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神様の野望

ペガヌスには、悪いことをしてしまったかな。アタシの最速の一歩は直進専用だから、正直に言えばあのスピードで戦闘は出来ないのだけどね。

とは思っても、勘違いをわざわざ修正してあげる気はまったくない。あれは鞭。そう可愛がっていたワンコに対する愛の鞭である。うん。そう言うことにしておこう。


アタシの飛んできた行き先はエルフの集落。1ヶ月ちょっと振りである。

1ヶ月程度でエルフの集落が変わることはないはずなのだが、様子がおかしい。日中だと言うのに誰も外にいない。

不思議に思いつつも最長老さんの家に来て「マッキーです。ただいま戻りました」と言って扉を開けてイスに座って暫く待つと最長老さんが現れて対面の椅子に座った。

やっていることはいつもと同じなのだが、最長老さんの様子もおかしい。

取り合えず、帰ってきたむねの報告をしたが、気もそぞろである。「ああ」とか「うむ」とかしか返事をしてこないのである。

良く考えると、いつものコギャル語も出てきていない。アタシが居なかった1ヶ月の間に重大な事が起きたのかもしれない。

なので、エルフの集落に何かあったのか聞いてみると。

神様が1万とんで80年振りに現れたそうだ。

最長老さんは、前回現れた時に会ったことがあり、その姿はまったく変わっていなかったそうだ。

神様が現れたのならアタシも見てみたかったと残念に思っていたのだが、話しを聞いていくうちに居なくて良かったと思った。

アタシくらいの身長で真っ黒のマントを羽織って現れた神様は「1万年振りなのに僕を知っている生き物がまだ生きているなんて嬉しいぞ」と言っていた。

1万年前と変わらない神様は暫く滞在し「コギャル語マジうけ。うむ。しっかり定着したな。不完全だが術式を教えた甲斐があったと言うものだ。僕にはこの世界は寂しすぎる。やっぱり異世界にもこんな癒しがないとつまらないからな」と言っていたそうだ。

コギャル語エルフは神様が原因だと理解した。しかも癒し? ほんとうに癒されているのか聞いてみたい気がする。

なにせ棒読み過ぎてアタシには耐性スキルが無ければ耐えられなかったもの。どれだけ神様の闇は深いのか。

ここまで聞けば推測できる。神様とは間違いなく魔王様ことヨミさんである。お仕置きと言う封印が解けて、1万年振りに現れたヨミさんは自分の足跡を追っているのではなかろうか。それでこの集落にも寄ったのであろう。

寄った理由はどうであれ、ニアミスで助かった。


それにしても不完全な術式を教えた理由を色々考えてもわからないはずだ。筋肉痛だけならエルフにだって回復させることが出来る薬くらいあるはずだ。

でもそもそもヨミさんの計略だったのならば仕方あるまい。アタシだって色々やっている。先行者による改変は止めることが出来ないものだから。


そして去り際に選ばされたそうだ。

神様の仲間となって一緒に戦うか否かと。

この集落のエルフは神様のおかげで生き残ることが出来たのだから、否とは答えられない。

でも、仲間になりたいが戦うには(エルフ)手が足りなすぎるので辞退したそうだ。

50人程度しかいないエルフに、納得してくれたそうだが神様の配下だとわかるように印を残して行ったと言う。

そして全身が黒くなる病が再発した。

原因は印である。それははっきりしている。なにせ集落の中央に置かれた印の近辺に住むエルフから黒くなり始めたのだから。

だが原因とわかっていても神様から授かった物だ撤去したり壊したりするわけにはいかない。

そして病は進行してくる。どうしたものかと言うことであった。

最長老さんの言いたいことはわかった。様子がおかしいことも理解した。

万能薬が欲しいのであろう、でもエルフのしきたりからそれを最長老さんからは言い出せない。

さてどうしようかと思案したが。常にアタシが集落にいるとは限らないって言うか。新エルフの魔術を教えたら出ていくつもりであった。

なので、神様の印って言うか魔王様の印を撤去しない限りすべては一時しのぎにしかならない。

アタシのエゴだけ考えれば、新エルフの魔術を教えることにより、未来のエルフの言葉がどのように変化するのか見てみたいと言う願望があった。

だから万能薬を全員に飲ませてから魔王様の印を撤去したいと考えている。

でも、撤去することにより魔王様の逆鱗に触れて皆殺しにされてしまったら意味がない。

かと言って何もしなければ病によって全滅してしまう。

アタシはエルフはどうしたいのか推論と新たに閃いたアタシの妄想をまぜながら聞いた。

アタシの妄想とは。

ヨミさんのことだから、コギャル語を教えただけでは飽きたらず、ガングロエルフ(ダークエルフ)を作り出そうと考えているに違いない。

都合の良いことに、エルフは銀髪である。ガングロエルフにメイクを施したらヤマンバギャルの完成である。いずれはエルフの集落を改名させてエルフ高校とでも名付けるに違いあるまい。

まさか制服まで準備しているのではなかろうか。

だったらブレザーがいいかな。セーラーではファッションの可能性が著しくさがる気がするし。

そんな妄想を展開していたところでゾッとした。恐ろしきはヨミさんの妄想力である。アタシには思いもつかなかいことである。ほんとだよ。


最長老さんは、アタシの一部伏せた妄想と推論を聞いて決断した。なんとアタシの妄想に掛けると。

1万年前と違い黒くなり始めたからといっても、倒れたエルフは居ないそうだ。

だから根本的に違う病なのかもしれないと言うのが最長老さんの賭けの理由である。

話しを聞いてから、最長老さんから許可をもらい魔王様の印を見て驚いてしまった。

どうやら最長老さんの賭けは正解であるようだ。

印を確認した時に、すぐに視線を外し、マントを深くかぶり直した。

何故ならば、大きな字で『闇』とは書いてあるが、それは飾りである。周りに配置してある魔石には綺麗な文字で『光紫外線』と描かれている。

ヨミさんはエルフ高校ではなく、その前にエルフ日焼けサロンにしようとしたようだ。

アタシは恐怖を感じてしまった。この集落に長くいたらアタシまで日焼けして真っ黒になってしまいそうな気がする。

日焼けは肌に良くないとヨミさんはしらないのか?お肌の曲がり角を曲がって久しいアタシには恐怖でしかない。


心底からUVカットサングラスが欲しくなったのは当たり前の欲求であるとアタシは主張したい。



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