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鞭、鞭、鞭のちは飴

王都に戻る道筋でペガヌスから聞いた話しを検証しようとしたら。

白マントを忘れた事に気が付いた。

格好つけて「覚えてろよ」とか言った手前、戻り辛いが。アタシの大事な白マントなので恥を偲んでも取りに行かなければならない。

それにしても捨て台詞が「覚えてろよ」なんて、アタシの方が悪役で、したっぱみたいじゃないか。

まあ。ペガヌスからみたアタシは悪役そのものでしか無いだろうから「覚えてろよ」はあながち間違いではないとも思うけどね。


草原に着いたが、ペガヌスは居なかった。

ここを飛びたって、気がついて、躊躇して、ゆっくり戻ってきたから。正味15分くらいかな。ペガヌスが撤退する時間は十分にある。

土像もないところを見ると一緒に持って帰ったみたいだ。あんな土像をどうするつもりなのだろうか。まあ。いいか。と思いつつ。

大変な事に気が付いた。

アタシの白マントが無い!

とうぜん真っ黒マントも無いのだが。


ここまで戻る時に、空を飛ぶ黒い物は見なかった。

ならばもしかしたら。

アタシはその場で寝転がって振動感知を最大で使う。

ペガヌスの振動は覚えている。ギリギリ識別可能の所を歩いているペガヌスを見つけた。

アタシは最大速度で空を飛びペガヌスを追い掛けた。

そしてのんびり土像に白マントを掛けて背負い歩いているペガヌスの前に着地した。


「げっ白雪。誰にも話してないのになんで」と叫ぶペガヌスを無視してホウキを白マントに向けた。

すると何を勘違いしたのか背負っていた土像を手放し股間を隠した。

とうぜん土像は地面に落ちてバラバラになった。


アタシは一緒に落ちた白マントを回収して立ち去ろうとしたが

「土像があ」と叫ぶペガヌスに足を止めてしまった。

話しを聞けば、土像があまりにも良くできているので家に飾ろうとした。

白マントは白雪の忘れ物だし、あの場所に放置したら動物に持っていかれるかもしれない。

だから爪で自分の場所がわかると言っていたから気がついたら取りにくるだろうと思って拾っておいたと言い訳していた。

最初の台詞とは内容が違うことはわかっていたが、そう言われてしまえば文句を言うわけにはいかない。

でもこれでペガヌスの居場所がわかると言ったのは本当だと証明出来ただろと脅しつけたら、しゅんとしてしまった。

そして目線はバラバラになった土像にいっている。

鞭ばかりでは可哀想になり、飴を与えることにした。


ペガヌスの家は森の中にある洞窟であった。

ここを拠点にして活動していると言う。

取り合えずこれをはけと尻尾穴付きのパンツを作り渡した。これで鬱陶しい棒を見てしまうことは無くなった。やれやれである。


この洞窟は鉱石が多分に含まれているようだ。なので、等身大の銅像を作ることにした。

パーツをひとつひとつ作り指先まで稼動するからどんなポーズでも出来る奴だ。

少しずつ自分の形になっていく銅像をみてペガヌスも嬉しそうだ。尻尾を振っている。

魔力を使いすぎたので休憩がてら甘いものをと思い、チョコレートを食べた時に驚くべき現象が発生した。

どんな作用が働いたのかわからないが魔力が回復していく。

この世界では魔力は自然回復が基本である。食事をとれば多少回復が早まることはあっても、アタシレベルの魔力量になると効果が実感できない。

なのに明らかに魔力が回復した事がわかった。

だとするとチョコさんは魔力の回復が何かで阻害されていて魔力不足に陥り、老化が始まったがチョコを食べたことによって魔力が回復して見た目が若返った事になる。

なるほど理解した。この状況を作りだしたペガヌスに少しサービスしてやろう。

アタシはその後1週間掛けて銅像+サービス品を作り上げた。

その間は、ペガヌスが動物を狩ってきたり果物を採ってきたり、休憩中は雑談に付き合ったりしてくれていた。

銅像はポージング銅像、見た目はそれ以上でもなくそれ以下でもない。ペガヌスは嬉しそうに尻尾を振っているが目はサービス品に釘付けである。


世界の王から授かった物作りの知識を発揮して作った物である。

材質は未知の物質である聖銀(ライトメタル)と呼ばれるものである。

そんな物は知らないのに世界の王の知識では常識らしい。

鉱石のわりに軽いし、衝撃を受けると固くなるのに丈夫でよく曲がると知識が言う。魔力もよく通すので魔道具としての相性がよい。ただ薄くすると脆くなり刃物武器には向かないみたいだ。

そんな防具に最適な鉱石が採れたのだから過剰な飴かもしれないが作るしかないと。

ペガヌスもスピード命のタイプである。なのでダメージを受けやすい箇所と致命傷となりやすい箇所のみ守る部分鎧である。

頭、心臓、腰、籠手(左右)、すね当て(左右)の7パーツ。組み合わせると四つ足で起つワンコの置物になると言う謎機能とペガヌスが大量に持っていた魔石を使い自動修復&重量軽減を施してある。

さすがに自動装着は出来ないので、ワンコの置物をバラして装備している姿は間抜けっぽいが勘弁して欲しい。

ワンコの頭の部分は兜になるのだが、その目に細工を施してある。何かの時に役に立つといいな。


動きづらいところがあるか聞いたが違和感は無いらしい。


丈夫さはペガヌスの岩をも砕く爪でも傷一つ付かないことは実験済み。それでいてあの軽さだ。ペガヌスは洞窟から飛び出し駆け回っている。この距離から見るなら本当にワンコのようだ。


過剰サービスは否めないが細工したことと鉱石を多量に得たことでよしとしておこう。


走り回って喜んでいるペガヌスを呼び寄せて。別れを告げると元気に振り回されていた尻尾が力なく垂れ下がった。

ペガヌスは寂しそうだが、何時までもここに居るわけではない。別れが早いか遅いかだけである。


「元気でね」


アタシはそう言って全力で飛び立った。

ペガヌスが絶対に着いてこれないようにとアタシも振り切る為だ。

何だかんだで1週間一緒に居たからアタシも後ろ髪引かれる思いだったからだ。

あんまり飛ばしすぎて王都を通り越してしまったのは内緒の話しである。



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