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ハムスターと真の元凶

あれからちゃんと、アタシはヨミさんとは血縁関係がないことをしっかり説明したよ。

なにせ、アタシって、お坊さんと旅する猿の話しの様に、艶やかな黒い石ころから産まれたのだからね。その事は言わなかったけど。

でも慌てて否定から始めてしまったので、つい「アタシは産まれたばかりだから」と言ってしまった。

口から出た言葉は戻らない。チャイチャイを使ってもいいけど。たとえ今ごまかしたところで、世界の王は知っていることなのだから、いずれバレることである。

だから、まあいいかと思って訂正しなかったのだが、アタシが言ってしまった、産まれたばかりという事から、驚きの事実を知ることになった。それは。



「ってことは。女神さんがアタシを召喚した張本人ってことなのかい!」

語尾が荒くなっているが勘弁してほしい。

岩山の頂上で世界の王は「儂は、ここ数万年、飽きたから異世界に干渉はしていない」と言っていた。なのに、アタシはこの世界に居る。

しかも数百年前にチョコさんも、魔術の祖である人も召喚されている。伝説のエイヨウさんは違うと思うけど。この世界に元々日本人と思われる人は何人もいる。

そう言えば、外国人さんが来ているかはどうかは不明だけど、旅の間に痕跡を感じることが出来なかったから居ないのかもしれないと考えてみた。

キムチとか水餃子でもあれば一発で外国人が居たと実感出来るよね。でも基本となる服装や食生活、それに住居は欧州に近い気がする。気候が似ていれば発展の方向は同じだと思うけど、でもたまに英語を置き換えた言葉も聞くことがあるから、やっぱり外国人も居たのかもしれない。

って、そんな妄想は置いといて。

女神さんの話しではヨミさんが戻って来なくなった=死んだと思っているみたいだ。そして仲良くしていた分、居なくなった事を寂しく感じてしまい似たような存在を得ようと異世界干渉をし始めたのだと言う。


アタシを召喚した真の元凶がこんな所に居たよ。さっきはつい語尾を荒げてしまったのだが、何故かどうでも良いことにも感じられてしまった。これは耐性のスキルのせいか。はたまた、アタシには既に元の世界に対する未練がないからなのであろうか。


取りあえず、女神さんには異世界干渉は二度としないで欲しいと訴えかけてみた。

だがしかし、異世界の生活を見たことがない女神さんにとって、異世界の生き物は、どうでもよい存在みたいだ。

世界の王や女神さんがしている異世界干渉とは、イメージ的には中身のわからない箱に、手を突っ込んで、得られた物なのだから当然と言えば当然である。

する方からしたら、なんの罪悪感も沸くわけがない。無邪気に「当たりが出るまで頑張るぞ」と言うようなノリなのであるから。

だけど、される方とすれば迷惑この上無い行為である、アタシの様に人生が変わってしまったのだから。

なんとか止めさせようと説明したけど。納得してはもらえなかった。格上の存在である女神さんからすれば、アタシのような虚弱で矮小な存在の人生なんて、どうでも良いことなのだから。

人間だってハムスターの人生なんて気にしないのと同じである。

目の前に居れば、その行動は面白くて可愛い、なついてくれば愛着も沸く。だがそれはペットショップで購入してからのことである。

どんな経緯でショップに来たのかなんて、気になんてしない。たとえ、そのハムスターが親から無理矢理引き離されてしまったとしても。


なので説得は諦めて、短絡的な手段を取ることを考えた。なにせ根本的な原因を取り除けば良いのであるからだ。

一番に思い付くのはアレだ。でも、この手段は問題がある。その問題とは相手の了承を得られていないことだからだ。何かしらの理由があって出来ないのであるならば、安易にやってはいけないことだ。そして、とうぜんアタシのリスクも多い。

想像つくと思うが、ヨミさんは生きているよと伝えることである。


しかしやったところで、それでも女神さんは異世界干渉を止めないかもしれない。世界の王も飽きたから止めたと言うくらいだ、飽きるまでは何が出てくるのかわからない玉手箱である。それを開けるのは楽しいのかもしれない。

女神さんは15億歳。

でも相手をしていた感じでは、知識や能力は高いと感じられるがメンタルは普通の15歳の子供と同じ様に感じる。

子供から玩具を取り上げることが出来るのであろうか。なかなか難しそうである。

ここまで考えて、ふと気が付いた。

なんだアタシには遠慮する必要がない手札が一枚有るじゃないか。

最悪、怒りに触れて食べられてしまうかもしれないが、自由にして良いと本人が言った結果だ。その時は最期まで抵抗してやろう。

細く長くも人生だが太く短くもまた人生。でも簡単に食べられたりはしない。その為の布石は打たなければ。


語尾が荒くなった時にも反応が薄かった女神さんが、ハムスターの言うことをどれだけ聞いてくれるかわからないが、アタシは交渉を始めた。



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