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情報を集めて何をしているの

東に向かって歩き続けること2日。無事に森を抜けることが出来た。

森の先には大きな川があり、その先は岩砂漠が続いているみたいである。

ジャンプすれば先を見通すことが出来そうだけど、やはり躊躇してしまう。

あまり広大な砂漠であるなら進む気にはなれない。水も食料も有限なのだから。

なので岩砂漠に向かう以外に何かないかと木に登り周囲を見渡すと南に塔らしい建物が見えた。

こんな所に塔があるなんて、いかにも何か、いわくが有りそうな気がするが見に行くことにした。


見に行くことを決めた日から実際にたどり着くまでに3日掛かった。この事でもわかる通り。見えていた塔はただの塔では無かった。なんと巨大な木だったのである。


巨大な木と言うと連想されるのが、王都にあった御神木である樹利亜(ジュリア)である。

もしかして、このとんでもなく巨大な木がマザーなのかもしれない。

そう思ってしまったら、慎重に対応しなければならない。マザーだとしたら何万年もの記憶を蓄えている存在である。

何の為に蓄えているのかさえもわからない相手なのだから、変なことをしたら、アウトかもしれない。

何をするでも慎重にことを運ばなければならないのだが、ふと気が付いた。


見なかった事にすれば良いじゃないか。


訳のわからない存在に構う必要はない。アタシは回れ右をして、巨木から離れようとしたが、遅かったようである。

目の前に半透明の女性が居て、声を掛けられてしまったのである。

「こんな地まで足を運ぶなんて、冒険者マッキーさんは凄いですね。樹利亜がお世話になったことですし、是非よっていってくれませんか」

やはり情報は筒抜けのようだ。身バレも甚だしい。スルーすることは諦めてアタシはマザー(仮)の下に向かうことにした。


「この地に知的生命体が近寄って来たのは久し振りです。少しお話しさせてください。ああ。大丈夫ですよ。人の命は短いことは知っています。でも三回暗くなる時間くらいなら大丈夫でしょ」

情報を集めている長寿の生き物なだけあって、配慮が効いている。初めに期限をきってくれるなら安心である。

この巨木は、やはりマザーと呼ばれている木であった。この星のあちこちに子供たちを派遣して、そこで見たこと聞いたことを教えて貰っているという。

なんでそんなことをしているかと聞けば、娯楽のためなんだって。毎日、少しずつなら変わっていくが、ほとんど変わらぬ風景を見ていてもつまらないから、子供達から送られてくる世界各地の情報を見て楽しんでいるのだそうだ。

最近のお気に入りはセントラル王国の樹利亜からの情報なんだと。毎日どころか、ひっきりなしに情報が届けられてきていると言っている。

なのでセントラル王国がどうなっているのか聞いてみれば。国王が病死したので、第1王子が次の国王になったのだが、第2王子が内乱を起こしているという。第3王子は『二人のどちらが国王になっても政務は自分がやらされるのだろ』と中立を保っているそうだ。

そう言えるラーディッシュ王子も凄いが二人の王子も、それで納得するのがまた凄い。国王となって権力を振りかざしたいが、仕事はしたくないと言うことなのであろう。

まあ。こうなると結果は見えている。二人、共倒れでラーディッシュが国王になるであろうことが。なにしろ殆どの貴族が脅されているとは言えラーディッシュに付いているのだから。


