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次世界転生  作者: maron
第1章 第二世界編
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闇の中

目覚めた時、アイリスは闇の中だった。どこまでも深い闇。決して落ちている訳ではない。ただ、上下も左右もなく、立っているのか頭が処理できない感覚。


「.....ここは...?」


彼女の問に答えるように、前から人影が現れた。彼女はそれを見て、一瞬で飛びかかった。


「.....お前ッ...!」


それは、代理人だった。千影も、シエラも。彼女の大切な人を奪ってのうのうとそこに立っていた。彼女は魔法が使えないのに気づくと、代理人の首を絞めあげた。まるで、自分がそうなったのを返すように。


代理人はその手を跳ね除けはしない。しかし、苦しむ様子もない。やがて代理人が歩き出すと、彼女の手も離れた。


「.....何、ここ。地獄かどこか?」


「違う。ここは、私とお前だけの空間だ。」


変わらず、代理人の声にはノイズが走っている。アイリスは頭を抑えた。


「あんたのその声.....耳障りなんだけど。」


「黙れ。そんなことはどうでもいい。」


「.....それで、私達だけの空間って何。」


アイリスは腰を下ろした。地面に座っているはずなのに、何故か浮いているような奇妙な感覚。


「そうだな.....貴様は、第一世界で死んだ後何も無い世界へ飛ばされただろう?」


その言葉に、アイリスの記憶が掘り起こされる。第一世界で死んだ後に訪れた、あの管理人がいた場所。真っ白な空間。しかし、今ここにあるのは正反対の闇だ。


「性質はあの空間と同じものだと思え。そもそも、ここの原理なんてどうでもいいんだ。」


「.....だったら何。私を殺すの?もう一度。」


アイリスは立ち上がって身構えた。代理人はアイリスの周りで円を描くように歩いている。


「そうではない。私は、貴様が次へ行ける資格があるか確認しに来ただけだ。」


「.....次?さっきから意味わかんないことばっか言ってないで説明して。こっちはあんたと同じ空間にいるだけで殴りたくなる。」


今も、アイリスは目の前のこいつを殴りたい。殺したい。でも、できない。そのもどかしさに襲われている。代理人はその殺意に気づきながら、むしろ面白がるようにアイリスを見ている。


「貴様は第二世界で死ぬ直前、私を殺すと言ったな。それはどうするつもりだったんだ?」


「.....は?どうするって、殺すは殺すでしょ。」


「だから、死ねば復讐など言ってはいられない。貴様はそもそも、そういった感情から解放されるために死を選んだのではないのか?」


「違う。私が望んだのは、千影と同じ場所での死。あの処刑は、私の望んだものじゃない。」


「本質にたどり着けていないぞ。貴様は死後に私を殺すつもりだったのか?その方法は?」


そこで、アイリスはふと気づいた。自分の心の奥底で、死んでも次があると思っていた。第二世界に来たように。だが、次があるなんて保証は無い。


「.....つまり、もう次はないから諦めろと?」


「さあ、どうだろうな。」


「っ.....あんたのその舐め腐った態度が気に食わないのよ!!」


我慢ならず、アイリスは殴りかかる。しかし地面が、いや地面と呼べるかも分からない。足元が不安定な状態で殴りかかった為、代理人が少し避けるだけでアイリスの方が転ぶ。


「いいだろう、教えてやる。貴様が辿り着けるなら、次の世界でまた私が貴様の全てを奪ってやる。」


その言葉と同時に、代理人の拳がアイリスの顔に落とされた。


「あぅッ...!」


鼻血が垂れ、視界がぼやけた。アイリスは痛みで鈍る頭を叩き、思考を巡らせる。代理人の言葉を信じるなら、次の世界はまだある。そして、そこでこいつを殺せる。


「.....辿り着いてやる。お前を殺すために。」


「殺せるものなら殺してみろ。貴様のその小さな掌で、次はせいぜい大切なものを取りこぼすなよ。」



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