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次世界転生  作者: maron
第2章 第三世界 天穹戦争編
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頭の中の景色

天穹の端に行くにつれ、激しい音が響いてきた。爆音や、魔術を使う音。そして、彼女は1つの事実に気づく。


「.....押されてる.....」


天穹の端の建物は壊滅し、炎が上がっている。国の中心部にはあまり分からなかったが、白骸はかなりこちら側へ攻めてきているようだ。やがて、広大な砂漠が見えてきた。あちこちに、崩れた建物が見える。


2人は戦線に辿り着く。そこは、惨状としか言いようがなかった。あちこちに死体が転がっている。洗車の爆撃に巻き込まれたか、1部しか残っていないものまである。


彼女はそれを見て、どこか車に轢かれた人間を連想してしまった。少し顔色が悪くなり、彼女は目を逸らした。


「どうした、大丈夫か?」


「ああ.....うん、大丈夫.....」


ユーマが横から話しかけてくる。彼女は1度深呼吸し、自身を落ち着かせた。


「.....ごめん、もう大丈夫。それで、私はなにをすればいい?」


「あんたは俺がサポートするから、前線に出てくれないか。他の兵士達には味方だと伝えてある。」


「わかった。」


彼女は媒体の刀を抜く。まだ使い始めたばかりで少し不安だが、これがなければ戦えないのもまた事実である。


「じゃあ、援護は任せるよ。」


「ああ。任せてくれ。」


彼女は雷を宿す。これもまた新しい魔術で使いこなせるかは分からない。それでも彼女は駆け出した。雷を纏い、加速する。


「.....思っていたより、使い易い。」


彼女はぽつりと呟いた。そしてそのまま敵を蹴散らしていく。人間相手なら彼女は十分戦える。しかし、戦車らが出てくればどうだろうか。その漠然とした不安だけは、消えなかった。


───と、その瞬間。彼女の頭に、激痛が走る。


「うっ.....!?」


そのままその場に膝を着く。そして、彼女の頭の中に映像が流れ込んできた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


アイリスや味方の兵士が並んでいる。全員が見据えるその先から敵が押し寄せ、彼女は無心でそれを切り刻む。


返り血が彼女を赤く染めていく。やがて敵が全て居なくなる。周りには負傷した兵士や無傷の兵士、命を落とした兵士が散らばっている。


と、その時。近くの崩れた建物の上に、光が反射した。その場所を彼女がばっと振り向いた、その瞬間。


銃声が響く。彼女の頭が、撃ち抜かれた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「っ!?」


唐突に流れ込んだその景色に、彼女は困惑する。すると、ユーマが駆け込んだ。


「どうした、大丈夫か!?」


「......今、私.....何を....」


「急に頭を抑えて苦しみ出したんだ。.....おい、この場は任せるぞ!」


「了解!」


辺りの兵士が返事をする。彼は彼女を抱えあげ、その場を離脱した。


「1度医療兵に診てもらった方がいい。」


彼女の脳内は、あの映像でいっぱいだった。自分が頭を撃ち抜かれる映像。あれは、どういう意味か。彼女の顔色は悪く、まだ少し残る頭痛に顔を歪めていた。


やがて、1つの建物の中に入っていった。


「どうしたの、大丈夫?」


「ああ、急に苦しみ出したんだ。診てくれ。」


「了解。そこ寝かせといて。」


マスクを付けたその女性は、手袋をはめてアイリスの側へと寄った。


「私はロザ。医療兵よ。今解析魔術と、治癒魔術をかけるわね。」


アイリスの額に触れたロザは、アイリスの頭を読み取る。彼女は解析を進めるにつれ、不思議そうな顔をした。


「.....どこにも異常はなしね。」


「そんなはずないだろう。人が急に苦しみ出すなんておかしくないか?」


彼女の頭に流れ込んだ景色の話を彼女はしなかった。なんとなく、言うべきではないと思ったから。


「なら、もうそんなに痛くないし.....大丈夫。」


「ダメよ、少し休んでいきなさい。」


「俺は戦線に戻る。あんたも、休んでから来てくれ。」


ユーマはもたれていた壁から離れると、建物を出て行く。残されたアイリスは、しばしの間目を閉じていた。


「.....にが起きてるの!?説明して!!」


周りの喧騒で、彼女は目を覚ました。ぼんやりとした体を起こし、周りを確認する。すると、大勢の負傷兵が運ばれてきていた。


「どうして急にこんなに!?何かあったの!?」


ロザが困惑したように、1人の兵士に詰め寄っている。その兵士は比較的傷も浅く、まだ話せる余力があった。


「それが.....敵の統治者と思われる者が出てきて.....」


「.....まさか.....!」


ロザより先に、アイリスが反応した。彼女はすぐさま刀を握り、ベッドを降りる。


「ちょっと、まだ寝ていなさい.....!」


「そんなこと言ってる場合じゃない!行かないと!」


「待ちなさ.....ああ、もう!とりあえず負傷者を中に運んで!」


その喧騒を背後に、彼女は戦線へと走り出す。敵の統治者、それが事実なら。


この先に、代理人がいる。

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