そこまでアタシは読み取ったが、マザーは「この先どちらが王になるのかな。第3王子は覇気がないから国王の目はないね。早く続きを見たい」

とか言っている所を見ると。本当に何をするわけでもなく、ただ娯楽の為だけに集めていると理解出来た。


因みに、クラウさんは子供を連れて、郊外のチョコさんの屋敷にいるそうだ。

セントラル王国のことはどうでも良いが、二人が安全な所に居るのなら、問題なしである。


それから三日間、人間の生態やら魔法とか魔術の話しを聞いたり話したりして過ごした後に、最後にお願いをされた。

それは、ここから東に向かうと岩砂漠があり、そこを抜けた所に、この苗木を植えて欲しいと言うことであった。

1万年前にもヨミと言う少女にお願いしたが、いきなり違う方向に飛んでいってしまい違う場所に植えられてしまったそうだ。

方向音痴も甚だしいと思ったそうだが、結果的に、その場所で日々進化する人間を見ることが出来たので、飽きることなく楽しめたから感謝したいくらいだそうだ。

でも、なんで岩砂漠の先に植える必要があるのかと聞くと。

そこに、闇魔の元があるので、変わったものが見られるかもしれないと期待していると言う。

こんなところで闇魔の元の所在がわかるなんて渡りに船だけど、すぐには行けない。なにせ世界の王達が向かったばかりだからだ。何かしているなら巻き込まれかねない。

なので、一年後とは言わないけど、今すぐには行けないと伝えたら。百年後でも千年後でも問題ないと言うことであった。

マザーは承けてくれた事にお礼をしたいと言ってくれたのだが、成功報酬で良いと返事をすると。

人の寿命は短いのだからと、先渡しをしたいと言ってきた。

固辞するのも何なので、ちょうど良いタイミングだから魔王のことを聞いてみた。

魔王と言ってもヨミさんではなく。数百年前に現れたと言う魔王のことだ。

はじめ魔王が何を指しているのかわからないようであったが、人であるトビーと共に消えた存在だと伝えると理解してもらえた。


「そうか、あの程度の存在でも人にとっては魔王なのか……」と教えてくれた。

マザーの話しでは、魔物は闇魔を取り込み体内で魔石に変換している存在であると。

取り込めば取り込むほど闇の生物と化して力を強めていくのだと。効率良く闇魔を取り込むには魔石を取り込むのが一番早い。ある程度浄化されているので身体に対する負担が低いと言うことだ。

人は体内に闇魔を吸収する能力が殆どないので、魔石を取り込んでも闇の生物にはなりにくい。


でも中には闇魔にに適応できる人物もいるらしく。そんな人物が魔石を取り込んで闇の生物になったのが魔王と呼ばれている存在だと。

マザーの感覚では、ただの魔物らしい。

魔王になるために、その人物は数万の魔石を取り込んだと言う。そして背中に黒い翼をはやし、異形の存在となった。だが、その実力はゴキリン程度であるらしい。

そう言えば、ゴキリンって何か攻撃をしてきたっけ?

実際戦ったのだが、アタシがコスプレナース姿で、不意打ちを遠距離攻撃で、二回しただけで終わったことしか覚えていない。

魔術の祖であるトビーさんが相討ちになるほどの実力があるのなら、もしかしたら真面目に戦っていたらアタシが負けていたのかもしれない。

トビーさんがどれだけ強かったのかわからないけど、戦いの中心人物だったことは間違いないから、強かったのだろうと想像は出来る。


その魔王とトビーさん率いる人の軍隊との戦いは、ここから南西の方角にある小さな砦で行われたと言う。

軍隊の火魔法による先制攻撃により魔王を負傷させることが出来た。だが魔王も火魔法を連発して撃ち合いとなり、最終的に軍隊を壊滅させた。


そんな火魔法が飛び交うさなか、軍隊を壊滅させた事により油断していた魔王の背後からトビーさんが近寄り、封印の魔道具を魔王に密着させて発動させた。

封印の魔道具は効果を発揮して、トビーさんごと魔王を封印したそうだ。


当時のマザーは子供達からの情報を見ている時に、軍隊を囮に使って本命は背後に回って不意をつくなんて、考えもしなかったから、トビーさんのことを覚えていたみたいだ。だから思い出すことが出来たらしい。


そうなると、もしかしたらトビーさんは封印されたままなのだから、今でも生きている可能性があるのかもしれない。


アタシは、マザーに感謝の言葉を伝えてから、南西の砦を目指すことにした。


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