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魔王とトビーと封印と

「これが砦だよね」

アタシの前には、破壊され過ぎて、何となく砦だったようにも見える瓦礫の山がある。

マザーに触れる事により、封印するときの映像を見ることが出来たので位置を特定することは出来た。

だが、何百年も前のことだ、その位置には草が生えていないだけで、特にこれといった物はない。

でも何かしらの手掛かりは必ずあると信じて、細かく鑑定をすることにした。

信じる気持ちは、奇跡を起こすと信じて。



アタシは、マザーの所から砦跡まで、空を飛んできた。なにせ南側の森は魔物だらけであったからだ。

急いだところで、今更だと思って、始めは森の中を歩き、気弾で魔物の相手をしていたのだが。こんな大きな森になんでここまで密集しているんだ。まるでこの先には行かせないぞとばかりに集まって来るので、まったく進めない。早々に森の中を歩くことを諦めて、木の上ギリギリを低空飛行することで森を通過することにした。

飛びながら考えたのだけど、森の北側は魔王クラスのゴキリンが大量の部下と一緒にいるのだから普通の魔物は南側に逃げるものだよね。そう自己完結している間に森を抜けた。

ここは、恐竜の居る草原の南側である。ブラン砦のある川を越えたところに砦があると言うことは、数百年前には、この場所まで人は進出していたことがわかる。当時は魔物や恐竜が闊歩する中を、沢山の人の犠牲を払って造られたと想像出来る。だけど魔王になった人物のせいで、維持できなくなってしまったのだろう。だから今は、ブラン砦が最東端となっているのか。


草原を飛びながら周囲を鑑定しまくる。そして遠くにブラン砦が見えて来た頃に、鑑定に人工物っぽい反応があった。

表示は『遺跡(?)』である。

アタシは遺跡(?)の反応があった方向に進路をとり、砦跡地にたどり着くことが出来た。


マザーが見せてくれた映像を元に鑑定を使い、封印地点を見つけ出した。

さてここからが問題である。封印の魔道具により消えた魔王とトビーさん。映像を見てもなんの痕跡も無かった。だから軍隊の生き残りも特に調査しないで帰っていったのは知っている。

だから、今もなお、ここに魔道具があるはずである。

ヒントは魔道具の魔石に刻まれていた文字。

『光封印土闇……』映像を拡大してもらい、読めたのはここまでであった。

光の魔法で封印を行い、土魔法で闇に対して何かしたことが読み取れる。

だとすれば、地面を調べ尽くすしかない。

鑑定を使い、周囲との差異がないかと調べた。

魔道具、異質な物、魔力を発する物と鑑定の規準を変えていくが、目ぼしいものは何もない。

そうなると、地中かもしれない。鑑定は見えていない物は鑑定できないからだ。

地中だとすると、やみくもに掘るしかないが、何か指標が欲しい。元の世界の科学を考えてみる。

地中を探る道具だとしたら金属探知機、以上。

アタシには知識が足りないようだ。その程度しか思い付かない。

そうだ。科学ではなくオカルトなら。

アタシはL字の棒を二本手に持ち、周囲を歩き回る。そう、ダウジングである。水脈を探したりするけど失せ物を探すのにも使われているはずだ。

信じているぞ。ダウジングの奇跡よ。ここで起これ。



……地中に埋まっていた、錆びたナベ蓋を見つけることが出来た。

アタシはL字の棒を影魔法にしまった。


他に地中を調べる物はないか。地中と言えば地震か。地震計とかってどうやって震源地を見付けているのだろう。

そこで閃いた。

『土振動』と描いた魔石を丈夫な糸の尖端に取り付けて地面の周囲8ヵ所に刺した。

丈夫な糸は途中から普通の糸にして中心に立つ。同じ長さの糸なので魔力を流せば、同時に発動するのだから振動を発した時に何かあれば、その方向からの振動が遅れるはずである。

振動感知と鑑定を駆使すれば、それがわかるはずだ。

アタシは実験を始めた、一回、二回と、でも良くわからないが、鑑定は学習型なのである。回数をこなせばきっと誤差がわかるようになる。

十回、二十回、五十回目で違和感を感じた。そして百八回目に違和感の場所を特定することが出来た。

煩悩の数かと思ったが、そんなことは置いといて。

違和感の場所を掘り始めた。目標は1m30cmである。

これでフライパンでも出てきたら泣けるなと思いながら掘り進めると。

ちょうど1m30cmのところから圧力鍋が出てきた。


アタシは脱力してしまった。


スゴロクで言えばふりだしに戻るだ。何か他の手を考えなければならない。

もっとネットで色々と調べておけば良かったと後悔していると。

圧力鍋に違和感を感じた。圧力鍋は地中に埋まっていたにも関わらず、新品のように光沢を放っている。しかも圧力鍋である。この世界で何度も台所に立ったが、圧力鍋など見たことがない。

しかもしっかり蓋がされている。

もしかしたら、もしかしてだけど、圧力鍋に封印されているのではないのか?

もしそうだとして、圧力鍋を開けたら中から魔王とトビーさんが出てくるのか?

今更だけど、開けることに躊躇してしまう。

ファンタジーの事例を考えてみよう。


開けた瞬間爆発して、アタシもろとも吹っ飛ぶ。

開けた人と入れ替わりに中の人が出てくる。そしてアタシは逆に封印されてしまう。

開けた人の命を奪い、中の人が復活する。


ファンタジーの事例では魔王の封印を開ける人は悪者である。

殆どの場合、ひどい目にあわされている。なにせ悪者だから、好きなだけ罰を与えられるのだから。

魔王の封印を解こうとしているアタシは、悪者なのであろうか。


圧力鍋の前で悩むマッキーであった。

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