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一寸先は闇

アノ場所とは、本当にここなのであろうか。もしかしたら、違うのかもしれない。確かに目立つ山だ。だからと言って目的地だとは限らない。

なので、アタシはスルーすることに決めた。

宇宙船に違いないと決めつけたのはアタシだが、もしかしたら宇宙船ではないかもしれない。そうだ。これを山だと思わなければ良いのだ。山のように大きいけどきっと木だ。岩や土に見えるけど、あれは葉っぱだ。支えている様に見えるけど、あの棒は木の幹かもしれない。木の幹は比較対象が大きすぎて、太さがわからない。なにせ枝葉の部分の幅が5キロ以上あって、高さが500m以上あるのだから。でもこれは木だ。木なのだ。

アタシは、そう思い込むに事にした。

なので、大きい木しか見なかったことにして川の上流へと向かうことにした。

川を左手に宇宙船。ではなくて木を右手に見ながら引き続き慎重に歩いている。横目に見ても未だに木は続いている。気にしてはいけない。気にしたら負けだ。別のことを考えよう。

そう言えば海辺からここまで虫以外の反応を感じない。と言うことは、世界の王が住む岩山と同じ様に、何かしらの方法で獣や魔物を近寄らせないようにしているのだろうか。ますます宇宙船にしか思えない。

いやこれは木だから、木だけに、気にしたらいけない。そんな風に頭の中で、親父ギャグを言っていたのがいけなかったのであろう。気が付いたら目の前で浮いている存在と、目が合っていた。

こんな異様な物体は始めてみた。

なにせ丸い真っ黒な体表に目だけの存在。アタシのファンタジー知識を漁ると答えが出た。これは俗に言う。悪魔の目とか呼ばれる存在かも。

音も振動もなく浮いている。だから目の前に居るのにもかかわらず、アタシの振動感知には、何も反応がない。

暫くの間、にらみ合いを続けていたアタシと呼称悪魔の目であるが、悪魔の目は、アタシを見ているだけでピクリとも動かない。

相手をしているアタシも、どうすれば良いのかさっぱりわからなくて動けずにいるのだけど。

でもよく思い出してみると。ファンタジー的には悪魔の目に見つかる展開って良くないよね。もしかして、何もしていないように見せておいて、実は仲間を呼んでいたりしているのかもしれない。それとも悪魔の目の目を通して誰かが見ているかもしれない。

それってどちらに転んでも不味くないかい。そう考えた瞬間。アタシは川の上流に向かって走り出した。とうぜんだが悪魔の目から逃げるためだ。

何故、地形のわかっている来た道である川下に戻らないのかと言うと。逃げる為の選択肢が無くなる可能性が高いからだ。海辺から先程の場所まで小さい虫しか生き物が居なかった。と言うことは、もしあの悪魔の目が監視していて生き物を見つけしだい、仲間なりなんなりを呼んで排除していると考えられる。ならば海辺まですべて奴等のテリトリーである。

そんな方向に逃げたら、最終的に海に逃げるしか手がなくなる。なので、クータンの言うアノ場所に向かう方向に逃げたのである。世界の王もクータンも止めなかった。と言うよりは、行く事を勧めていた節を感じる。ならば少なくとも危険はないのだろうと思う。思いたい。思うしかないのだ。なにせ、もう走り出してしまったからだ。

これで、実は超危険な場所で、飛んで火に入る夏の虫状態だったら、世界の王め、必ず『うらめしや』って化けて出てやる。

アタシは、安全を考えずに殆ど空を飛ぶように地を走る。本当なら完全に飛んで逃げたいところだが、大きな鳥が恐い。わからない恐怖には立ち向かえるが、わかっている恐怖は避けるに限る。


逃げ出して5分。そろそろ振り切れたかなと思い。減速しながら振り返るとやはり悪魔の目はいない。

平地と森の中では違うから走る速度が遅くなると思うけど、あの走りなら5分あれば10キロ以上は進めたはずだ。

振り切れたことに安堵して転ばないように無理なく減速していく。

ふと川を見ると、先程まで大量の水を誇っていた川が無い。

川が曲がったのにアタシが間違って直進してしまった訳ではない。なぜならば今でも脇を水は流れている。

では何故、川が無いと言ったのかと言うと。川の回りは舗装されて用水路になっているのである。走る足元も土ではない、コンクリートなのかよくわからないが、とにかくまっ平らなのである。

人工の川も川だけど、アタシ的には、用水路にしか見えなかった。

いきなり現れた人工物に驚きながらも減速を続ける。後3歩で停まれる速度に落ちたのだが次の1歩の辺りに水の吹き出し口がある。この川は自然な川ではなくて、本当に人工の川であったようだ。

アタシの走る先には山は見えない。地下水が吹き出す程の水圧は何処から得られているのだろうか。そんなことが気になり、後で調べて見てみようと考えていた。

だがここで、そんなに水の吹き出し口が、水圧がと、気になるなら、転んででも急停止するべきだった。

何故ならば、次に踏み出した足で更に減速することが出来たのだが、予想通り勢いを殺しきれない。弾むような最後の一歩が出てしまう。だが次の瞬間、大地が消失した。


「な。なんで川の先に大穴が開いているのよ」


森の木々が突然消えたと思ったら、直径400m程の穴が開いていたのである。そしてその穴は真っ暗で底が見えない為、とても深く感じられた。

着地する為の地面がないなんて。


心の準備が出来ていなかったマッキーは穴の中に消えていった。



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