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それでもアタシは妖精ではない

アタシ達は別の客室にいる。なぜならば先程までいた部屋は突然窓が全壊してしまったからだ。

そんな部屋はとうぜん封鎖である。したがって自動的に部屋を移ることになったのである。



あの時、クラウさんは魔力を流すことに集中していた。

不明だった魔法の大剣の能力が軽くなるだけと言うことで正直がっかりしていたそうだが。やっぱり私の妖精さんは色々知っているんだなと感心していたそうだ。

妖精さんの力によって流れていた魔力と思うものを動かし大剣に通すと。

なるほど少し軽くなったような気がした。もっと流せば更に軽くなるのかと思い更に集中していたら。

目を閉じているのに何故か眩しく感じた。不思議に思って薄目を開けると大剣が神々しく輝いている。

これはもしかしたら妖精さんも知らない機能が発動したのではないか。この輝きは正しく伝説の聖剣と呼ばれる輝きだ。そして聖剣は力を解放したがっている。私にはそう感じられて。

聖剣の依頼に従い力が解放出来るように大剣を振り上げ、そのまま振り下ろした。

その時に妖精さんが制止するように叫んでいたがもう止められない。

剣先から何かが飛び出していった気がしたと思ったら轟音をたてて窓が無くなっていて吃驚したそうだ。


どうやらアタシは魔力の出口の詰まりを取るつもりで気の口を開いてしまったみたいだ。

何故なら大剣の輝きはアタシがホウキに気を通した時と同じ輝きであったからだ。

その状態でアタシがホウキを振るえばカマイタチのように気が飛んでいき雑草であろうが大木であろうが岩だろうが中距離の物が真っ二つになる。

クラウさんの大剣では気が砲弾のように飛んでいったように見えたので武器によって効果が違うのかもしれない。時間があるときに実験しなきゃだ。

幸いなことに大剣を振った方向は窓側であったのと気が扱いきれていない為に威力が低かったので窓が壊れるだけで怪我人は出ていなかった。

でも客室の窓が全壊してしまったのだから被害が無かったわけではない。何事だと集まる兵隊さん達にどう説明しようかと悩んでいたら。

クラウさんが「大剣の訓練中に誤って窓を壊しただけだから問題ないわ。悪いけど修理を依頼しておいて」と言ってアタシを連れて隣の部屋に移動させようとした。

いくら窓が壊れたからと言っても勝手に移動したら不味いと思い抵抗したが、興奮しているクラウさんに抱っこされて結局隣室に来てしまった。

来てしまったからにはしかたがないと諦めたが気の説明はしなければなるまい。

魔力と気は別物である。

その前にクラウさんを落ち着かせなければ。


午前中は人身御供としてアタシ自身を差し出してずっと膝上抱っこされていた。その時に鑑定をしてみると新たに気力の項目が増えていた。クラウさんの気力は「ふつう?」と疑問文である。対象が少ないからだと思うが、学習型鑑定能力はブレずに相変わらず微妙な性能を発揮していた。

昼御飯を食べてから説明を始めた。

アタシは正直に魔力の出口を広げることを失敗したことを謝った。そして剣が輝いたのは気の力だと伝えた。

初め剣が輝いたのは気のせいだと伝えてしまい「気のせいなんかじゃない。たしかに聖なる光に輝いた」と反論されたのは余談だが、気と言うのは誰しもが持っている意思の力だと、クラウさんは聖なる力を欲して気を高めたからあのような事になったと説明したら簡単に納得してくれた。

これは幸いと思い。邪な思いで気を高めると闇に堕ちる事になるから、守る為以外では使ってはいけないと、アタシの妄想で勝手に作った設定を押し付けた。

クラウさんは神妙な表情で頷いていたからみだりに使うことは無いだろうと少し安心した。

気については安心したが「私の妖精さんはやっぱり本物の妖精さんだったのね。こんな力を持っているのだから。見た目から義妹かと思っていたけど実は見た目通りの歳ではなくてずっと歳上の存在だったのね。ごめんなさい」と義妹疑惑は晴れたのに妖精さん疑惑が妖精さん確定と認識されてしまった。

アタシは妖精さんではないといくら言っても聞きいれられずに仕舞いには「私の妖精様」と言い始めるしまつ。

クラウさんの考える妖精と言う存在がどんなものか解らないうえ、アタシも妖精がどんなものか解らないから妖精ではないと否定できる証拠がいっさいない。

アタシはアタシ。ただの冒険者のマッキーです。

だから、妖精とは違うと言ったら。信じきっている相手には否定すればするほど逆効果のようだ。

前述の通り「マッキーはただの冒険者だけど私の妖精様でもある。この事は秘密にするね」と訳の解らない納得のしかたをしてしまった。

なんだかアタシの必殺技の一つである『タローです』を素でやられた気分である。

実はアタシは本当は妖精なのではと思ってしまうくらいの洗脳能力である。

だからと言って妖精とは認めてなるものかと抵抗している内に日が暮れて約束の夜になっていった。



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