表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/112

黒マッキーは鬼か悪魔か

アタシは別れを惜しむクラウさんの抱き枕に一晩だけなり、朝もまだ暗い内にバーン家から抜け出した。

昨夜は、つい女子トークに花を咲かしてしまった。

クラウさんに王子以外で気になる人や好きな人はいないのかとか、更に踏み込んで婚前行為はしていないのかとか聞いたが。

残念ながら居ないし、してないそうだ。初めて会った頃より女らしい態度になっていたから経験済みかと思っていたのだが勘違いのようだ。

再会の初日なんてシチュエーションたっぷりだった筈だが、王子とは夕食と朝食を一緒にしただけで後は一人で宿にいたそうだ。

俺様っぽい王子だが案外奥手だったようだ。よく思い出せば、再会の日のテンパり様は記録できたのなら黒歴史で間違いないだろう。

他でも遊んでいると思って、この際すべてを吐き出してしまえと仕掛けたことだが悪い事をしたみたいだ。

でも、すでに時限爆弾のスイッチは入っているのだから、諦めて爆発してしまえである。


そんな事を考えながら歩いていると、知っている人がいた。

クラウさんの母親であるマリアさんである。

マリアさんは神殿の前にいたので朝のお祈りに来たのかと思ったが、左右を伺うと神殿の脇の小屋に入っていった。


最近というか、世界の王との試練を経て、できうる限り積極的に行動をすることをしている。

元の世界でのアタシは一歩を踏み出さなかったせいで友達をすべて失い、失うだけで代りに何かを得ようともしなかったからだ。

だからあの日から積極的に行動する事を心掛け、あきらかにフラグとわかっていても立ててみることにしている。

それでも限度があるから、なんでも立てる訳ではない。ちゃんとに安全を考えて立てているつもりだ。

この間の鐘だって毎回付けたり外しているだなんて想定外でしょ。

見に行ってへんなところがあったらチョコさんに教えて終りの簡単な調査だったはず。

あそこで白マントを忘れなければペガヌスに、更に関わることは無かったし。だからといっても途中で振り切る事は出来たし。フラグを立てたからと言っても最後まで付き合う必要はないから、やばそうなら途中で放置すればいいよね。

アタシはそう考えつつ、小屋に近寄り高い場所にある小さな窓から中を覗く。いつものヤモリ体勢である。

振動で得られた反応は二つ。一つはマリアさん、もう一つは知らない振動である。

だが人間の振動とは違うから、こっそりペットでも飼っているのかなと思っていたが覗き見て思わず息を飲んでしまった。


黒。真っ黒である。日に焼けた黒ではなく。漆黒の黒の肌である。そしてかろうじて人間だとわかる外見だが頭部から二本の角が顔を出しており、更に口からキバが見えている。

先程は人間と言ってしまったが元の世界でこの生き物を見たら『鬼』と誰もが言ってしまうだろう。

だが、普通にイメージする『鬼』とは違い、表情は柔らかである。その理由はすぐにわかった。なにせ『鬼』はマリアさんに向かって

「オ母様、来テクレタノネ。アリガトウ」と言っていたからである。

マリアさんが黒鬼さんのお母さんって、いったいどう言うことなの。

そしてマリアさんも「マッキーが目覚めて母は嬉しいのよ」と返事を返している。


突然呼ばれた自分の名前に、覗いていることがバレたかと思ったが、話しがおかしいし、視線は常に黒鬼さんに向けられており、その後も話し掛け続けている。

黒鬼さんは柔和な笑みを浮かべながら話しを聞き続けているが、あまり理解していないように見える。

マリアさんの言葉をオウム返しに繰り返すだけだからである。

初めは見た目に驚いたが、さほど危険な生き物では無いことがわかり安心した。

クラウさんがお母さんが遅くなるまで帰ってこないと愚痴を言っていたが、黒鬼さんの雌を飼い始めたから、めんどうを見るために遅いのなら問題はないでしょう。


普通にペットを飼ってる家庭では、ペットに向かって『おかあさんでちゅよ』と話し掛けているのは、よくある話だからだ。

たまたまマッキーと言う名のペットだったからといっても気にする必要は無いよね。

アタシはその場から離れてチョコさんの居る人神宮に向かうことにした。


潜伏スキルを使って台所の窓まで来たが入ることが出来なかった。

さすがに誰かが戸締まりしたようだ。部屋にはチョコさんも居ないことだし。少し悩んだが、王子に用事も無くなったし、チョコレートの研究は必ずしもここでやる必要は無いし、王都から離れる事にした。

別れの挨拶を書いたメモを窓の隙間に差し込み王城を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