんなに美人だったのか?」


「美人かどうかは知らねぇが、婚約者はいたな」


 ついでに結婚を控えていて腹の中には子供も居たんだが……まあ、それは伏せておくか。


「そうだったのか。その婚約者って俺も知ってる人なのか? 親父の知り合いか?」


「あまり詮索すんじゃねぇよ。お前は知らない奴だ」


「わかったよ。それにしても親父、良く生きてたよな? 大気圏に突入したんだろ? どうやって助かったんだ?」


「ああ、奴の機体を使ってどうにかな」


「ああ、あれか。今度こそ仕留めたんだよな?」


「おう、奴との因縁はきっぱり終わらせてやったぜ」


「そりゃよかった。ああ、そうだ。これ、軍から預かって来たんだ。親父が生きてたら渡してくれってさ」


「ん? なんだ? どうせ役に立たねぇ勲章だろ?」


「いや、今回はそうでもないぞ。まずはこれだ」


 そう言って、小さな紙切れを差し出してきた。今どき紙媒体だなんて珍しいな。


「ん? 小切手か? 結構な額だが、何の金だこりゃ?」


 なるほど、小切手か。てことはそれなりに信用のある相手からの物だな。


「親父が討ち取った奴、貴族が賞金かけてたんだよ。跡取りが殺されたとかなんとか」


 貴族からかよ。貴族にはあまり良い印象がねぇんだよな。


「ああ、そういや居たな。やめとけっつったのに功を焦って突っ込んだ馬鹿が」


「その……馬鹿の親からの金なんだが……」


「要らねぇ……と言いてぇが、金に罪はねぇからな。貰っとく」


 何度でも言うが、金に罪はないからな。


「そうしといてくれ。それと、現物じゃないんだがこれも」


 まだあるのか。今度は小切手より大きな紙きれだ。現物じゃないってことはでかい物か。


 となると、何かの引換証か? また貴族か?


