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まさかの為の保険

アタシが自画自賛と言う自爆をしてしまったことに焦っている事を見て。

何を思い込んだのかクラウさんがアタシの事を抱き締めてきて

「やっぱりそうなのね。だと思っていたわ。そうでないとおかしいもの。私ね。妹が欲しかったの。だから義妹でも構わないわ」

あ。どんどん話しが勝手に進んで行っている。

「だから貴女。いや違う。マッキーは、旅で苦労する必要は無いのよ。この家に居ていいのよ。むしろ居なさい」

あ。最後に命令になった。見え隠れするクラウさんの性格。やっぱり兵隊さん達が言っていたように高飛車な性格なのだろうか。

ってのんきに話しを聞いていてはダメだ。

すぐにバーンさんの……ってみんなバーンさんだからアントニオさんの娘疑惑を払拭しなければならない。

そこでアタシは否定の言葉を言うために口を開いた時にドアが大きな音をたてて開いた。

「ちがっ」大きな音に驚いて出掛かった言葉をやめてしまった。

この時に言葉を続けていればまだ良かったのに、アタシの後悔は続く。


そこに居たのはバーン家当主であるブラウンさんである。

「話しは聞いた。お前はアントニオの隠し子なのだな。貴重な情報が書かれた遺品を届けてくれたことは感謝するが、高貴族であるバーン家に不貞の子がいるなぞ赦すわけにはいかない。

事実確認をしようと差し向けた部下から逃げたのはクラウに取り入り既成事実を作るためか。

先程も報酬の事は口にせず、すぐに退出したからおかしいと思っていれば、この為だったのか。

子供だと思っていればなんと知恵がまわる。

クラウ。離れろ。そいつはお前が考えているような存在ではない」


ここにきてフラグだと思ってブラウ砦から貴族らしき存在を避けていたことが裏目に出た。

クラウさんの存在だって偶然関わっただけでそれまで知らなかったのに。

報酬を問われたら、クラウさんに命を助けてもらったことがあるから、不要と答えるつもりであった。どのみち旅に立つ切っ掛けを与えてくれたのだからそれだけで十分であるのだけど。


そうだ。貴族と言う存在は疑心から物事を考える存在であるとネット小説で読んだことがあるじゃないか。

そうでなければ貴族社会では生き残れないからだ。

せっかく異世界トリップの先輩が残してくれているのに同じ轍を踏んでしまっているなんて。

更に思い出す。貴族とは疑心の塊である。思い込んだら修正が難しいことを。

でも精一杯の反論はしよう。いざとなればドロップアウトをすれば良い。そう考えていたら落ち着いた。

まず抱き締められている状態をなんとかするためにクラウさんに放して欲しいと言ったが聞き入れられずに放してくれない。

この体勢だと何も話せないからせめて向きだけ変えて欲しいとお願いしたら。馬車でお馴染みの膝上だっこ状態になった。


それで安堵した訳ではないが、気を取り直してブラウンさんに話し掛ける。

すでにブラウンさんから話しかけてきているのだから無礼にはあたらない。

「お見苦しい体勢から申し訳有りませんが」と前置きして、アタシがアントニオさんの子供ではないことを淡々と説明した。

アタシの父は『タロー』だと。証文は背負い袋に入っている冒険者ギルド ブラウ支店長の名で記述されていること。更にバーン家に遺品を届けたらすぐに旅立つ予定であること。それはラーディッシュ王子も知っていると言うこと。

蛇足かもしれないがアタシは冒険者ではあるが商人でもあり金には不自由していないので財産目的で取り入った訳ではないと言うこと。

金がいくらあるか知らないけどあれから3ヶ月経っているのだから金貨の100枚くらいは報酬で振り込まれているだろうと思い付け足した。


訝しげに聞いていたブラウンさんではあったが、さすがにラーディッシュ王子の名前が出ると驚きを隠せずにいた。


アタシの主張はここまでである。口を閉じて頭を下げる。


ブラウンさんはクラウさんに聴取を行い、王子と話した内容の概要である、届け物をしたらすぐに旅立つなんて言わずに1週間くらいは王都で観光しろと言っていたと聞き。

次にブラウンさんの指示により護衛の兵隊さんがアタシの背負い袋から証文を取りだし。ブラウンさんに差し上げた。

ブラウンさんは開封し確認すると。

「たしかにギルドの名において、父の名前はタローと記載されている。すなわちアントニオの子だと名乗ることはないと言うことだな。相違はないか」

アタシには異論はない。間髪入れずに「はい」と肯定した。

「うむ。ならばよい。だが全ての確認が取れるまで、この部屋からの外出は禁止する。なに、遅くとも3日で確認は取れる。それまでクラウの相手をしてゆっくり過ごすがよい」

ドロップアウトするなら数十年単位で身を隠す必要があるのだから3日くらい待つのは問題ない。

ないのだが色々と不味いことになりそうな気がする。

さっさと出て行けば良かったと思い悩むマッキーであった。


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