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チョコと聞いたらやっぱあれだね

アタシは眠っているチョコさんを見詰めている。

本当にこれでよかったのか、考えはループにはまりこんでいた。

王国も、王様も王子も貴族も今の世代では濃い薄いはあっても全てチョコさんの子供達である。

何を選択しようが、自分の子供を見捨てる事になるからだ。


アタシはアドバイスとして3つの提案をした。


一つは、今後一切の干渉をしない。

子供はいずれ必ず親元から離れるものであるからだ。王国はもう立派な大人だ。チョコさんは心配のあまり子離れ出来ていない。子が求めるのであれば、ある程度のアドバイスをするのは良いがチョコさんからは決して干渉してはいけないと。


一つは、そんなに心配なら寿命限界まで執政を握れ。

そうすれば王国の行く末は自分が握るのだから子供の事で悩む事なんかなくなる。ただ子供達の成長を阻害することになるかと。


最後の一つは、今のままでも良いのではないか。

300年処かこの王国は1000年以上の歴史を持っているのだから。

兄弟による内乱なんてきっと今までも有ったに違いない。たまたま目の前で起きそうになっているから心配になっているだけだと。ただ王国をとるか子供達をとるか、子供達をとるなら誰をとるか選ばなければいけないと。


チョコさんは「私は親バカだっただけなのか」と落ち込んでもいたが「話しが出来ただけでスッキリした」とも言っていた。


多分、人神として扱われているために、誰にも相談できずにストレスを溜め込んでいただけなのだと思う。

チョコさんがこの先どれを選択するのかわからないが、安らかな表情で眠っている。


アタシは本当なら、この隙に逃げ出そうと考えていたのだが、放置しておけない事があることに気が付いてしまい、逃げることが出来ないでいる。


でもこの隙に成し遂げたこともある。王子の執務室の備品を動かすことだ。引き出しまで開けて動かしたからバッチリだ。

カギはどうしたかって?この世界の機構の簡単なカギがアタシの蜘蛛糸で開けられないわけがない。アタシは決めた目的を忘れないのだよ。王子よすぐにでもストレスを感じるが良い。

やっていることは悪魔的ではあるが大したことではない、だが態度は完全に魔王である。

有言実行ダヨネ。


朝になり振動が多数感じられはじめた、王城の朝仕度が始まったのだろう。

アタシは扉の死角になる位置に移動して背負い袋から保存食を取り出して食べる。

微かなノック音がした後、扉が薄く開き、そのまま閉じられた。

侍女か使用人がチョコさんが起きているか確認したのであろう。振動はそのまま去っていった。


眠る時間が遅かったチョコさんが目覚めたのは昼前である。呼鈴を鳴らし朝食兼昼食を食べるチョコさんを見ながらアタシは昨日から続く待ち時間にゲームがあれば時間潰しが出来るのになあと思うにまかせていた。


食器が下げられてティーセットだけが残された。とうぜんカップは一つだけだ、アタシは自前の木のカップでお茶を頂きながら、聞きそびれた話しを聞いた。

それは単純だが恐ろしいほどの才能と実力と経験が必要なことであった。なのでアタシはひとまず安心した。


アタシの潜伏場所がわかったのは、いつもの癖と風魔法で偶然わかっただけであった。

チョコさんは風魔法が使える。その風魔法を使っての部屋の掃除、ホコリ落としが得意である。

王子が部屋を出たあと、紙の繊維が舞っていたのが気になって風魔法を使ったのだ。長年の経験と感でどの方向にどれだけ風を送ればホコリをゴミ箱に落とせるかわかっていたチョコさんは、風の流れがおかしいことに気がついた。

それは本棚の上であった。そこで感覚を研ぎ澄ませて風の流れを感じるままに羽ペンで紙に描いたら。

マントのような形になった。マントは人が着るもの。でも目には見えない。これは元の世界で言われていた座敷わらしかもしれないと考え、今の苦境をなんとかしてくれるかもしれないと思い、声をかけたと言うことだった。

だが、闇魔のあやかしかも知れない、そんな思いも有って初めは口調が厳しくなってしまったと言い訳していた。


妖精さんの次は座敷わらしかと。アタシの存在って本当にあやかしか何かなのかしら。話しを聞いておいて申し訳ないが、がっくりしてしまった。


その後、王城で小さな混乱があることを告げて正直にラーディッシュ王子にしたいたずらを話した。

真面目で子離れ出来ていないチョコさんのことだから王子が漏らせば真剣に原因調査をしかねないからだ。

それを聞いたチョコさんは、子供のようだと呆れていたが、イタズラの理由はラーディッシュ王子は理解していないだろうがアタシは嫌がらせを受けたと、その嫌がらせに対して出来る仕返しと国に追われるリスクを考えるとこれ以上の事は出来ないと伝えたら微妙な表情をしながらも納得はしてくれた。

嫌がらせだとバレても誰が何の為にやったのかわからなければ良いのである。アタシが一人で笑えれば良い。それだけなのだから。


チョコさんにあと3日したら王城から出て旅に出ることを伝えた。今日は王子の様子見はしない。あれ?って思うだろうが気のせいかで片付けられそうだからだ。そんなのを見ても面白くない。

今夜もう一度仕掛けて明日は状況次第。明後日様子見と言うお笑い番組を見て、さようならだ。


昨日一日見ていたからわかるけどラーディッシュ王子は几帳面であった。

整理整頓されていないことに短期間で爆発するに違いあるまい。その辺はチョコさんには内緒である。


なんだかチョコさんチョコさんと言っていたから。チョコレートが食べたくなってきた。チョコさんにチョコレートの事を聞くとこの世界には同じものが無いらしい。

チョコさんも同じことを考えて調べたが無く。作らせてみたが出来上がったのはコーヒーであったと。

コーヒーからチョコレートが出来るからとイメージを伝えたが出来たのはどんなによく評価しても強烈に甘いミルクコーヒー飴であった。それはそれでおいしかったのだがチョコレートはもう二度と食べられないと諦めたそうだ。


たしかに幼稚園児がチョコレートの作り方を知っている訳はないよね。でも商人ギルドで飲むことが出来た美味しいコーヒーはチョコさんのお陰か。


それならばひと肌脱ぎましょう。

何せ、酒屋の隅で見つけていたのだから。コーヒー豆と間違えて入荷したと言う調味料の中にカカオが有ったのだ。

元の世界の味は出すことは出来ないが似たものなら作れる。引きこもりの知識と世界の王から貰った物作りの能力を発揮すれば造作も無いはず。


でもどこで作ろうか。良い場所が無いかチョコさんに聞いてみた。するとそこのドアを開けたところに簡単な台所があるそうだ。アタシはチョコさんに材料として持っていない砂糖とミルクの手配をお願いして台所に篭った。


どのみちカカオを見付けた時から個人で楽しむつもりでいたのだから何の問題もない。

ハイカロリー保存食の製作に取り掛かることにした。




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