「なんだこの紙切れ? 機動兵器授与書?」


「戦争中に乗っていた機体を貰えるんだとよ」


「おお、そりゃありがてぇ! 相棒は引き取ろうと思ってたんだ!」


「だろうな。それと、他に親父が乗っていた機体もいくつか引き取れるそうだ。その紙に書いてないか?」


「おっ、そりゃありがたいな。えー、なになに? ほう! 三体もくれるとは太っ腹じゃねぇか!」


 どれを引き取ろうか? 相棒は確定として、師匠は無理そうだが、優等生あたりは欲しい。じゃじゃ馬も捨てがたいな。


「ただ、武装の類いは全部外されるから注意してくれ」


「そりゃそうだろうな。となると、武装を外してもちゃんと動く機体が良いな。これ、引き取り時期が書かれていないが、何時でもいいのか?」


「いつでも良いそうだ。戦争が終わったら機動兵器は大半が用なしだからな。引き取り手もほとんど居ないらしい」


「勿体ねぇな。それだったら三体と言わず幾らでも引き取ってやるってのに」


「解体すれば資源になるからな」


「それこそ勿体ねぇと言いてぇが……まあ、それが無難か」


 あの戦争で惑星の資源の大半は戦争の為に消えたからな。


「早いうちに決めてくれりゃあ、俺が軍から持ってくるよ」


「おっ、そりゃ助かる。そういやお前、この後はどうするんだ? 世界防衛軍は解体予定だろ」


「ああ、解体後は幾つかの組織に分かれることになってるんだ。俺はそのうちの一つの警備隊に配属される予定になってる」


 そんなことになっていたのか。知らなかったぞ。


「そんな話なんかあったか?」


「親父は民間からの協力扱いだろ。この手の話は軍に所属してた奴だけだ」


「ああ、そうだったか。そういやそうだったな」


 そうだった。軍に所属していたことはあったが、今回の戦争における俺の立場は民間人の協力者だ。


「元軍属だから勘違いしてたのか?」


 それは大いにあるが、そもそも民間の立場で従軍なんてのは初めての経験だったからな。


「まあな……ってことは、わざわざ軍に出向いて報告とかってのも必要はねぇのか?」


「人数が多いから必要ないってことになった。一応、俺の方で話を聞いて大気圏突入後の動向は報告することになってる」


「そりゃ良かった。つっても、砂漠で遭難してたくらいで大したことはないんだがな」


「そんなところに落ちたのかよ……ほんと、良く生きてたな」


「流石に死ぬかと思ったけどな」


 そういう意味では奴に命を救われたようなもんでもあるんだが、命がけの体験する羽目になったのも奴のせいなんだよな。


 まったく、最期まではた迷惑なやつだったぜ。



「――ってなわけで、どうにかここまで戻ってこれたんだ」


 アルフの仕事――俺の動向を報告するってのを終わらせてやるために色々と話してやった。


 とりあえずクレアんとこでのあれやこれは未知の技術や素材と言った具合に多少ぼかして伝えてある。


 もしかしたら世界が融合した影響で普通の技術や素材として流通しているかもしれないが……まあ、大丈夫だろう。


「……確かに大半はオアシスでのサバイバルだけども、その後が凄いな。砂漠の砂上艦か」


「繋がりができたと思って変な気は起こすんじゃねぇぞ、と上層部に伝えといてくれや。解体するっつっても枝分かれした組織の上層部は大して変わんねぇんだろ?」


「まあ、そうだな。はあ……あの人達は戦時中なら頼りになるんだが、平時においては金と権力に汚いからな」


「おおよその権力者ってのはそんなもんだろ。あいつらは下の者が上手く煽てて動かすに限る」


「それはそうなんだが、あまりそう言う事を大っぴらに言わないでくれよ?」


「お前も認めてんじゃねぇか」


「俺は良いんだよ。部下の苦情を受け止めるのは上司の務めだからな」


 それは自分の上司を差して使う言葉じゃねぇんだよ。


 とはいえ、こいつの場合は中隊長――世界防衛軍の階級で言うと大尉という立場だから、それなりに物申せるくらいの立場ではある。


「そういや、お前はあの戦いで昇進したのか?」


「ああ、あの戦いでの生存者は大半が一階級上がっていたな。ま、意味のない昇進だけどな」


「組織解体だからな。まあ、経歴に華が出たと思えばいいじゃねぇか」


「なんだよそれ。とはいえ、さっきも言った通り解体後は組織分けされるだけで、路頭に迷うようなことはないんだけどな。うちの隊の何人かは店を開くとか家業を継ぐと言って早々に辞めていった奴はいるけども」


「人類の存亡をかけた戦争だったからな。戦いの後ってのは、どうしたってそういう奴らが出て来るもんだ。戦いの最中で色々と考え直す機会もあったんだろ」


「そう言うもんかね」


「お前こそ、警備隊ってのに配属されるんだろ? 元大尉ならそれなりの地位に就けるのか?」


「ここを含むいくつかの街を管轄とした警備隊の隊長って扱いになってる」


「……なんか、地位が下がってねぇか?」


「そう感じるけど、給料は上がってるんだよな。おまけに仕事の主な内容は隊舎に籠っての書類仕事」


「仕事の負担も減ってそれとはな。優遇されてるじゃねぇか」


「戦時中に比べたらみんな負担が減ってるさ。俺としては現場に出たかったんだけどな……」


「お前もつくづく現場人間だな」


「親父に似たんだよ。で、親父はこの後どうするんだ? 工場を再開するんだろ?」


「おう、その予定だが、流石に機動兵器の修理業を主にするのはきついからな。新しい商売を考えてるところだ」


「今後の機動兵器関連の仕事は兵器類を取っ払う改装業がしばらく主流になるだろうしな。各メーカーも兵器以外の用途で機動兵器の開発を進めているらしい」


「それなら機動兵器って名前も改名されるだろうな。なんか聞いてるか?」


「俺の方はまだ何も聞いてないな」


「流石にまだ決まってねぇってことはないと思うんだがな。近年は人型の物が多いから、機人とか人機ってところか?」


「そうだな。近年の機動兵器で人型ではない物は機動戦車とか、別の呼称がわざわざ付けられるくらいだからな」


「ま、なんにせよ早く決めて欲しいもんだぜ。看板も替えなきゃならんしな」


「そっちは急がなくてもいいんじゃねぇか?」


「変えないままこれまでと違う内容で営業したら表示法違反になっちまうんだよ」


 取り扱う物は実質同じでも、名前や機能が変わるだけで別物扱いだからな。


 その修理を請け負うこっちも煽りをくらうのは面倒だが、そういう仕組みなのだから仕方がない。


 せっかく世界が融合したんだから、そう言った法律の面倒な所もわかりやすくならないもんかね。


「ああ、看板があるとそういう面倒があるのか」


「いい宣伝にはなるんだがな。とはいえ、いっそ取り壊しちまうのも有りか?」


「親父の工場なら十分な知名度もあるし、なくても大丈夫だとは思うけどな。まあ、無くなったら無くなったで辞めたのかって連絡が来そうだが」


「……看板を取り壊す時は主要な取引先に一報入れとくか。ま、とりあえずは作業機械の整備が先だけどな」


「そっちは母さんや残った作業員達がやってくれてたみたいだけどな」


「ああ、妙に小奇麗だと思ったら、そうだったのか」


 後で礼を言って置かないとな。作業員達には美味い酒と飯でも奢ってやるか。いや、それよりクレア直伝の魔力回路を教えてやった方が喜ぶか? あとで考えておこう。


「ん? 親父、母さん達が帰って来るみたいだ。戻ってくる前にひとっ風呂浴びたらどうだ?」


「ん? そんなに臭うか? 列車でシャワーくらいは浴びたんだがな」


「それでもここに戻ってくるまでに汗かいただろ。あと、宇宙戦仕様になっていると操縦席周りなんかは気密性が高いせいで臭いがこもりがちになるから気を付けた方が良いぞ」


「あまり意識してなかったな。そういやクレアの奴が消臭剤を買って設置してたな……」


 そうか、臭かったのか。はっきり言ってくれりゃあ良かったのに。


 今後は気を付けよう。とりあえず相棒は空調周りに力を入れて改修しておくか。


「俺も最近加齢臭が出てきて、娘に臭いって言われるんだ……親父も気を付けろよ」


 自分の娘にそんなこと言われるのか……娘、か。


「メリアにはそんなこと言われた事が無かったが……まあ、アイツはあれだからな」


「あれは一般的な女と同じ視点で見ちゃいけねぇと思うぞ」


「それもそうだな。それじゃ、孫に臭いと言われちゃたまったもんじゃねぇから風呂にでも入って来るか」


「ああ、俺は先に戻ってるよ」


 あいつも自分の娘の言葉でああも一喜一憂するようになったのか……今の状態であれなら、孫に恋人が出来たらどんな反応をするのやら。


「……さて、しっかり風呂に入るとするか」


 孫に「じいちゃん臭い」なんて言われた日にはショックでしばらく寝込みそうだからな。

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